- 著者
-
富澤 浩樹
阿部 昭博
- 出版者
- 岩手県立大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
本研究では,OPACで管理された震災関連資料(以下,資料)の利用活性を目的としている.具体的には,資料の収集・保存・公開活動とその利活用を一体的に捉えたシステムデザインに基づいて試作システムを研究開発するとともに持続可能なシステムの在り方について検討し,その運用モデルを構築していく.昨年度は,震災学習・スタディツアーの知見整理と現地調査を行った.そして,それらを踏まえて試作システムの機能改善を行い,新たな課題を抽出した.今年度は,これまでの成果を総合的に検討した上で,主に以下の2点を進捗させた.1.試作システムの改善と新資料作成WSの詳細設計昨年度新たに見出された試作システムの主な課題として,(1)現地調査時に撮影された複数画像データのアーカイビング,(2)資料へのタグ付けの効率化,がある.(1)については複数画像をスポット毎にアーカイブ可能とする改善を施し,(2)については行政資料の多くがPDF形式で公開されていることに着目し,PDFを対象としたメタデータの半自動付与機能を研究開発した.そして,新資料作成WSの詳細設計を行った.2.新資料作成WSの試行と評価及び課題抽出関係者及び対象層へのヒアリングを踏まえ,「震災を通して学ぼう!テーマ発掘プロジェクト」と題して市民及び学生参加者を募り,新資料作成WSを実施した.その結果,参加者の調べ学習の成果の他,岩手県山田町と陸前高田市を対象としたスタディツアーのレポート(行程,参加者の意見・感想,画像データ)が試作システムにアーカイブされ,同WSの最終回(振り返り)で用いられた.本試行について,参加者及び関係者からは概ね肯定的な評価を受けたが,システムを効果的に用いるためにより多くの参加者を巻き込む必要があることが明らかとなった.