著者
伏見 了 野口 悟司 船越 文男 高階 雅紀 中田 精三 田野 保雄
出版者
一般社団法人 日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.648-651, 2000-12-01 (Released:2022-02-17)
参考文献数
8
被引用文献数
10 6

Detergents contained enzymes that claim stronger washing ability and less damages are used widely for washing out blood or minute tissues adhered to various operation apparatus. It is known that enzyme protein shows maximum activity at 40℃ and is more stable when stored at the lower temperature. However, detergents contained enzymes are stored at room temperature in the most of operation theaters, and furthermore they are transported from manufacturers to any of distribution route in nonrefrigerated condition. When we measured Protease activities at 4℃ and 40℃ during 161 days storage period, the activity at 4℃ was stable but at 40℃ decreased 38.0% in average. In comparison of Protease activities at 20℃ and 40℃, the latter showed twice higher activity. When we studied the correlation between temperatures and the washing ability of detergents contained enzymes using Adenosine triphosphate as the marker, the washing ability at 40℃ was stronger than that at 20℃.
著者
消化器内視鏡の感染制御に関するマルチソサエティ実践ガイド 作成委員会 尾家 重治 大久保 憲 伏見 了 赤松 泰次 石原 立 佐藤 公 佐藤 絹子 田村 君英 藤田 賢一
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.S1-S27, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
81
被引用文献数
4 2

改訂にあたって  「消化器内視鏡の洗浄・消毒マルチソサエティガイドライン」は、2008 年 5 月に初版を発行して以来大きな反響があった。本ガイドラインの初版は、日本消化器内視鏡学会甲信越支部感染対策委員会による「内視鏡消毒法ガイドライン(1995 年)」、日本消化器内視鏡技師会消毒委員会による「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン(1996 年)」、日本消化器内視鏡学会消毒委員会による「消化器内視鏡機器洗浄・消毒法ガイドライン(1998 年)」の記載を基本として、その後の新しいエビデンスを踏まえて作成されたものである。今回、初版の発行から約 5 年が経過したことと、米国における消化器内視鏡のマルチソサエティガイドラインが改訂されたことを機会に、わが国においても改訂版を発行する必要があると判断した。  関連する学会や業界のコンセンサスを得る必要があり、ドラフト(草案)を上記 3 学会および、内視鏡に関連する 17 学会、さらに内視鏡製造業界および自動洗浄器業界、消毒薬製造販売業界に対して広くパブリックコメントを求めた。  標準予防策(スタンダードプリコーション)などの感染防止の基本的事項については特に触れず、消化器内視鏡の感染制御および洗浄・消毒に関わる処理を中心にまとめており、消化器内視鏡検査の実施に即応して、この実践ガイドが容易に適用できることを目指した。特に高水準消毒薬の反応(接触)時間等については、消毒薬の添付文書とは異なる場合もあり、諸外国でのデータなどを参照して実務的に判断した。  なお、勧告事項の実証性水準については、できるだけ簡明となるように、本文の要求分類は原則として二種類とし、その表現方法の例を下記に示す。推奨度の分類は、消化器内視鏡の感染制御に関する専門家の合意に基づいて行った。 ① 推奨度Ⅰとは、必須の要件であり、すべての施設において実施すべき事項 ② 推奨度Ⅱとは、現状では必須と位置づけるものではないが、実施が望ましい事項  医療施設の内視鏡検査室において、本実践ガイドを参照して、自施設のマニュアル(手順書) を作成し、消化器内視鏡に係る感染制御の実務に広く利用され、患者およびスタッフの安全の一層の向上に寄与できることを期待する。  今回の改訂版は「ガイドライン」ではなく「実践ガイド」という名称を用いた。その理由として、昨今「ガイドライン」の策定においては、厳密なエビデンスに基づくことや、作成者だけでなく評価者を同時に設置するといった、綿密な作成過程が要求される傾向にある。今回の改訂版は、3学会の専門家による合意を中心に作成されていることから、「ガイドライン」ではなく、あえて「実践ガイド」とした。
著者
花村 亮 伏見 了 中田 精三 野口 悟司 高階 雅紀 水谷 綾子 門田 守人 川本 武
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

〔目的〕すべての消毒薬には蛋白質変性作用があることから,血液などで汚染された器械は十分に洗浄された後に消毒薬による処理やオートクレーブなどによる滅菌を行うことが公的機関から勧告され,成書にも記載されている.しかし,現実には汚染器械をそのまま,または簡単な洗浄の後に消毒薬に浸漬している施設が非常に多い.そこで,血液および血液成分を塗布した汚染モデルを用いて一次消毒された汚染物がその後の洗浄においていかに障害となるかを明らかにしたので報告する.〔材料〕高,中,低レベル消毒薬として日常広く使用されている8種類を用い,浸漬洗浄用洗剤には1%の酵素洗剤とアルカリ性洗剤を使用した.汚染モデルにはTOSI^【○!R】(Pereg社)を使用して洗浄後の残存蛋白質をニンヒドリン反応で確認した.〔方法および成績〕1mlの血液と4mlの消毒薬を混合すると血液中蛋白質が寒天状または遠心分離によって沈殿物を形成するほどに変性した.消毒薬未処理のTOSI^【○!R】は20分間の酵素およびアルカリ洗剤による浸漬洗浄で付着蛋白質が分解されるのに対して,消毒薬処理(30分間の浸漬)によって変性した蛋白質はほとんど分解されずに残存した.消毒薬処理したTOSI^【○!R】をウォッシャーディスインフェクタで洗浄した結果,グルタールアルデヒドおよびフタラール処理で変性蛋白質は残存していた.また,超音波洗浄した結果グルタールアルデヒド,過酢酸,フタラール,塩化ベンザルコニウムで処理した場合に変性蛋白質が残存した.〔結論〕消毒薬の作用によって血液中蛋白質が変性し,しかもこの変性蛋白質は酵素およびアルカリ性洗剤の分解作用を受けないことから洗浄の大きな障害となる.したがって,一次消毒は禁止すべきと思われる.