著者
小池 裕子
出版者
日本経営倫理学会
雑誌
日本経営倫理学会誌 (ISSN:13436627)
巻号頁・発行日
no.22, pp.199-208, 2015-01-31

The objective of this preliminary study is to identify what kind of impact gender diversity has on stock performance. In order to examine the impact, portfolio that consists of companies with gender diversity in manager's level and portfolio that consists of companies with little gender diversity were made from the components of the MSCI Japan Index. And then, the rate of return and Sharpe ratio for the past 10 years were compared. As a result, those of gender diversity portfolio are higher than those of non-gender diversity portfolio as well as those of MSCI Japan. In addition, the result of a multiple regression analysis with the use of the Fama-French factor model suggests that there is little risk specific to gender diversity.
著者
小池 裕子
出版者
日本経営倫理学会
雑誌
日本経営倫理学会誌 (ISSN:13436627)
巻号頁・発行日
no.20, pp.177-187, 2013-02-28

This paper examines the male-female wage differentials by decomposing them into endowments and discrimination components by using micro-data from the US, France, Korea and Japan. The result from the Oaxaca-Blinder decomposition technique suggests that the wage gap is mainly attributable to a difference in the price-setting according to gender in respect of age and type of employment, and this tendency is the most obvious in Japan among 4 countries.
著者
佐原 眞 小池 裕子 松井 章 西本 豊弘 中野 益男
出版者
奈良国立文化財研究所
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

1982年以来,我々は原始・古代遺物に遺存する残存脂質の試行的研究を開始して,上器・石器の用途の解明,墓の認定を行い,原始古代の環境を復原するための「残存脂質分析法」を開発した。しかし,脂肪酸とステロ-ルを中心とした分析のみでは方法が確立したとはいい難い。そこで,現生資料の脂肪酸およびステロ-ルの組成に関するデ-タベ-スを作成するとともに,新たに免疫学的な方法を導入して動植物種を精密に特定して,原始古代の衣・食・住の生活復原の精度を高めるための基礎研究を行った。その結果,次の事が明らかにされた。1.肪肪酸とステロ-ルの化学組成による石器の用途の解明馬場壇A遺跡・富沢遺跡(旧石器時代)から出土した石器の用途を現生資料の脂肪酸・ステロ-ル組成を集積したデ-タベ-スから解明した。2.糞石による縄文人の食生活の栄養化学的評的価里浜貝塚・鳥浜遺跡(縄文時代前期)等9遺跡から出土した糞石の残存脂質から縄文人の摂った食物を明らかにした。主要な食事メニュ-は13種類あり,木の実,魚介類,海獣,鳥獣を組合せたバラエティ-に富む食物を摂っていた。一日約2250Kcal(9980kJ)と理想的なエネルギ-を摂り,糖質,たんぱく質,脂肪のバランスも良く,p,Ca,Fe等の無機成分やビタミンB^1・B^2も豊富で栄養化学的にも現代人が目標にしている値に近く,縄沢人の健康的な食生活がうかがえた。3.酵素抗体法(ELISA法)による土器棺と胞衣壺の同定原川遺跡(弥生時代中期)の土器棺,田篠中原遺跡(縄文時代中期末)・平城京右京三条三坊一坪(古墳時代前期)等縄文から近世までの6遺跡から出土した胞衣壺と推定される埋設土器を免疫手法のELISA法を用いて調べた。ヒト胎盤特有の糖鎖を持った古代糖脂質が検出されることから,埋設土器は土器棺と胞衣壺と認定された。
著者
片山 一道 川本 敬一 大島 直行 多賀谷 昭 小池 裕子 柴田 紀男
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

本年度は、次年度以降に予定している本格的な現地調査にむけて、南部クック諸島で、形質人類学、比較言語学、および先史考古学の予備的な総合調査を実施することを主眼とした。形質人類学では片山と多賀谷と川本とホ-トンが、比較言語学では柴田とモエカアが、そして先史考古学では大島とサットンが、それぞれのパ-トを担当した。形質人類学に関係した調査としては、まず、マンガイア島、ミチアロ島、およびラロトンガ島で、検査に供する古人骨を発掘するための先史時代の埋葬遺跡の分布調査、有望と思われる遺跡の時代性や埋葬状況などについての実地検証と記録をおこなった。そして、マンガイア島のツアチニ洞窟遺跡に埋葬された古人骨について、計測と肉眼観察の方法によって、先史マンガイア島民の身体特徴、古病理、古栄養などに関する基礎デ-タを収集した。さらに、ニュ-ジ-ランドのオタゴ大学で、トンガやニュ-・ブリテン島のラピタ時代の遺跡から出土した古人骨資料などについて、形質人類学の各種の検査を行って、比較分析用のデ-タを集めた。先史考古学の調査としては、まず、ラロトンガ島、ミチアロ島、マンガイア島、アイツタキ島で先史遺跡の分布状況を広く踏査した。そのあと、ミチアロ島では、テウヌ遺跡全体の清掃作業や実測を行った。その結果、この遺跡が、マラエ、各種の石製構造物、複合墓地、石棺墓などから成る巨大な複合遺跡であることが判明した。さらに、マンガイア島では、ツアチニ洞窟内で新たに発見した土壙墓の試掘、イビルア・スワンプ周辺の先史居住遺跡の実測と遺物の表層採集を実施した。イビルア遺跡では、この地域では従来報告例のないタイプの剥片石器を含む多数の石器遺物を採集するとともに、この遺跡が、相当な年代にわたるとおぼしき生活遺物の包含層が堆積するという点で、次年度の本格的な発掘調査のために有望な候補地であることを究めた。この他に、ラロトンガ島では、アツパ、アロランギ、アロア・タロ、マタベラ、ムリ、アバチウの合計六カ所のスワンプから、人類の住居による植生の変遷過程を編年的に分析するための花粉分析用、および放射性炭素分析用のコアを採集した。これらのコアは、ニュ-ジ-ランドのマッシ-大学で分析中であるが、現在までに、南部クック諸島での人類の最古の居住時期が3000年BP以前に遡るらしいという予備的な知見が得られている。言語学の調査としては、マンガイア島とラロトンガ島とマウケ島で、各島出身の古老などのインタビュ-を通じて、マンガイアやラロトンガやマウケの南部クック諸島の各方言、およびペンリンなどの北部クック諸島方言の古層語彙や口承テキストの採集に努めた。これらは古クック諸島語の形態を復元するための基礎資料となるはずのものであるが、これまでに、プロト・ポリネシア語のs*とf*の発音の分化の歴史についての興味ある知見が得られた。これらの現地調査とは別に、川本は、クック諸島に現住するポリネシア人から集めた歯型の石膏模型について、種々の歯冠形質の発達程度を分析して、クック諸島のいくつかの島でのこれらの形質の出現頻度を求めた。歯科人類学の方法で、他集団との比較研究を行ったところ、歯の特徴で見る限り、北部クック諸島と南部クック諸島の間では相当な地域差が認められること、北部クック諸島人はメラネシアのグル-プに近いのに南部クック諸島人は他のポリネシア人集団に近縁であること、類モ-コ群と呼ばれる形質のクック諸島人での出現率がハワイのポリネシア人やグアムのミクロネシア人に近似することなどを明らかにした。