著者
加藤 健 兼本 園美 北村 正樹 畠山 まり子 奈良 京子 吉川 晃司 町田 勝彦 小野寺 昭一 吉田 正樹 柴 孝也
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.223-228, 2002-05-24 (Released:2010-07-21)
参考文献数
2

当院には, 感染制御チームをはじめとする感染症に関する様々な部門が組織化されている. 今回は, 院内感染対策の中心的役割を果たしている感染制御チームと事務局である病院管理課の業務を通じて, 院内感染対策における事務部門の役割について検討した. 事務局が, 感染症関連情報を一元管理することにより, 病院全体での感染症対策のレベルアップや管理体制の整備・拡大につながり, 病院管理部門と診療部門の円滑な運営をもたらすことができ, さらに, 臨床現場の意見が反映された改訂版の感染対策ガイドラインが作成されることになった. このような実績をもとに, 病院のクオリティ向上に貢献するとともに, 院内感染対策に対するリスクマネジメント体制が整備されることになった.
著者
岡崎 武二郎 高畠 浩 角 ゆかり 梅内 正勝 町田 豊平 小野寺 昭一 清田 浩
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-6, 1993-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
8

都立台東病院産婦人科でクラミジア陽性と診断された妊婦の男性配偶者で, 1989年8月から1992年5月までに同泌尿器科を受診した149症例を対象として, クラミジア血清抗体検査 (イパザイム®) と抗原検査 (クラミジアザイム®あるいはIDEIAクラミジア®) の2方法でクラミジア検査を行った.149例中90例 (60.4%) は, 抗体検査でクラミジア陽性であった. 抗原検査では, 149例中11例 (7.4%) が陽性を示し, この11例はすべて抗体も陽性であった.抗原陽性11例の患者は, 全例尿道炎の自覚症状はなかったが, 8例は他覚的には尿道炎の所見が認められた. しかし, 3例は自覚的にも他覚的にも正常で, 典型的な不顕性クラミジア感染症であった.今回の検討で, クラミジア抗原陽性症例は少なかったが, 抗体検査では半数以上が陽性であり, クラミジアは不顕性感染で家庭内に侵入していくものと思われた.
著者
岡崎 武二郎 大橋 誠 一言 広 石上 武 町田 豊平 小野寺 昭一
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.280-283, 1990

1988年に都立台東病院泌尿器科の男子淋菌性尿道炎患者から分離されたPPNG22株について, プラスミドDNAの測定を行った.<BR>PPNG22株のうち3株 (14%) は3.3メガダルトンのプラスミドを有し, しかも3株全部が同時に24.5メガダルトンの耐性伝達プラスミドをも有する新アフリカ型PPNGであった. また, 22株のうち19株 (86%) は4.4メガダルトンのプラスミドを有するアジア型であり, この19株のうち5株 (26%) は24.5メガダルトンのフプラスミドを有していた.<BR>新アフリカ型PPNG3症例の感染源は, 1例はフィリピンであったが, 2例は都内のソープランドであり, 新アフリカ型PPNGがすでに国内に定着していることが示唆された.
著者
遠藤 勝久 清田 浩 小野寺 昭一
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.522-528, 1992-04-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
16

本研究は尿を培地とした場合の抗菌剤の抗菌力測定が, 日本化学療法学会の定めたMueller-Hinton brothを用いた標準法とどのように異なるかを比較し, 標準法における問題点を検討したものである.さらに尿培地の物理化学的条件として, pH, マグネシウム濃度およびカルシウム濃度が尿中抗菌力測定に及ぼす影響についても検討した.尿培地は腎機能正常な健康成人男子より採取した尿を使用し, chelatingresinにより2価陽イオンを除去した.この尿をもとに, 尿のpH, マグネシウム濃度およびカルシウム濃度を変化させ抗菌力の変化を観察した.被験菌株は大腸菌を使用し, 抗菌剤はニューキノロン剤を採用した.試験管内抗菌力は日本化学療法学会の定めた標準法を用いさらに尿中での抗菌力測定も行った.その結果, Mueller-Hintonbrothを用いた試験管内抗菌力と異なる成績が得られ, 尿培地がアルカリ性に傾く程, また尿中マグネシウム濃度が低い程, 抗菌力は優れていた.尿培地中カルシウム濃度は影響を示さなかった.以上より, 尿路感染症における菌の感受性試験において, 尿中での抗菌力を正当に評価するためにはMueller-Hintonbrothでの抗菌力測定の代わりに, 尿または尿類似の培地で測定し抗菌化学療法を進めることが理想的であり, 培地のpHおよびマグネシウム濃度の影響を考慮し培地の一定化を図ることが重要であると考えられた.