著者
菅原 ますみ 八木下 暁子 詫摩 紀子 小泉 智恵 瀬地山 葉矢 菅原 健介 北村 俊則
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.129-140, 2002-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
57
被引用文献数
25 16

本研究は, 夫婦間の愛情関係が家族機能と親の養育態度を媒介として児童期の子どもの抑うつ傾向と関連するかどうかを検討することを目的として実施された。313世帯の父親, 母親および子ども (平均10.25歳) を対象に郵送による質問紙調査を実施し, 両親回答による夫婦関係と養育態度, および家庭の雰囲気と家族の凝集性, 子どもの自己記入による抑うつ傾向を測定した。配偶者間の愛情関係と子どもの抑うつ傾向との間に相関は見られなかったが, 家庭の雰囲気や家族の凝集性といった家族機能変数を媒介として投入した結果, 両親間の愛情の強固さと家族機能の良好さが, また家族機能の良好さと子どもの抑うつ傾向とが関連することが明らかになった。また同時に, 配偶者間の愛情関係は親自身の養育態度とも関連し, 相手への愛情の強さと子どもに対する態度の暖かさや過干渉的態度との間に有意な関係が見られた。しかし, こうした養育態度のうち, 子どもの抑うつの低さと関連が認められたのは, 母親の養育の暖かさのみであり, 父親の養育態度は子どもの抑うつ傾向とは関連しなかった。
著者
杉本 公平 正木 希世 竹川 悠起子 新屋 芳里 岩端 威之 小泉 智恵 岡田 弘
出版者
一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会
雑誌
AYAがんの医療と支援 (ISSN:24359246)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.19-27, 2023 (Released:2023-03-04)
参考文献数
17

2020年度より不妊治療の保険適用が開始された。政府は同時に「がん治療に伴う不妊への助成」とともに「里親制度・特別養子縁組制度の普及」を進めていく方針を示している。日本の里親制度・特別養子縁組制度の普及は欧米先進国と比較して普及が遅れているとされている。両制度とも子供を家庭に迎えたいと望む親のための制度ではなく、要保護児童(様々な事情により実親の元での養育が困難な児童)が家庭養護の中で成育するための制度であることを認識しておく必要がある。両制度には親権や法的親子関係などの違いがあるが、実際には多様な家族像があることを理解する必要がある。AYAがんサバイバーが里親・養親になることについて、日本の児童相談所や民間のあっせん団体は決して否定的ではないが、個別的な判断が重要であると考えている。埼玉県里親会で行われたアンケート調査では、里親カップルの約6%がどちらかが、がんサバイバーであった。情報提供については早い時期に簡単に情報提供を行い、後から間接的に情報を手に入れることができるリーフレットなどを準備することが重要であると考えられた。AYAがんサバイバーに対しても同様の準備が必要であると考えられた。
著者
小泉 智恵 菅原 ますみ 前川 暁子 北村 俊則
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.272-283, 2003-12-05 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
5

働く母親における仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが母親自身の抑うつ傾向にどのような過程を経て影響を及ぼすのか,そのメカニズムを検討することを目的とした。仮説として仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーの抑うつ傾向に対する直接的影響と,仕事ストレツサー,労働時間,子どもの教育・育児役割負担によって生起した仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが子育てストレス,夫婦関係を介して抑うつ傾向に及ぼすという間接的影響が提出された。方法は,小学校高学年の子どもをもつ有職の母親で配偶者のある者(246名)と同学年の子どもをもつ無職の母親で配偶者のある者(131名)を対象として質問紙調査をおこなった。有職母親群の分析結果で,分散分析により仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが多くなると抑うつ傾向が高くなるという直接的影響がみとめられた。パス解析により仕事ストレツサー,労働時間の増加によって生起した仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが多くなると,夫婦間の意見の一致を減少させ,子育てストレスを高めることを介して抑うつ傾向を上昇させるという間接的影響がみとめられた。考察では仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが抑うつ傾向に影響しないようにするには,夫婦関係と子育てに関して介入,支援をおこなうこと,仕事ストレツサーの低減と労働時間の短縮が有効である可能性が論じられた。
著者
小泉 智恵 菅原 ますみ 前川 暁子 北村 俊則
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.272-283, 2003-12-05
被引用文献数
4

働く母親における仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが母親自身の抑うつ傾向にどのような過程を経て影響を及ぼすのか,そのメカニズムを検討することを目的とした。仮説として仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーの抑うつ傾向に対する直接的影響と,仕事ストレツサー,労働時間,子どもの教育・育児役割負担によって生起した仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが子育てストレス,夫婦関係を介して抑うつ傾向に及ぼすという間接的影響が提出された。方法は,小学校高学年の子どもをもつ有職の母親で配偶者のある者(246名)と同学年の子どもをもつ無職の母親で配偶者のある者(131名)を対象として質問紙調査をおこなった。有職母親群の分析結果で,分散分析により仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが多くなると抑うつ傾向が高くなるという直接的影響がみとめられた。パス解析により仕事ストレツサー,労働時間の増加によって生起した仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが多くなると,夫婦間の意見の一致を減少させ,子育てストレスを高めることを介して抑うつ傾向を上昇させるという間接的影響がみとめられた。考察では仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが抑うつ傾向に影響しないようにするには,夫婦関係と子育てに関して介入,支援をおこなうこと,仕事ストレツサーの低減と労働時間の短縮が有効である可能性が論じられた。
著者
菅原 ますみ 八木下 暁子 詫摩 紀子 小泉 智恵 瀬地山 葉矢 菅原 健介 北村 俊則
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.129-140, 2002-06-30
被引用文献数
11

本研究は,夫婦間の愛情関係が家族機能と親の養育態度を媒介として児童期の子どもの抑うつ傾向と関連するかどうかを検討することを目的として実施された。313世帯の父親,母親および子ども(平均10.25歳)を対象に郵送による質問紙調査を実施し,両親回答による夫婦関係と養育態度,および家庭の雰囲気と家族の凝集性,子どもの自己記入による抑うつ傾向を測定した。配偶者間の愛情関係と子どもの抑うつ傾向との間に相関は見られなかったが,家庭の雰囲気や家族の凝集性といった家族機能変数を媒介として投入した結果,両親間の愛情の強固さと家族機能の良好さが,また家族機能の良好さと子どもの抑うつ傾向とが関連することが明らかになった。また同時に,配偶者間の愛情関係は親自身の養育態度とも関連し,相手への愛情の強さと子どもに対する態度の暖かさや過干渉的態度との間に有意な関係が見られた。しかし,こうした養育態度のうち,子どもの抑うつの低さと関連が認められたのは,母親の養育の暖かさのみであり,父親の養育態度は子どもの抑うつ傾向とは関連しなかった。