著者
小清水 貴子 大石 智里 藤木 卓 寺嶋 浩介 室田 真男
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Suppl., pp.69-72, 2012-12-20 (Released:2016-08-09)
参考文献数
5
被引用文献数
7

教員のICT活用指導力の向上が求められ,将来,教員を志望する学生のICT活用指導力の育成も課題の一つである.そこで,中・高等学校を対象とした家庭科教育法の授業で,授業改善の観点からICT機器を活用した模擬授業を実践し,学生のICT活用に対する意識の変容を探った.その結果,ICT活用に関する講義や実物投影機の操作の実習により,授業におけるICT活用に対する意識が向上し,模擬授業後も維持されていた.また,ICT活用に対して,機器操作から指導に応じた活用に視点が変化した.ICT機器を活用した模擬授業を通して,機器を使えばよいのではなく,教師が教材や学習活動を工夫する必要があることに気づいた.
著者
藤木 卓 市村 幸子 寺嶋 浩介 小清水 貴子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Suppl., pp.73-76, 2012-12-20 (Released:2016-08-09)
参考文献数
9

本研究では,両眼立体視により空間歩行可能なVRコンテンツの制作に必要な精度の変化が,現実感とVR酔いに及ぼす影響に関する知見を得ることを目的とした.そのために,大学生を対象とした主観評価実験を行った結果,次のことが明らかとなった.コンテンツの精度の変化に対して現実感とVR酔いは直線的な関係を示し,現実感が高くなるほどVR酔いの評価は低下する.また,コンテンツの精度に関しては,オブジェクトの形状の複雑さよりも貼付ける表面画像の質感の効果が高い.
著者
藤木 卓 市村 幸子 寺嶋 浩介 小清水 貴子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.73-76, 2012

本研究では,両眼立体視により空間歩行可能なVRコンテンツの制作に必要な精度の変化が,現実感とVR酔いに及ぼす影響に関する知見を得ることを目的とした.そのために,大学生を対象とした主観評価実験を行った結果,次のことが明らかとなった.コンテンツの精度の変化に対して現実感とVR酔いは直線的な関係を示し,現実感が高くなるほどVR酔いの評価は低下する.また,コンテンツの精度に関しては,オブジェクトの形状の複雑さよりも貼付ける表面画像の質感の効果が高い.
著者
河村 美穂 小清水 貴子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.49, 2005

研究目的 数多くの実践がある調理実習に関しては、児童生徒の実習中の行動分析やグループにおける学びの様態について様々な知見が示されている。近年では、家庭科の学習を振り返る感想文分析から役立ち感と学習意欲の関連も明らかにされており、さらに生徒の側から学びの実態を明らかにすることが求められている。 そこで、本研究では生徒が調理実習の直後に何を学んだと感じているのかを生徒自身の記録から読み取り、さらに実施後約1ヵ月後の振り返りをあわせて検討することにより、生徒が調理実習で学んだことを明らかにすることを目的とする。研究方法表に示す調理実習3回を高校家庭科「家庭基礎」において実施し、実習直後に記述した実習記録をデータとして、生徒が学んだと考えることについて検討を加えた。○調査対象:国立大附属高校1年生(40名)。○調査時期:2005年1月_から_2月。○データの収集:毎回の授業後に生徒40名が記述した実習記録、 および、実習後約1ヶ月に記述した振り返りシートをデータとし て用いた。この他、生徒の実態を把握するために事前アンケート 調査を実施した。また、10班のうち2班を抽出し、実習中の様子 を観察、ビデオ録画、録音により記録し補足データとして用いた。全体的な目標<br>●1日に食べる食品の量と質を体験し、朝・昼・夕食に食べるものを理解する●包丁で切る技術を学ぶ。●料理にあう皿を選んで盛り付ける。●班で協力して作業を行い、時間内に手早く調理・試食・片づけをする。●食材を大切に扱い、できるだけ生ごみを出さないように工夫をする。<br>題材<br>オムレツ・ミネストローネ・ヨーク゛ルト・ロールハ゜ン・ハ゛ナナ<br>本時の目標●卵の調理性(熱凝固性)を理解する。(オムレツ)●食材の形をそろえて切ることを理解する。(ミネストローネ)●調理実習室に慣れる。<br>題材 スハ゜ケ゛ティミートソース・ク゛リーンサラタ゛・ハ゜ンナコッタ(いちご添え)<br>本時の目標●ミートソースを手作りする方法を知り、味わう。(スハ゜ケ゛ティ)●ハ゜スタのゆで方を知る。(スハ゜ケ゛ティ)●ゼラチンの調理性と取り扱い方を知る。(ハ゜ンナコッタ)●ドレッシングを手づくりできることを知る。(サラタ゛)<br>題材 肉じゃが・ほうれん草の胡麻和え・米飯・味噌汁(豆腐とワカメ)・うさぎりんごと木の葉りんご<br>本時の目標●混合だしの取り方を理解する。(肉じゃが・味噌汁)●調味料の浸透性を理解し、手順よく調味料を扱うことができる。(肉じゃが)●無洗米の扱い方を知る。(米飯)●青菜のゆで方を理解する。(ほうれん草の胡麻和え)●肉じゃがが簡単にできることを知る。(肉じゃが)●りんごの飾り切りができる。(りんご)<br>結果と考察<br> 生徒が調理実習で身についたと考えていることは、「実習した料理そのものの作り方」「その後に応用可能な知識・技能」「グループ学習としての学び」の3つに大別できる。「その後に応用可能な知識・技能」のうち多くを占めるのは「材料を切る」など包丁を使う技能であった。包丁を使う技能は、調理実習で多く使用されるだけでなく、生徒にとっては技能の習得を実感しやすいと考えられる。また、振り返りにおいて調理に対する自信を持つようになった生徒は、直後の記録においては「その後に応用可能な知識・技能」を多く記述していた。これは、調理を一つ一つの料理を作る方法としてではなく、複数の調理方法や知識・技能が複合して成立するものとして捉えていることを示していると考えられる。
著者
小清水 貴子 松岡 文子 山本 光世 艮 香織 小倉 礼子 河村 美穂 千葉 悦子 仲井 志乃 仲田 郁子 中村 恵美子 松井 洋子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.65, 2008

