著者
加納 千恵子
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センター日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.13, pp.61-96, 1998-02-20

漢字圏の外国人日本語学習者は,漢字音の読みにおいて,清音・濁音の区別や母音の長短,促音の有無などに間違いが多く,またそのような間違いは中上級に進んでも残りがちであることが指摘されている。本論文では,その中でも特に学習者からの質問が多い漢字音の促音化の問題に焦点を絞り,どのような場合に促音化が起こるのかを整理する。そして,このような漢字圏学習者の弱点を克服させるためには,どのような漢字の教授法が効果的かについても検討する。Students from kanji background countries tend to retain certain errors such as the distinction between voiceless and voiced consonants, long and short vowels, single and double consonants, etc. in the ON reading of kanji. Kanji that can cause doubling of consonants are taken up particularly for discussion in this paper and the author tries to explain when doubling of consonants occurs. The author also examines ways of teaching such kanji for the students of kanji background.
著者
加納 千恵子 衣川 隆生 小林 典子 酒井 たか子 小野 正樹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

非漢字圏学習者の漢字語彙処理能力を字形識別力、意味理解力、読み処理能力、書き処理能力、用法処理能力、音声処理能力などの観点から測定するための標準テストを開発した。平成12年度は、筑波大学留学生センター及び米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)において予備テスト(第1版テスト)の実施・検討を行い、本テストに関する資料を準備し、次年度以降のテスト実施に協力してくれる機関、教育関係者に連絡を行った。平成13年度は、本テスト(第2版テスト)を完成し、筑波大及びUCSDにおいて実施、受験者のデータを収集した。また、テスト資料および実施マニュアルを作成し、本研究の協力校として米国ハワイ大学の日本語教育担当者に配布、3月に打合せと研究成果報告を行った。平成14年度は、第2版テストの結果の分析・考察を行って標準化を図り、その研究成果を米国カリフォルニア大学サンディエゴ校で7月11日〜14日に開催された第3回「日本語教育とコンピュータ」国際会議『CASTEL/J2002』において発表した。またその成果に基づいて、テスト問題の形式、内容を修正・改訂し、WEB上で受験可能な漢字語彙力測定テストのプロトタイプ版(第3版テスト)を完成した。そして筑波大の日本語コースにおいてこのWEB版テストを実施し、受験データを収集した。さらに、3月に韓国の慶熙大学校国際教育院を訪問し、現地の日本語教育関係者との意見交換および情報収集を行って、テスト受験者として想定している非漢字圏学習者の中に韓国人学習者を含めるかどうかを検討した。平成15年度は、WEB版テストの外部公開を目指し、筑波大においてさらに受験データを収集、テスト画面および内容の改善を行った。WEB版(プロトタイプ版)漢字語彙力測定テストは、海外の協力機関においては動作環境の確保が難しくまだ実施できていないが、最終年度に当たり、研究成果報告書および「受験のためのマニュアル」資料を作成して印刷した。
著者
加納 千恵子
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-10, 2017 (Released:2020-02-22)
参考文献数
12

日本語の漢字は,字形・読み・意味・用法という4情報を併せ持つ表語文字であるために記憶の負担が大きく,特に非漢字圏の学習者にとってその習得が困難であるとされてきた。しかし,実は漢字圏学習者にとっても日本語の漢字語彙の習得はけっして易しいものではない。文化圏によってその学習上の困難点は異なるものの,日本語の漢字は,文字というより語彙として覚えるという学習方法がどちらの学習者にとっても必要であり,そのための効果的な方法として音声と表記を結びつける活動を提案し,新たな評価方法についても考える。
著者
加納 千恵子
出版者
一般社団法人日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.7-10, 1995-05-13
被引用文献数
1
著者
酒井 たか子 加納 千恵子 李 在鎬 小林 典子 関 裕子 田中 裕祐 河野 あかね 清水 秀子 加藤 あさぎ 甲斐 晶子 董 然 孫 辰 杜 暁傑 阿部 宥子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

多言語背景で日本語を学習している年少者の学習支援に役立つ情報を提供する目的で、教科の学習に必要な語彙調査研究を行った。理科に関しては、小学校3年生から6年生の教科書の分析、教員による重要度判定を行い重要語彙の表を作成した。また学習言語を中心として日本語力診断テスト(SPOT、漢字SPOT、漢字テスト)を作成し、インターナショナルスクールでの縦断的研究、公立小学校での調査を行い、テストの有効性を確認した。