- 著者
-
木下 徹
藤井 健志
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.1, pp.8-17, 2019 (Released:2019-07-20)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
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高齢化社会の大きな問題のひとつに認知症がある。近年のコホート研究において,血中コエンザイムQ10(CoQ10)濃度が高い者ほど認知症発症リスクが低いとの結果が報告されている。本研究では地域住民を対象とし,ユビキノール(還元型CoQ10)の摂取による血清ユビキノール濃度および認知機能の変化を評価した。愛媛県上島町在住で,1日100~150mgのユビキノールを6か月~2年間継続摂取した61名(男性26名,女性35名,33~87歳)について,摂取前後での血清ユビキノール濃度及び1分間のDigit Symbol Substitution Test(DSST)スコアを評価した。さらに,3か月間の非摂取期間後の血清中ユビキノール濃度とDSSTスコアについても分析した。ベースラインにおいて,年齢とDSSTスコアは強い負の相関を示したが,血清ユビキノール濃度とDSSTの間には有意な相関は認められなかった。ユビキノールの長期摂取により,血清ユビキノール濃度は有意に上昇し,DSSTスコアも有意に上昇した。また,3か月間の非摂取期間後,血清ユビキノール濃度はベースライン値まで有意に低下したが,DSSTスコアについては有意な変化は見られず高い値が維持された。本研究は単群試験であり結果の解釈には留意が必要であるが,ユビキノールの長期摂取によって認知機能が改善する可能性が示された。