著者
小野 正樹
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センター日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-15, 2003

モダリティ研究の枠組みで、「ト思う」と「のだ」についてコミュニケーション機能の違いを追求した。両者とも「寒いと思います」「寒いんです」のように、話し手の主観を伝えることができるが、用法の比較を行うと、「ト思う」述語文の方が聞き手を配慮し、かつ、わきまえ性が高い。そして、両者の原理を明らかにするために、両者が連続した場合を観察すると、「ト思う」が「のだ」に先行する「と思うんです」の場合には主張の文機能となるが、「んだと思います」では理由説明の文機能となり、理由がスコープされるが、その理由が明示的な場合には不自然になることを述べた。
著者
加納 千恵子 衣川 隆生 小林 典子 酒井 たか子 小野 正樹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

非漢字圏学習者の漢字語彙処理能力を字形識別力、意味理解力、読み処理能力、書き処理能力、用法処理能力、音声処理能力などの観点から測定するための標準テストを開発した。平成12年度は、筑波大学留学生センター及び米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)において予備テスト(第1版テスト)の実施・検討を行い、本テストに関する資料を準備し、次年度以降のテスト実施に協力してくれる機関、教育関係者に連絡を行った。平成13年度は、本テスト(第2版テスト)を完成し、筑波大及びUCSDにおいて実施、受験者のデータを収集した。また、テスト資料および実施マニュアルを作成し、本研究の協力校として米国ハワイ大学の日本語教育担当者に配布、3月に打合せと研究成果報告を行った。平成14年度は、第2版テストの結果の分析・考察を行って標準化を図り、その研究成果を米国カリフォルニア大学サンディエゴ校で7月11日〜14日に開催された第3回「日本語教育とコンピュータ」国際会議『CASTEL/J2002』において発表した。またその成果に基づいて、テスト問題の形式、内容を修正・改訂し、WEB上で受験可能な漢字語彙力測定テストのプロトタイプ版(第3版テスト)を完成した。そして筑波大の日本語コースにおいてこのWEB版テストを実施し、受験データを収集した。さらに、3月に韓国の慶熙大学校国際教育院を訪問し、現地の日本語教育関係者との意見交換および情報収集を行って、テスト受験者として想定している非漢字圏学習者の中に韓国人学習者を含めるかどうかを検討した。平成15年度は、WEB版テストの外部公開を目指し、筑波大においてさらに受験データを収集、テスト画面および内容の改善を行った。WEB版(プロトタイプ版)漢字語彙力測定テストは、海外の協力機関においては動作環境の確保が難しくまだ実施できていないが、最終年度に当たり、研究成果報告書および「受験のためのマニュアル」資料を作成して印刷した。
著者
小野 正樹
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センター日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.13, pp.117-128, 1998-02-20

本研究は日本語とドイツ語の初級教科書のダイアローグを取り上げ,情報提供内容の異なりを見たものである。言語と情報提供内容の関わりがあると仮定した上で,情報内容を情報提供者の1)アイデンティティ,2)感覚,3)行為,4)所有物,5)家庭,6)所属組織,7)所属地域,8)文化の8 つの範疇に分類し,どのような情報内容が初級教科書で取り上げられているのかを観察した。その結果,日本語では家庭や所有物についての情報提供が多く,また,目標言語からみて異国で作られた教科書は文化の内容が多いことが明らかになった。\This paper examines the tendency of "informative" content in conversations found in textbooks of Japanese and German. The following eight areas of information are investigated: 1) identity, 2) feelings, 3) activity, 4) possessions, 5)family, 6) organization of affiliation, 7) area of affiliation and 8) culture. We conclude from this observation that we can see more information about family and possessions in Japanese textbooks, and that the textbooks written abroad involve more information about culture.
著者
小野 正樹
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.14-15, 1997

This paper shows the difference of" informative " sentences of conversations found in Japanese textbooks as compared to those found in German textbooks. The following eight points about the informer are investigated: 1) identity, 2) sense, 3) activity, 4) possessions, 5) family, 6) organization belonged to her/him, 7) staying area, 8) culture. We conclude from this observation that we can see more information about family and possessions in Japanese textbooks, and that the textbooks written abroad involve information on culture.
著者
小野 正樹
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2009-2011
著者
小野 正樹
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センター日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-15, 2003-02-22

モダリティ研究の枠組みで、「ト思う」と「のだ」についてコミュニケーション機能の違いを追求した。両者とも「寒いと思います」「寒いんです」のように、話し手の主観を伝えることができるが、用法の比較を行うと、「ト思う」述語文の方が聞き手を配慮し、かつ、わきまえ性が高い。そして、両者の原理を明らかにするために、両者が連続した場合を観察すると、「ト思う」が「のだ」に先行する「と思うんです」の場合には主張の文機能となるが、「んだと思います」では理由説明の文機能となり、理由がスコープされるが、その理由が明示的な場合には不自然になることを述べた。