<B>研究目的</B><BR> 保育の学習は、母性の保護や子どもの成長・発達がメインである。平成12年高等学校学習指導要領解説(家庭編)では、「少子化の進展に対応して、子どもがどのように育つのかに関心をもち、子どもを生み育てることの意義を理解する学習を重視するために、子どもの発達と保育に関する内容の充実を図った」と述べられている。しかし、少子高齢社会を迎えたいま、中・高校生が小さい子どもとかかわる機会は減少している。生徒たちにとって、赤ちゃんをイメージし、小さい生命に対して自分と同じ命の重みを感じることは難しい。また児童虐待など子育ての困難さから、将来、子どもをもつことに否定的な生徒もいる。そのような生徒たちが、生命について考え、子どもを生み育てることの意義を理解するためには、保育の学習で何を取り上げ、どのような視点に立った授業をすればよいだろうか。<BR> そこで、死から生をとらえ直す授業として『誕生死』を教材にした授業を行い、その実践報告を通して保育で生徒に何を教えるか、保育の学習目標を明らかにすることを目的とする。<BR><BR><B>研究方法</B><BR> (1)メンバーの一人が『誕生死』(流産・死産・新生児死で子をなくした親の会著、2002、三省堂)を教材にした授業実践を報告する。(2)実践報告を聞いて教材や授業の視点について議論する。(3)議論を通して自身の保育の授業を振り返り、メールを利用して意見交換を行う。その後、メンバーが記述した意見をもとに議論・考察を行い、学習目標を検討する。<BR><BR><B>結果と考察</B><BR><U>(1)『誕生死』を教材とした授業実践の概要</U><BR> 授業は平成18年6月、高校2年生の選択科目「発達と保育」で実践した。『誕生死』から一組の夫婦の手記をプリントして、教師が読み聞かせを行い、読後に感想を記述させた。多くの生徒が、出産が必ずしも喜びをもたらすものではないことに気づき、生命の重みを感じていた。また、母親だけでなく父親や祖父母の胎児に対する愛情の深さを感じた様子だった。<BR><U>(2)実践報告後の議論</U><BR> 報告者は生徒の反応に手応えを感じたことから、一教材の提案として実践を報告した。しかし議論では、教材としての妥当性について賛否両論に分かれた。賛成意見では、夫婦の感情が手記に溢れてインパクトが強く、生徒の心に響くなどがあがった。反対意見では、逆にインパクトが強過ぎて生徒の心の揺らぎを受け止めるのは難しいなどがあがった。議論から、生徒に何を教え、考えさせるか、個々の教師が授業を振り返り、学習目標を明らかにすることが必要であることが分かった。<BR><U>(3)教材選択と教師が設定する学習目標</U><BR> 議論後の各自の振り返りから、保育学習の課題として「教材選択と妥当性」と「保育の学習目標」の二つの論点が明らかになった。「教材選択と妥当性」では、教師および生徒の問題意識、教師と生徒との関係性、教師の年齢や生活経験など教師自身のもつ背景が関係していることが分かった。「保育の学習目標」では、とくに生命の誕生に関する学習において、性感染症や中絶などの恐ろしさから生徒の行動抑制に重きをおく授業や、生徒自身の性をみつめることに重きをおく授業など、幅広い学習目標が設定可能である。どのような目標を設定するかは、生徒の実態から教師自身が必要と考える目標を明確にすることが必要である。<BR><U>(4)保育で何を教えるか―私たちが考える保育の学習―</U><BR> 保育では、誕生前より誕生後の子どもの発達にウエイトが置かれている。しかし、人の一生をトータルにみていくことが家庭科独自の視点である。そこで、家庭科教育の中でしか扱えない、誕生前後をつなぐ「性」「生命」を視野に入れた授業が必要である。