著者
笠原 隆行 藤巻 理沙 治部袋 佐知代 和田 純子 佐藤 麻子 稙田 太郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.27-31, 2008

37歳,罹病期間8年の2型糖尿病女性.治療中断後に再開した強化インスリン療法により体重が5 kg増加し,全身浮腫,胸水,肺うっ血を伴う心不全をきたした.入院第5病日,いまだ胸水,下肢浮腫の残存時に行った心超音波検査では,左室壁運動に異常なく,EFは71%と正常であり,拡張機能障害による心不全が疑われた.利尿剤のみで自覚症状,全身浮腫,胸水は約2週間で消失した.血中BNPは第1病日130 pg/m<i>l</i>, 第2病日82.4 pg/m<i>l</i>, 第15病日には4.3 pg/m<i>l</i>と漸次改善した.本例は長期にわたる血糖コントロール不良下に,強化インスリン療法により血糖是正が比較的急速に行われた結果,心不全が誘発されたと想定された.機序としてインスリンのNa貯留作用による循環血液量の増加に加え,潜在する心拡張機能障害が一因となった可能性が示唆される.強化インスリン療法が普及した今日,留意すべき症例と考え報告する.
著者
遠田 瑞穂 吉野 真弓 佐藤 麻子 大竹 美登利
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.117-126, 2001
参考文献数
15

Several industrial arts and home economics textbooks in junior high school have been analyzed as to text, illustrations, photos and charts. Their expressions have been discussed with gender perspectives. Only home economics area has been analyzed and it was divided into 5 sections home life, nutrition, clothing, housing and nursing. Each section was divided into subgroups ; cover, back cover, frontispiece and so on. Summary of the results is shown as follows, 1. There are little expressions in the text that are recognized to be gender biased. 2. Illustration and photos have gender biased ones regarding roles for each gender, particularly in home life area. Gender biased expressions were also observed in covers and frontispieces, in terms of colors. 3. It seemed characteristic that some photos have gender biased expressions that are typically seen in society.
著者
日本糖尿病学会糖尿病関連検査の標準化に関する委員会 桑 克彦 岡橋 美貴子 佐藤 麻子 難波 光義 前田 士郎 村上 正巳 目黒 周 西尾 善彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.336-339, 2021

<p>HbA1cの測定を外部の検査機関に委託した場合,測定値が低値になることがある.その理由として,全血の検体を冷蔵で搬送,保存した場合に,老化した赤血球ほど溶血しやすいことが挙げられる.全血の検体を長時間にわたって冷蔵保存した後に採血管を遠心し,その赤血球層を用いてHbA1cを測定する方法(HPLC法の一部,免疫法の一部および酵素法の一部)では,溶血の影響を受けにくいEDTA採血管を使用することが推奨され,血糖検査用のNaF入り採血管の使用は望ましくない.</p>
著者
三浦 文子 吉野 正代 富岡 光枝 長谷川 美彩 田中 康富 嶺井 里美 尾形 真規子 佐藤 麻子 岩本 安彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.865-870, 2009-10-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
8

簡易血糖測定器は,糖尿病患者が自己管理に用いるだけでなく,臨床現場での迅速な血糖測定に活用されることも多い.安定性については今までにも報告されているが,近年,測定時間の短縮化,血液量の微量化などの改良がなされてきている.そこで,環境・検体要因が血糖測定の安定性に支障をきたすことがないか,5機種の簡易血糖測定器を用いて,高低3濃度の血糖値について検討を行った.5機種とも同時再現性と希釈直線性は良好であった.静脈血血漿と指尖血全血の相関は各機種とも良好であったが,測定環境,患者因子,共存物質の影響で測定原理の違いや機種により測定値にばらつきが認められた.特に,環境因子の影響は血糖濃度により差異が認められ,使用方法や測定環境と共に,血糖実測値の高低による各因子の影響を含め測定値の評価をする必要のあることが示された.
著者
大谷 敏嘉 八尾 建史 佐藤 麻子 岩崎 直子 樋上 裕子 笠原 督 平田 幸正
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.739-746, 1987
被引用文献数
1

