著者
杉浦 正利 木下 徹 山下 淳子 滝沢 直宏 藤村 逸子 成田 克史 大室 剛志 大野 誠寛
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

第二言語(外国語)で、読んだり書いたりする際に、単語の連続(連語)をどのように処理しているのかを観察した。読解時の視線をミリ秒単位で記録する視線計測装置による実験で、英語では連語の頻度の差により母語話者と学習者の処理は違うという結果が得られたが、フランス語では頻度の差は影響するが母語話者と学習者で処理に差はなく、ドイツ語では頻度の差は母語話者にも学習者にも影響しないという結果が得られた。また、英文を書く際には、書く過程と書いた結果とでは必ずしも連語は一致しないという結果が得られた。
著者
杉浦 正利 木下 徹 山下 淳子 井佐原 均 大名 力
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本研究では、書きことばと話しことばに関する英語学習者の産出データを大量に収集し、各文に英語母語話者による「書き換え文」を付けた上で、自然言語処理技術を応用し「誤り」や「不自然な表現」をコンピューターを使い自動的に抽出・解析・分類し、その特徴を英語教育の専門家が分析することで、英語学習者の中間言語体系全般にわたるエラーの全体像を明らかにすることを目的としている。本年度は、これまでの分析のまとめと、研究成果および開発したプログラムとデータを公開するための環境整備を行った。(1)英語学習者の誤りに関する体系的な分析:話しことぱと書きことばに関する分析を統合した。(1-1)誤用タグの種類と付与方法に関する知見をまとめた。(1-2)話しことばに関する誤用の傾向をまとめた。(1-3)書きことばに関する誤用の傾向をまとめた。(1-4)話しことばと書きことばの誤用の相違点をまとめた。(1-5)英語学習者の言語習得プロセスを誤用データの分析から把握できるような指標の開発を試みた。(2)開発したプログラムの公開:本研究で開発した誤り表現の自動抽出プログラムをWWW上に公開できるようにした。本プロジェクトで得られた知見のみならず、開発したプログラムも広くフリーで使用できるようにする。(3)データベースの公開:本研究で作成した誤りデータベースをWWW上で検索可能にし公開できるようにした。本プロジェクトで得られたデータをまとめ、今後、本格的に誤用研究を行う際に、さまざまな観点から誤用分析を試せるような検索システムを開発した。本研究により、自然言語処理技術の応用による誤用分析の可能性を追求できたとともに、その限界や問題点も把握でき、今後、本格的な誤用分析研究を行うための基礎となる有益な知見を得ることができた。
著者
草薙 邦広 山下 淳子
出版者
全国英語教育学会
雑誌
ARELE : annual review of English language education in Japan (ISSN:13448560)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.205-220, 2013-03-31

The present study investigated effects of agreement type and morphosyntactic regularity on L1-Japanese learners' acquisition of explicit and implicit grammatical knowledge of the English plural morpheme. We adopted a timed grammaticality judgment task (TGJT) to measure implicit knowledge and an untimed grammaticality judgment task (GJT) for explicit knowledge in order to observe differences between learning difficulties in each type of knowledge. Twenty six participants completed the two tasks, and the scores were submitted to a three-way ANOVA (task types, agreement types, and morphosyntactic regularity). Only the main effect of morphological regularity was statistically significant in TGJT, while the interaction between agreement type and morphosyntactic regularity was observed in GJT. This result indicated that the two linguistic factors affect the acquisition of explicit and implicit knowledge in different ways.
著者
滝沢 直宏 山下 淳子
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

多様な学術英語におけるレキシカル・バンドルについて検討した。まずその概念を検討すると共に、巨大なコーパスからレキシカル・バンドルを抽出する方法を考察し、学術英語からの「レキシカル・バンドルの抽出を実際に行った。また、実際の授業においてレキシカル・バンドルの概念を導入することにより、学生の表現能力の向上が如何に図られるかを検討した。更に、レキシカル・バンドルに重点を置いた記事を、Asahi Weekly紙上において連載した。巨大な電子資料から高速に情報を抽出するシステムの開発を行った。