著者
谷山 牧 荒木田 美香子 山下 留理子 橋本(小市) 理恵子 大久保 豪 甲斐 一郎
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.263-273, 2018 (Released:2019-02-16)
参考文献数
25
被引用文献数
1

【目的】就労支援を受ける生活保護受給者,生活困窮者自立支援法対象者(以下,生活困窮者)31名への面接調査を通じ,就労意欲に影響を与える健康特性を明確化すること.【結果】質的分析の結果,【他者から理解されがたい持続的な苦痛】,【ストレスへの脆弱さ】,【社会的適応の困難さ】,【自己流の健康管理】の4カテゴリーを抽出した.また,就労意欲への影響要因として,【就労することへの期待】,【生活保護廃止への不安と葛藤】,【社会から排除されているという感覚】の3カテゴリーを抽出した.これらが関連し〖健康課題を抱えながらの就労と,生活保護受給継続との間での就労意欲のゆらぎ〗を引き起こしていた.【結論】今回抽出した健康特性からみると,生活困窮者の就労支援に医療や心理の専門職が参加することにより,効果的な就労支援につながる可能性が示唆された.
著者
山下 留理子 荒木田 美香子
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.39-49, 2014 (Released:2015-01-13)
参考文献数
25
被引用文献数
2

目的:特定保健指導における保健指導の技術の経験,自信,修得意思について,保健師と管理栄養士で相違を明らかにし,両職種の技術の向上につながる研修への示唆を得ることである.方法:全国の自治体及び保健指導実施機関で保健指導に従事する保健師,管理栄養士(1,758人)を対象に横断調査を実施した.49項目の保健指導の技術の経験,自信,修得意思の程度と研修の参加状況等について,郵送による無記名自記式質問紙調査で尋ねた.有効回答率は40.8%で保健師503人,管理栄養士215人を分析対象とした.技術項目ごとにMann-WhitneyのU検定,χ2 検定,t検定を用いて,職種間で比較検討をした.結果:管理栄養士の方が「経験が少ない」と回答した割合が高かったものは,49項目のうち20項目あった.「健診・保健指導事業の企画・立案・評価技術」の領域で,すべての技術において経験が少なかった.保健師の方が「自信なし」と回答した割合が高かったのは,「栄養学および食事摂取基準,関連学会ガイドラインの食事療法を理解して活用する」等16項目であった.また,保健師の方が「経験は多いが自信なし」と回答した割合が高かった技術は19項目あった(p<0.05).結論:保健師と管理栄養士の保健指導の技術において,経験,自信,修得意思に職種間の相違がみられた.また,保健師の方が経験は多いが自信がないと回答した技術項目が多かった.
著者
保母 恵 谷山 牧 山下 留理子 鳥本 靖子
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

地域包括支援センターにおける総合相談支援は、すべての活動の出発点となる最も重要な業務の一つである。保健・福祉の専門職が、専門性にかかわらず高齢者のあらゆる相談に応じ、必要な支援につなげるワンストップサービスを担っている。相談件数は増加の一途をたどっており、相談内容は多様化、複雑化しており、保健医療の専門知識だけでなく、幅広い知識と、支援スキルが求められる。しかしながら、地域包括支援センター保健師等を対象とした研修は少なく、多忙な業務の中研修を受ける機会も乏しく、力量不足を感じながら相談支援業務を行っていることが懸念される。そこで本研究では、地域包括支援センターで保健師等が必要とする個別支援スキルを明らかにし、必要なスキル習得のための教育プログラムを作成し、Web学習可能な教材を開発することを目的としている。方法として、教育プログラムを作成するにあたり、3年以上地域包括支援センターで経験ある保健師にインタビュー調査し、相談支援業務で用いているスキルを抽出し、その後、全国を対象に質問紙調査を行う。令和3年度は、これまで聴取できたインタビューデータを分析し、質問紙の作成を試みたが、追加のインタビュー調査が必要と判断され、調査協力者を再選定した。しかしながら、新型コロナウイルス感染症による活動自粛等の影響により、協力者の確保に難航した。そのため、調査地域を広げる手続きを行い、新たな調査協力者を確保し、追加の調査を開始した。
著者
谷山 牧 山下 留理子 保母 恵 藤田 千春
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

