著者
谷山 牧 若林 和枝 保母 恵 渡部 瑞穂 岩上 さやか 藤田 千春
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

現在、日本では生活保護受給者(以後, 受給者)に対して福祉から就労に向けての支援が行われているが、受給者のうち就労可能と判断され支援を受けても,実際に就労し生活保護から外れるものはごくわずかである. また, 医師により就労可能との判断を得たものであっても, 身体的, 精神的, 社会的健康の準備状態が整っていないものも多い. 就労支援の内容は自治体によって異なり, 受給者の心身の準備段階や個別性に配慮した支援が十分に行われているとは言い難い状況である. 本研究の目的は, 生活保護受給者の就労に向けた心身の準備段階のアセスメントとその段階に応じた就労支援プログラムの作成と評価を行うものである.
著者
谷山 牧 山下 留理子 保母 恵 藤田 千春
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

比較的若い世代の生活保護受給者の就労意欲に影響を与える健康特性を検討した。当事者インタビューの結果、健康特性として【他者から理解されがたい持続的な苦痛】【精神的防御力の低さ】【社会的適応力の低さ】【自己流の健康管理】があり、これらはトラウマティックストレスにより引き起こされている可能性が考えられた。このうち、【精神的防御力の低さ】【社会的適応力の低さ】の改善を目指し、トラウマ・インフォームド・アプローチを基盤とした「ストレス対処講座」を作成し、評価を行った。参加後、自覚的健康度や自尊感情には有意な変化はなかったものの、不安・不確実感の有意な軽減が認められ、ストレス反応の改善傾向が示された。
著者
掛谷 和美 藤田 千春
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.121-130, 2021-05-31 (Released:2021-06-21)
参考文献数
31

This study is aimed at reviewing literatures to examine assistance issues for foreign nurse candidates under the Economic Partnership Agreement(EPA) from the perspectives of providing assistance in “adapting to the educational environment,” “learning nursing practices” and “passing the national examination.” Literature search has been conducted on the Japan Medical Abstracts Society database, CiNii and CINAHL, covering literatures issued from 2008 to 2018 and using keywords “EPA,” “nursing,” “Japan,” “nurse,” “Economic Partnership Agreement,” “Philippines,” “Indonesia” and “Vietnam.” The search was narrowed down to 15 literatures, which were reviewed closely in the matrix approach with a focus on assistance for foreign nurse candidates under the EPA to extract examples of assistance for foreign nurse candidates in line with the main theme of this paper. Required assistance for foreign nurse candidates included enhancing Japanese language learning to gain fluency to pass the national exam, providing public support to establish common consensus about multicultural issues and nursing work differences between countries, and drawing up an educational program and guidelines.
著者
佐久間 尋子 廣瀬 幸美 藤田 千春 永田 真弓
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.61-67, 2013
参考文献数
9

本研究では、幼児期のASD児を持つ母親が、児の食事に関してどのような認識を持ち、対処をしているのかを明らかにすることを目的とし、7名の母親を対象に半構成的面接調査を行った。その結果、認識として【食事状況に対する敏感さ】【偏食の多様性】【食べ方の未熟さ】の3つのカテゴリーが、対処として【食事マナー獲得への対処】【栄養改善を図るための対処】の2つのカテゴリーが抽出された。【食事状況に対する敏感さ】や【偏食の多様性】、【食べ方の未熟さ】はASD児の特徴であるこだわりや過敏性によるものと考えられた。【食事マナー獲得への対処】は、集団生活に向けての母親の対処と考えられ、【栄養改善を図るための対処】は、健康的な成長を望む母親の工夫であると考えられた。母親は児の特徴に合った対処を行っており、これらは栄養改善を図っていくために重要なことであり、専門職が母親の対処を支持し継続を促していくとともに、食事に関して情報提供できる体制を充実させる必要性が示唆された。
著者
荒木田 美香子 藤田 千春 竹中 香名子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.417-425, 2019-08-15 (Released:2019-09-21)
参考文献数
26

目的 本研究は教員や保育士などの教育関係職,保健医療職の発達障害に対する認知を一般社会人と比較検討し,発達障害児者への社会の認知を向上させるための情報提供のあり方を検討することを目的とした。方法 2016年に842人の20-69歳の成人(男性418人,女性424人)を対象に発達障害名とその対応の認知について,Web を活用した横断調査を行った。職業(教育関係職,保健・医療職)および家族・友人に発達障害がいる者,それ以外に分けて認知状況を分析した。結果 「発達障害」を聞いたことがあると回答した者の割合は91.5%であったが,発達障害児者に対する何らかの対応や支援を回答できた割合(対応に関する認知)は26.5%であった。そのうち教育関係職および保健医療職の回答は,「発達障害」という言葉を認知していた割合は100%に近かったが,対応に関する認知の割合はそれぞれ63.9%,42.9%であった。回答者の発達障害に関する情報源はテレビやラジオ番組が67.1%と最も多く,次いでインターネットであった。学校と回答した者は11.3%,職場と回答した部分は9.9%であった。結論 教育関係職や保健専門職においては,発達障害の対応に関する理解を基礎教育および現任教育において充実させる必要性が示唆された。加えて,広くマスコミを介した情報提供を行うことの重要性が明らかとなった。