著者
小澤 広直 佐々木 葉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.38-52, 2021 (Released:2021-05-20)
参考文献数
49

本報告では,昭和戦前期から戦災復興期にかけて内務省や建設省の土木エンジニア,建設官僚として活躍した都市計画家町田保(1903-1967)に着目し,町田の著した論考や書籍,公文書や事業記録などの資料を用いて,町田の経歴や仕事を整理するとともに,代表的な仕事の特徴や町田の考え方について把握することを目的とする.町田に関する年表作成と資料分析を行った結果,戦災復興都市計画では帝都復興事業での経験や知見を生かし,戦災復興院及び建設省の土木エンジニアとして中心的役割を担ったこと,首都建設計画では首都建設委員会事務局長として,戦前の地方計画の研究や戦後のアメリカ都市計画の視察に関する経験を生かし,東京を中心とする衛星都市整備計画や首都高速道路計画の立案に尽力したことなどが把握できた.
著者
藤川 遼 小澤 広輝 小林 淳
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.629-634, 2023-11-15 (Released:2023-11-15)
参考文献数
23

完全内臓逆位に合併した肺癌に対してfissureless lobectomyを施行した1例を報告する.症例は完全内臓逆位を指摘されている67歳女性.血液透析のシャント瘤増大を主訴に受診し,CTで偶発的に左上葉結節影を指摘された.気管支鏡検査を含む全身評価でcT1aN0M0,cStageIA1,腺癌と診断し,手術を行った.小開胸によるhybrid VATSアプローチで手術を開始,左肺は3葉に分かれていたが,分葉不良でありfissureless lobectomyを行うこととした.鏡面像であったが術前の3D-CTで解剖を把握していたため,通常の右上葉切除術と同様の手順で左上葉のfissureless lobectomyを完遂した.完全内臓逆位患者においても,術前に3D-CT等で綿密な計画を立てることでfissureless lobectomyは安全に施行可能であった.
著者
吉井 新二 黒河 聖 今村 哲理 安保 智典 本谷 聡 前田 聡 小澤 広 萩原 武 西岡 均 後藤 田裕子 村岡 俊二 須賀 俊博
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.2978-2983, 2007-12-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
10

:56歳女性.大腸内視鏡検査にて下部直腸に径10mmの粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査にて,第2~3層に主座を置く低エコー性病変とその中心部に石灰化を疑うストロングエコー像を認めた.内視鏡的切除術を施行し,病理所見はcarcinoid tumor,深達度sm,lyO,v1で,腫瘍部中心に石灰化所見を認めた. 消化管カルチノイド腫瘍の石灰化例は稀で,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
小澤 広太郎 金井 忠男 栗原 浩幸 山腰 英紀 石川 徹
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.293-296, 2002 (Released:2009-06-05)
参考文献数
8
被引用文献数
1

酸化マグネシウムは副作用が比較的少なく安全な下剤であり,治療科目にとらわれず汎用される薬剤である.今回肛門狭窄を伴う便秘患者が酸化マグネシウムを大量服用することによって生じた直腸内巨大腸石症例を経験したので報告する.症例は69歳,女性.排便困難を主訴に来院した.肛門診察にて肛門狭窄を認めたため,10月8日入院し,肛門拡張術を施行した.退院後肛門指診にて,ざらざらした砂状の凝集塊と表面不整で非常に硬い腸石を認め,腹部X線を撮影したところ骨盤内に直径6cm大の腸石像を認めた.11月15日再入院し,直腸内腸石摘出術を行った.摘出標本は茶褐色で非常に硬く表面不整であった,腸石の成分は炭酸マグネシウムとして59.9%であり,酸化マグネシウムの大量常用による直腸内巨大腸石症と診断された.酸化マグネシウムは汎用される薬剤であるが安易に増量すべきでなく,他の薬剤を併用するなどの注意が必要と考えられた.