著者
山本 信弘 大道 乃里江 戸田 百合子 小山 健蔵 須藤 勝見
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C5)教科教育 05 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.p203-215, 1991-02
被引用文献数
1

昭和20年から現在に至るまでの性教育に関する書物を調査し,教育のなかで性教育はどのようにとりあげられ,位置づけされてきたかを検討した。その結果,性教育は,1)道徳面を重視した純潔教育の時代 2)純潔教育批判から生じた性の生理的側面が強調された教育の時代 3)生理的,心理的,社会的側面を含む人間としての総合的な教育の時代の三つの歴史的段階が認められた。また,学校教育のなかでの位置づけが不明瞭であることが教育現場での性教育の定着を妨げていることが示唆された。
著者
小西 貞之 大道 乃里江 小山 健蔵
出版者
大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター
雑誌
学校危機とメンタルケア (ISSN:1883745X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.33-43, 2011-03-31

学校生活アンケートは、いじめの早期発見・早期対応のために、児童生徒からのサインを把握することを目的として作成された。「自己概念」、「学習意欲」、「友だちとの関係」、「学級風土」、「教師との関係」と「学校・部活動等回避感情」の6領域及び自由記述から構成されている。今回、それを基に、中学生の学校生活の実態を調査し、学校生活がこれら領域でどのような特徴を示すのかを明らかにすることを目的とした。中学生の学校生活アンケートの実態から、1年生では、「友だちとの関係」と「学級風土」、2年生では、「学習意欲」と「教師との関係」、3年生では、「学校・部活動等回避感情」が学校生活の領域で顕著な変化を示し、各学年で注視しなければならないことが示唆された。To grasp the sign from children and/or students for the early detection and correspondence of bullying, the school life questionnaire was made. It is composed of six factors, self-concept, motivation to learn, relationship with friends, climate of class, relationship with teachers and evasive feelings from the school and club activities, and a free description. This time, it aimed to investigate junior high school student's actual condition at the school life based on it, and to clarify what feature the school life showed in these factors. From junior high school student's actual condition at the school life questionnaire, it was showed that factors of the school life were changed by relationship with friends and climate of class in the first grader, motivation to learn and relationship with teachers in the second grader, evasive feelings from the school and club activities in the third grader. It was suggested that teachers have to gaze at the school life by each school year.
著者
山根 祥雄 小山 健蔵 白石 龍生 安井 義和 YAMANE Yoshio
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

近年、国内外の学校安全が脅かされ、死傷事件が後を絶たない。先例を教訓化して、同様な事件・事故の再発を防ぎ、被害を最小化するために、学校管理の強化、および死傷事件の際における緊急の組織対応のあり方の具体的かつ総合的な検討が本研究の目的である。しかし、学校安全管理、緊急の組織対応に関して、研究調査・情報・知見が決定的に不足しているので、附属池田小学校、アメリカ合衆国・コロンバイン高校、イギリス・ダンブレーン小学校を訪問し、各事件を再検証した。さらに各事件を教訓とする各国の安全管理、予防策、緊急の組織対応に関する全国的方針、および悲惨な事件の被害者のメンタル・ケアなどを学んだ。一方、学校安全を推進する国内の避難訓練にも立会い、安全管理の強化や非常時の組織体制などを調査した。ロサンゼルスの学校安全管理システムは、予防・防止・緊急の組織的対応が包括的実働的であり、参考になる。昨今、学外不審者にとどまらず、児童生徒による事件など、多様な要因、危険の増大と予測の困難な傾向であるので、立地条件に応じた一層の安全管理、迅速即応・臨機応変の対応、情報の共有化・有機的連携などが要請される。リアルな緊急組織対応のための研修や実際訓練によって、危機回避・避難・対応の着想力やスキルを培う機会の設定が不可欠である。こうして、危険性の確認、管理維持・強化、組織体制の点検、地域・家庭・学校の連携、避難訓練の継続などが必要とされる。また、学校・家庭・地域が緊密に連携し、総合的に子どもを守る取り組みが提唱され、いわばグローバルなモデルとされている。本研究が、安全確保を生存の基本として、万一の場合における安全の一層の管理・整備、予備的な対応方法の準備・訓練の契機となり、通常の学校運営への示唆ともなれば幸甚である。