著者
尾家 重治 河合 伸也
出版者
一般社団法人日本医療機器学会
雑誌
医療機器学 (ISSN:18824978)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.14-18, 2022 (Released:2022-04-05)
参考文献数
16

The fabric structures of re-usable (cotton, polyurethane, polyester 95% with polyurethane 5%, polyester 95% with spandex 5%) face masks compared to disposable non-woven masks were observed under scanning electron microscopy. We found re-usable face masks in general have homogeneous pore sizes of approximately 0.1 - 0.5 mm. In comparison, non-woven masks have two fiber layers separated by one densely non-woven labyrinthine layer with disordered three dimensional microfibers. We found most (7 out of 8) non-woven masks shared this similar dense second layer composition. Our observation for masks under the electron microscopy provides structural evidence underlying infection-preventing superiority of non-woven over re-usable (cotton, polyurethane, polyester 95% with polyurethane 5%, polyester 95% with spandex 5%) face masks. Furthermore, we found that non-woven masks do not always have the disordered dense middle layer, which suggests that some products of non-woven masks may not provide equal protection for infection.
著者
尾家 重治 河合 伸也
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.157-160, 2021-05-25 (Released:2021-11-25)
参考文献数
4

“除菌”,“アルコール”,“99.9%”などの表示から殺微生物効果を連想させる市販製品(環境用または環境・手指用)の殺細菌効果について,Enterococcus faecalisを用いて調べた.28製品中13製品(46.4%)が5分間の接触で殺細菌効果を示さなかった.これら28製品のうちのエタノールを含有する14製品(実測値で7.9~65.7 vol%のエタノールを含有)では,14製品中1製品(7.1%)が殺細菌効果を示さなかった.また,塩素系薬剤を含有する10製品(実測値で0.06~144 ppmの遊離残留塩素を含有)では,すべての製品(100%)が殺細菌効果を示さなかった.殺微生物効果を連想させる市販製品の半数近くが殺細菌効果を示さなかった.
著者
尾家 重治 神谷 晃 石本 博美 弘長 恭三 神代 昭
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.117-121, 1990-02-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
22

微生物汚染を受けた超音波加湿器は, 過敏性肺臓炎や感染症の原因となることが知られている。今回, 我々は学校, 家庭, 小売店, および美容院など市中で用いられていた超音波加湿器20台について, 振動子水槽水の微生物汚染を調査したところ, 13台は104~105コ/mlレベル, また残り7台は102~103コ/mlレベルの細菌汚染であった。すでに, 104~105コ/mlレベルの細菌汚染を受けた超音波加湿器が過敏性肺臓炎の原因となったとの報告があるので, 調査した超音波加湿器の過半数は, 過敏性肺臓炎の原因となりうることが推定できた。おもな汚染菌は, Pseudomonas属などのブドウ糖非発酵菌であった。超音波加湿器の細菌汚染のおもな原因として, 本装置が構造的に洗浄・消毒が困難であることがあげられる。
著者
尾家 重治 神谷 晃
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.743-746, 1992-06-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
19

経腸栄養剤の投与バッグ内壁の赤色化から, 本剤の高濃度細菌汚染が判明した事例を経験した。使用残液の検討よりバッグ内壁の着色は, Serratia marcescensが産生した赤色色素によるものであることが判明した。この汚染原因としては, 16時間という長時間をかけて投与していたことと, 調製用具や投与バッグを水洗のみで繰り返し使用していたことが考えられた。
著者
消化器内視鏡の感染制御に関するマルチソサエティ実践ガイド 作成委員会 尾家 重治 大久保 憲 伏見 了 赤松 泰次 石原 立 佐藤 公 佐藤 絹子 田村 君英 藤田 賢一
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.S1-S27, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
81
被引用文献数
4 2

改訂にあたって  「消化器内視鏡の洗浄・消毒マルチソサエティガイドライン」は、2008 年 5 月に初版を発行して以来大きな反響があった。本ガイドラインの初版は、日本消化器内視鏡学会甲信越支部感染対策委員会による「内視鏡消毒法ガイドライン(1995 年)」、日本消化器内視鏡技師会消毒委員会による「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン(1996 年)」、日本消化器内視鏡学会消毒委員会による「消化器内視鏡機器洗浄・消毒法ガイドライン(1998 年)」の記載を基本として、その後の新しいエビデンスを踏まえて作成されたものである。今回、初版の発行から約 5 年が経過したことと、米国における消化器内視鏡のマルチソサエティガイドラインが改訂されたことを機会に、わが国においても改訂版を発行する必要があると判断した。  関連する学会や業界のコンセンサスを得る必要があり、ドラフト(草案)を上記 3 学会および、内視鏡に関連する 17 学会、さらに内視鏡製造業界および自動洗浄器業界、消毒薬製造販売業界に対して広くパブリックコメントを求めた。  標準予防策(スタンダードプリコーション)などの感染防止の基本的事項については特に触れず、消化器内視鏡の感染制御および洗浄・消毒に関わる処理を中心にまとめており、消化器内視鏡検査の実施に即応して、この実践ガイドが容易に適用できることを目指した。特に高水準消毒薬の反応(接触)時間等については、消毒薬の添付文書とは異なる場合もあり、諸外国でのデータなどを参照して実務的に判断した。  なお、勧告事項の実証性水準については、できるだけ簡明となるように、本文の要求分類は原則として二種類とし、その表現方法の例を下記に示す。推奨度の分類は、消化器内視鏡の感染制御に関する専門家の合意に基づいて行った。 ① 推奨度Ⅰとは、必須の要件であり、すべての施設において実施すべき事項 ② 推奨度Ⅱとは、現状では必須と位置づけるものではないが、実施が望ましい事項  医療施設の内視鏡検査室において、本実践ガイドを参照して、自施設のマニュアル(手順書) を作成し、消化器内視鏡に係る感染制御の実務に広く利用され、患者およびスタッフの安全の一層の向上に寄与できることを期待する。  今回の改訂版は「ガイドライン」ではなく「実践ガイド」という名称を用いた。その理由として、昨今「ガイドライン」の策定においては、厳密なエビデンスに基づくことや、作成者だけでなく評価者を同時に設置するといった、綿密な作成過程が要求される傾向にある。今回の改訂版は、3学会の専門家による合意を中心に作成されていることから、「ガイドライン」ではなく、あえて「実践ガイド」とした。
著者
尾家 重治 神谷 晃
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.16-19, 1994-10-12 (Released:2010-07-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Microbial contamination was investigated for communal hand towels used by healthcare workers in hospital wards. All 8 towels studied were contaminated with a microbial level of 104-109 viable counts/towel. The main organisms identified were glucose nonfermentative gram-negative bacilli, including Acinetobacter spp. and Pseudomonas spp. In addition, methicillin-sensitive Staphylococcus aureus, 3.4×102-3.7×105 viable counts/towel, was detected in 4 (50%) out of the 8 towels; methicillinresistant Staphylococcus aureus was also detected in 1 of these towels (12.5%). The results suggested that the use of communal hand towels should be avoided from the viewpoint of preventing nosocomial infections.