1980~1984年に東京女子医科大学糖尿病センター通院中の25歳未満発見NIDDM 97名 (男51名, 女46名, 発見年齢18.4+4.2歳 [mean±SD], 罹病期間7.1±6.4年) について, 糖尿病の遺伝歴と肥満および細小血管症との関係を検討した. 同期通院中の25歳未満発症IDDM 127名 (男60名, 女67名, 発症年齢11.8±5.9歳, 罹病期間10.5±7.2年) を対照とした.<BR>第一度近親に糖尿病を認める発端者は, NIDDM 49.0%, IDDM 11.9%であった (p<0.005). NIDDMで, 三世代にわたってNIDDMの遺伝を有し, 同胞のうち半数以上にNIDDMを認める発端者をMODY, MODY以外のNIDDMをNIDDYと規定したところ, 11.5%にMODYがみられ, 20歳未満発見発端者では19.2%, 20歳以上25歳未満発見発端者では2.3%にMODYを認めた (p<0.025).<BR>過去に肥満を認めたものは, NIDDM 30.9%, IDDM 3.9%であった (p<0.005). 肥満はMODYでは1人もなく, NIDDYでは34.9%にみられた.<BR>網膜症は, NIDDM 36.8%(単純22.1%, 増殖14.7%), IDDM 53.2%(単純43.7%, 増殖 9.5%) にみられた。MODYは41.7%(単純25.0%, 増殖16.7%), NIDDYは36.1%(単純21.7%, 増殖14.5%) に網膜症を認めた. 腎症は, NIDDM 14.7%, IDDM 10.3%にみられた. MODYは16.7%, NIDDYは14.5%に腎症を認めた. 若年発症NIDDMであってもIDDMと同様に重症細小血管症がみられ, また, MODYもNIDDYも細小血管症をおこしやすいものから, おこしにくいものまで幅広いheterogencityを有するものと推論した.
著者
山本 紀久子 佐藤 麻子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, 2012

Abstract:【目的】   社会が大きく変化する中、教員養成課程の充実のためには教員の資質向上の方策の見直しは緊急の課題となっており、教科指導を行う実践的指導力を身に付けた教員の育成は重要である。家庭科の衣生活技能として、なみ縫い、返し縫い、玉結び、玉どめなどの基礎縫いとならぶボタン付けは、基本的な技能である。そこで、小学校教員養成において、小学校の家庭科の授業実践を想定し、学習指導要領 2内容 C 快適な衣服と住まい (1)衣服の着用と手入れ イに記載がみられるボタン付けを取り上げ、ボタン付けの実習・作品の製作で基礎的な技能を身に付けるとともに、実践的指導力を身に付けるために、教材の内容分析、さらに、ボタン付けの内容分析に関連する内容を含む学習指導案と評価問題の作成として具現化することを受講生に求めた。そして、授業後にアンケートを実施した結果を分析することなどを通して、この授業デザインの教育効果を明らかにすることが目的である。【方法】   2011年度I大学後期教職に関する科目「初等家庭科教育法研究C・ D」において、2年次を対象に、90分1コマの講義を3回にわたり実施した。調査対象者は、3回の授業に参加して全てに回答した63人(男21人、女42人)である。具体的内容としては、1)ボタン付けの目標、ボタン付けの要素分析(ボタン・糸・布・針)、ボタン付けに関する目標達成のための教材分析(ボタン付けの下位目標・ボタン付けの教材の分析)、2)ボタン付けの実習、この授業で扱うものと扱わないもの、ボタン付け関連の学習指導案の作成、作品の製作(一部家庭学習)、3)評価問題の作成・まとめである。その後、受講生に、ボタン付け関連の授業デザインについて、5件法による受講生の評価と授業イメージ、自由記述法による感想を求めるとともに、ボタン付けの作品・評価問題の分析を行った。【結果】  教師教育としての授業への導入について、各項目の平均値(標準偏差)を求めた結果、評価問題の作成は4.60(0.53)と最も高く、次にボタン付け・作品の製作4.35(0.70)、ボタン付けの要素分析・教材分析4.17(0.94)、学習指導案の作成4.14(0.78)の順で、平均値で4点以上と、教師教育への導入に好意的評価が得られた。自己評価の平均値(標準偏差)を求めた結果、ボタン付け・作品の製作は4.05(0.83)と最も高く、次に学習指導案の作成3.51(0.88)、評価問題の作成3.40(0.77)の順であった。評価問題の作成の自己評価に比べ、教師教育としての授業への導入は高かった。自由記述法による感想では、評価問題の作成の難しさと初めての評価問題の作成の記述をあげたものが多くみられた。ボタン付け・作品の製作では、ボタン付けの練習のみ16件、小物入れ24件、ティッシュケース7件、ペンケース4件、ブックカバー2件、その他10件で、ボタンは、丈夫に丁寧に付けられていた。自由記述法による感想では、ボタンの内容分析から順を追って子どもの立場、教師の立場の両面から考えることができた、示演用見本についての記述の順で多くみられた。小学校の家庭科授業を想定し、ボタン付けの実習、教材分析・学習指導案・評価問題の作成を取り入れた授業デザインは、有効と考えられる。今後、授業改善に向けて課題を見つけ自分の実践を振り返るなど実践的指導力を向上させる授業デザインとして、相互評価を評価問題に取り入れるなどが課題である。