著者
廣瀬 孝太郎 山崎 秀夫 長橋 良隆
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.11, pp.565-571, 2016-11-15 (Released:2017-02-20)
参考文献数
11
被引用文献数
4

猪苗代湖で掘削されたボーリングコア(INW212)の深度200~0cmを対象に,210Pb,134Cs,137Cs分析を行った.210Pb(ex)の分析結果から,深度39cm以深が約90年前以前に相当する可能性が示された.次に,134Csと137Csの分析結果から,深度29cmが1950年代初頭に相当すると推定された.さらに,これらの年代値と岩相層序について検討を行った結果,深度13.5~0cmの塊状の砂質シルトが2011年の東北地方太平洋沖地震に起因する堆積物であり,深度42~37.5cmの灰褐色粘土が1888年の磐梯山の崩壊に関連する堆積物であることが推定された.これらのイベントの深度と年代からINW2012コアの定常的な堆積速度を算出した結果,深度200.0~42.0cmにおいて1.0mm/yr,深度42.0~0cmにおいて約2.0mm/yrとなった.
著者
柴田 雅雄 坂部 創一 山崎 秀夫 守田 孝恵 張 建国
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.24(第24回環境研究発表会)
巻号頁・発行日
pp.339-344, 2010 (Released:2011-08-12)

本研究では,CMC (Computer-Mediated Communication) 利用の促進が文章表現力をどの程度向上させ,それが口語表現力と現実の人間関係,そしてQOL (Quality of Life) にどのように影響しているのかという問いを設定した。そして,情報系大学生を対象に調査を実施して,共分散構造分析で良書の読書効果も含めて要素間の因果関係を検証した。その結果,良書の読書のみ文章と口語の表現力を向上させ,メールとSNS (Social Networking Service) は文章と口語の表現力を向上させないことが示された。そのため,今後の情報化社会において「良書の読書」を推進することの重要性が示唆された。
著者
山崎 秀夫
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.299-316, 2014
被引用文献数
1 2

東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故(以下,原発事故と略記する)では,大量の放射性核種が環境に放出された。環境射能汚染からの低線量被ばくによる生体影響に関しては様々な議論が繰り返されており,その実態については明瞭に解明されていない。今回の事故では,東日本一帯の環境が広範囲に放射能汚染され,事故による直接的な影響を受けなかった地域にも,物流などによって放射性物質が拡散している。原発事故による環境放射能汚染の特徴は,①大規模な海洋汚染が,事故後3年以上経過した現在も継続している。②首都圏を含む人口稠密な都市が,高度な放射能汚染にさらされた。③大量の放射性核種が,今でも森林生態系に沈着している。このような複雑な環境放射能汚染は,過去に世界各地で起きた大規模原子力事故では経験していない。原発事故で環境科学的に問題になる主要な核種は,<sup>131</sup>I,<sup>134</sup>Cs,<sup>137</sup>Csである。また,原子炉冷却水は,炉内のデブリにも接触しているので,<sup>90</sup>Srの他に核燃料のウランやプルトニウム同位体,核分裂生成核種,中性子捕獲生成核種などが含まれる可能性が高く,汚染冷却水の環境への漏えいは,深刻な放射能汚染を引き起こす可能性がある。福島第一原発による環境放射能汚染の概要がようやく明らかになり始めた。環境放射能汚染の状況を明らかにし,汚染に対処するためには,放射性核種の環境中での移行,蓄積,拡散を正しく評価しなければならない。本稿では,現在までにわかっている,原発事故による環境放射能汚染の動態を,環境中の放射性核種の移行と蓄積の観点から概説する。
著者
坂部 創一 山崎 秀夫
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
社会情報学会(SSI)学会大会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.159-162, 2013-09-13

The main purpose of this study is to compare the risk exposure of a techno-centered tendency in the informational environment to depression and new type depression tendency. It was investigated and analyzed by the structural equation model based on questionnaire surveys of university students in the information sciences. The result verified that the deteriorating techno-centered tendency causes the increase more in the new type depression tendency, in comparison with depression. We also proved that the influence depend on the purpose of the internet use. As a preventive measure against the depression tendency in the information society, we concluded that it is essential to prevent techno-centered and refrain from using the internet for escaping from reality.
著者
山崎 秀夫 吉川 周作 南 武志 長岡 信治 國分 陽子 井上 淳 藤木 利之 辻本 彰 村上 晶子
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

研究成果の概要:明治維新以降のわが国の産業近代化と環境汚染の歴史的変遷を,古くから造船業などの重工業が盛んで,原爆にも被災した長崎市をフィールドにして検討した.人為的に環境に排出された汚染物質は海洋や湖沼などの底質に蓄積されるので,本研究では水圏底質コアに記録された汚染の歴史トレンドを時系列解析した.わが国の代表的な工業地域である京阪神や首都圏と長崎市の環境汚染の歴史トレンドは大きく異なり,また長崎市では原爆による汚染物質の飛散の影響も残存していることが明らかになった.