著者
徳永 誠 鵜飼 正二 伊勢 眞樹 永田 智子 宮越 浩一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.305-308, 2018-04-18 (Released:2018-05-21)
参考文献数
13
被引用文献数
2

日常生活動作(ADL)の改善を比較するには,ADL改善指標の特徴を理解する必要がある.Functional Independence Measure(FIM)利得は,ADL改善指標として本邦で頻用されているが,天井効果という課題があり,層別化や制限が必要になる.天井効果のないFIM effectivenessは,欧米ではFIM利得以上に頻用されている.FIM effectivenessを重回帰分析に用いた報告は少ないが,これを目的変数にした重回帰分析の予測精度は高い.ADL改善を病院間で比較するために数種類の方法が考案されている.ADL評価の信頼性が重要であることを強調したい.
著者
太田 幸將 宇田 和晃 髙橋 静子 彦田 直 宮越 浩一
出版者
一般社団法人 日本予防理学療法学会
雑誌
日本予防理学療法学会雑誌 (ISSN:24369950)
巻号頁・発行日
pp.JPTP-D-23-00005, (Released:2023-09-12)
参考文献数
23

【目的】リハビリテーション実施中に転倒した事例の特性と歩行練習中の転倒状況を明らかにすること。【方法】2016 要旨 年4 月1 日~2020 年8 月31 日にリハビリテーション実施中に転倒した患者の年齢,診療科,対応療法士の経験年数,練習内容,インシデントレベルを調査した。歩行練習中の転倒に関し,方向・要因・介助方法を調査した。また対象期間内のリハビリテーション処方数・実施時間を調査した。【結果】438,593.7 時間の実施のうち転倒は124 件であった。転倒発生率は65 歳未満で0.43/1,000 人・時間,65 歳以上で0.25/1,000 人・時間であった。診療科は血液腫瘍内科で0.47/1,000 人・時間,療法士の経験年数は1-3 年目の0.37/1,000 人・時間で最大であった。歩行練習中の転倒は,前方,躓き,監視で多かった。【考察】転倒特性を明らかにすることで,転倒予防に役立つ可能性がある。
著者
宮越 浩一 高橋 静子 古田 康之 夏目 隆史
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.114-118, 2010-09-01 (Released:2018-10-17)
参考文献数
9

医療機関においては転倒事故に対する十分な対策が求められる。今回われわれは簡便な転倒対策を構築する目的で、入院初期に得られる複数の所見より転倒転落を予測する因子の抽出を試みたので報告する。 2008年11月より3ヶ月間の間に当院に入院した連続症例を対象とした。転倒転落を予測する因子として17項目からなるチェックリストを看護師により入院初期(24時間以内)に評価した。本チェックリストは年齢、3項目の身体機能、5項目の精神機能、3項目の複合要因、5項目のその他の因子より構成されている。このチェックリストは当院の既存のチェックリストに、先行研究で指摘されているいくつかの転倒予測因子を追加することにより作成した当院独自のものである。 対象となったのは2,258例であり、このうち転倒転落に至ったのは55例であった。ロジスティック回帰分析による多変量解析を行った。ここでは転倒転落の既往がある、座位バランス不良、ふらつきがある、貧血、介助が必要にも関わらず一人で動こうとする、の5項目が抽出された。Receiver Operating Characteristic曲線では、曲線下面積が0.776となっていた。予測精度は感度0.709、特異度0.799であり、入院初期に得られる情報のみからある程度のスクリーニングが可能であった。今後さらに簡便かつ精度の高い転倒予測手法の構築を進めたいと考える。