著者
高井 範子 藤田 信子 池田 耕二 金子 基史 丸山 伸廣 中原 理 三木 健司 高橋 紀代 仙波 恵美子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.45-58, 2022 (Released:2022-02-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕新たに考案した3週間入院運動プログラムによる介入前後の線維筋痛症(FM)患者の心身の変化を調査し,理学療法士(PT)の適切な対応を明らかにすることである.〔対象と方法〕FM女性患者12名を対象とし,医療や心理学などの専門家による共同チームが考案した3週間入院運動プログラムによる介入を行い,その前後において質問票(日本語版線維筋痛症質問票(JFIQ),日本版ベック抑うつ質問票(BDI-Ⅱ),The 8-item Short-Form Health Survey (SF-8))による評価と心理面談による聴き取りを行った.〔結果〕本プログラムによりFM患者のJFIQでは11名,BDI-Ⅱでは10名,SF-8では9名(身体面),8名(精神面)が改善を示した.患者の語りからは,患者の痛みや辛さに寄り添う姿勢など,PTの対応が患者にとり重要であることが示唆された.〔結語〕本プログラムはFM患者の心身に変化を及ぼす効果があり,その遂行において患者の痛みや辛さに寄り添うPTの姿勢が重要である.
著者
松平 浩 笠原 諭 酒井 美枝 井上 真輔 鉄永 倫子 高橋 紀代 高槻 梢 二瓶 健司 矢吹 省司 髙橋 直人
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.858-868, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
12

慢性非特異的腰痛患者には,心理社会的要因が関与している症例が多く,その場合はそれらの要因を的確に評価し,それに応じた適切かつ合理的な認知行動的アプローチが求められる.就労に支障をきたしている患者に対しては,社会的支援も必要である.これらと運動療法を併せることが主軸といえる慢性腰痛に対する集学的治療は,本邦の慢性疼痛診療ガイドラインにおいて最高位の“施行することを強く推奨する”1A判定である.一方,筋骨格系疼痛に対する「心理社会的フラッグシステム」が,世界の有識者による会議を経て英国で開発され,欧州では各国の診療ガイドラインで推奨されている.我々は,令和3年度厚生労働省慢性の痛み政策研究事業(慢性の痛み患者への就労支援/仕事と治療の両立支援および労働生産性の向上に寄与するマニュアルの開発と普及・啓発)の中で,意欲ある治療者のOperation Systemとなる合理的な手法を目指した「新心理社会的フラッグシステム日本版」を開発した.本稿では,心理社会的要因であるイエローフラッグ(認知行動療法の選択・実施に向けた心理社会的要因と具体的なアプローチ)を中心に解説する.
著者
藤田 信子 仙波 恵美子 行岡 正雄 寒 重之 柴田 政彦 高井 範子 堀 竜次 池田 耕二 高橋 紀代
出版者
大阪行岡医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、線維筋痛症患者を対象とした短期集中型運動プログラムが、身体、認知、心理に与える影響を調査するとともに、脳内ネットワークの変化との関連性を検証することにある。平成31年3月までに合計13名の患者の運動療法、評価、計測を終了し、分析を行っている。2018年の第23回日本ペインリハビリテーション学会学術学会では、2演題を報告した。発表では高齢FM患者に対する短期集中型運動プログラムが疼痛、抑うつ、QOLの改善につながり、背外側前頭前野(DLPFC)の血流量の質的、量的な脳活動変化を伴ったこと、理学療法士が患者の不安傾向を踏まえ、運動内容を漸増的に行っていたことや規則正しい生活を守らせたことが運動療法の導入と継続につながったことを報告した。慢性痛改善に対する運動療法の効果(EIH)については、慢性痛患者の広範な脳領域の機能障害の発生機序と運動介入効果の機序を解明していくことが重要である。今年度、慢性痛における脳内ネットワークとEIHの機序について、第40回日本疼痛学会(仙波)、Nep Academy、17th World Congress on Pain(仙波)、第11回痛み研究会(仙波)で講演を行った。また、EIHに関する総説を大阪行岡医療大学紀要(仙波)、ペインクリニック(仙波)、Clinical Neuroscience(仙波)、日本臨床(藤田、仙波)、モダンフィジシャン(仙波)で執筆した。本研究のMRI画像の分析結果については、本研究の研究者間で情報共有のために研修会を開き、「線筋痛症に対する運動療法の効果のrs-fMRIによる検討」(寒)で運動プログラム介入前後の機能的結合について健康成人との比較、また患者の運動プログラム介入前後の比較でみられた頭頂葉や側頭葉の機能的結合の変化などが報告された。
著者
高橋 紀代子 稲垣 洋子 戸田 和子 藤原 邦達
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.33-37, 1965

O社製ガス熱蔵庫53-010型につき, 格納試料中の細菌の消長を試料の容量, およびその他各種の要因について検討し, つぎの結論を得た.<BR>1. 格納する試料の容量によって菌の死滅時期は異なる.<BR>2. 大容量の場合, 最初まず菌は増殖を示し (格納後点火された場合1時間に約5倍), 以後次第に死滅の経過をとる.<BR>3. 牛乳中の生菌数についても同様である.<BR>4. ガス供給停止の時期によっては熱蔵庫はむしろフ卵器ようの作用を示す.<BR>したがってなお食品衛生学的に問題が残されており, 今後の改良が望まれる. 現在の型式による場合一般に食品格納と点火の時期, 食品の取りだし時期ならびに熱供給の停止時期について十分注意する必要がある.
著者
石橋 功 高橋 紀代志
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.105-113, 1967-12-31

WL種8羽,NH種15羽およびそれらの同系の親の交配によつて作出されたWL♂×NH♀種26羽の鶏が,産卵開始後365日間に生んだWL卵1660,NH卵3496,WL♂×NH♀卵6874コについて卵型を測定し,比較した.1.WL,NH,WL♂×NH♀種の初産日令は,それぞれ193.9,212.2,162.2日であり,初年度における産卵数は,211.4,235.9,271.4コであつた.WL♂×NH♀種のすぐれた結果はheterosisに基づくものと考えられる.2.WL,NH,WL♂×NH♀卵の平均卵重は53.84,59.56,57.24gであり,第1月から第12月までの増大量はそれぞれ9.8,8.3,15.9gであつた.3.産卵開始後の日数の経過に伴なつて,WL卵は卵型係数71〜72のほぼ同じ形で卵重が増大し,NH卵は79から73へ,WL♂×NH♀卵は76から73.5へと減少し,短径よりも長径の伸びが大であつた.4.WL,NH,WL♂×NH♀卵の卵重と長径間にはそれぞれ,r=0.758,0.735,0.818,卵重と短径間には,r=0.911,0.792,0.897のいづれも高い相関々係があつた.これらの関係を卵重をx,長径をy,短径をzとして回帰方程式で示すと,長径(y)はWL:0.316x+40.22,NH:0.351x+36.00,WL♂×NH♀:0.379x+35.34で表わされ,短径(z)はWL:0.254x+27.33,NH:0.200x+31.30,WL♂×NH♀:0.234x+29.07で示すことができる.本研究の一部は,徳納敏子君の協力を得て行なつたものであり,統計処理については本学部岩佐助教授の教示を得た.ここに記して厚く感謝の意を表する.なお,要旨は昭和42年度日本家禽学会春季大会において発表した.