比較的若い世代の生活保護受給者の就労意欲に影響を与える健康特性を検討した。当事者インタビューの結果、健康特性として【他者から理解されがたい持続的な苦痛】【精神的防御力の低さ】【社会的適応力の低さ】【自己流の健康管理】があり、これらはトラウマティックストレスにより引き起こされている可能性が考えられた。このうち、【精神的防御力の低さ】【社会的適応力の低さ】の改善を目指し、トラウマ・インフォームド・アプローチを基盤とした「ストレス対処講座」を作成し、評価を行った。参加後、自覚的健康度や自尊感情には有意な変化はなかったものの、不安・不確実感の有意な軽減が認められ、ストレス反応の改善傾向が示された。
著者
杉田 由加里 山下 留理子
出版者
千葉大学大学院看護学研究科
雑誌
千葉大学大学院看護学研究科紀要 (ISSN:21859698)
巻号頁・発行日
no.37, pp.47-56, 2015-03

本研究の目的は,特定保健指導の展開過程(保健指導の準備,対象との信頼関係の構築,アセスメント,気づきの促し,対象者の自己の健康行動と科学的根拠のある方法の理解の促進及び教材の選定,目標の設定,継続フォロー,評価)における困難だと感じた状況(以下,課題)と課題への対応方法を明らかにすることである.研究参加者は,自治体5か所,全国健康保険協会3か所,委託業者1か所の9か所に所属する,特定保健指導の熟練者計11人(保健師9人,管理栄養士2人)とした.団体ごとのグループでの半構成的インタビューを実施した(平成25年2~3月).調査内容は先行研究から作成した特定保健指導における課題に対しどのように対応しているか,保健指導の場面を想起し語ってもらった.分析方法は,調査項目ごとに要約を作成し,各要約の同質性を判断しカテゴリとし,対応方法としてまとめた.特定保健指導の展開過程における課題として25項目に整理でき,課題への対応方法として計123項目が明らかとなった.アセスメントにおける多様な課題に対する対応方法を示せたことは,実践において有益であり,活用可能性が高いと考える.保健指導の評価の段階における対応方法に関して全部の種別の団体から抽出することができず,実践されている状況が少ないとも考えられる.保健指導スキルを向上させていくには重要な段階と考えられ,人材育成を充実させていく方向性が示唆された.
著者
荒木田 美香子 松田 有子 青木 恵美子 竹中 香名子 山下 留理子 六路 恵子 山崎 衣津子 町田 恵子 船川 由香
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.881-891, 2020-12-15 (Released:2020-12-31)
参考文献数
18

目的 全国健康保険協会(協会けんぽ)は保健師の保健指導能力の向上のための研修を各支部で実施している。そこで,協会けんぽの本部保健師と研究者らが都道府県支部のリーダー的保健師等を対象に,各支部でのロールプレイを活用した研修の企画とファシリテーション技術の獲得に向けた研修を実施した。本報告はその研修の効果を検討することを目的とした。方法 研修はインストラクショナルデザインを参考に構成し,対象者の分析,研修プログラムの開発,実施,評価を行った。研修の目標は,①ロールプレイの振り返りにおけるファシリテーションとファシリテーターの役割を理解する,②ファシリテーションの技法を理解する,③振り返りにおいてファシリテーターを行う自信ができる,④ファシリテーションの技法を用いた振り返りを行うことができるとした。研修の評価はKirkpatrick Modelに基づき,研修への反応,学習,行動の観点で質問紙による評価を行った。評価は研修開始前,研修直後,研修3か月後の3回実施した。研修は2016年8月に約4.5時間の1日研修を実施した。研修スタッフは3人であった。活動内容 研修の参加者は79人であった。知識・自信(0~10点)は,研修前の平均点は2.6~3.6であったが,研修直後は6.3~7.9,3か月後は6.0~6.9であった。研修内容への興味(0~10点)を3項目で尋ねたところ,平均点は8.1~8.6と高い評価であった。また,研修会終了後3か月間でロールプレイ研修会を支部内で開催した者は64.6%であった。ロールプレイのルールの周知やねらいの説明はそれぞれ96.1%,98.0%が実施していた。知識・自信は研修前にファシリテーション研修の受講経験のあった者のほうが,事前および3か月後で得点が高かった。研修3か月後の「ロールプレイにおいて,ファシリテーターの役割にはどのようなものがあるか」という自由記載は「ロールプレイ研修の基本と企画に関する意見」と「振り返りにおける役割に関する意見」に分類された。結論 参加者は本研修会での内容や使用した教材を概ね妥当と評価しており,研修後のファシリテーションの知識や自信が向上した。また,約65%が研修後にロールプレイを活用した研修を実施していた。これまでの学習経験の検討から,ファシリテーション技術の維持向上には繰り返しの研修が必要であることが示唆された。