著者
上山 真生 水頭一壽 山崎 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.32, pp.203-208, 2008-03-28

本論文では,ロボット制御に必要なリアルタイム性をOSが保証するための時間管理機構を提案する.まず,周期タスクのデッドラインがデッドラインをミスしないことを保証するために,周期タスク生成時にアドミッションコントロールを行う.従来のリアルタイムOSでは,実行タイミングの予測性が高い静的優先度アルゴリズムが採用されてきたが,理論的に任意のタスクセットについてデッドラインを保証可能な資源利用率が低く,アドミッションコントロールとは相性が悪かった.しかしながら,本リアルタイムOSでは,モータ制御のように実行タイミングジッタを許容しないタスクの実行を,タイマ割込みサービスルーチンに任せる.ジッタを許容しないタスクを周期タスクのスケジューリングから分離したことにより,周期タスクのスケジューリングの際にジッタを考慮しなくてすむため,実行タイミングの予測性は低いが,理論的に保証可能な資源利用率の高い動的優先度アルゴリズムを採用することが可能となる.この時間管理機構により,リアルタイム性を保証しつつ,計算資源を有効に使うことが可能となる.This paper describes the time management functions of a real-time operating system (RTOS) for sophisticated robot control. A robot motion control consists of hard deadline tasks. Therefore, our RTOS has an admission control function which is called at task creation to ensure meeting these deadlines of all periodic tasks. Our RTOS supports Earliest Deadline First (EDF) scheduling algorithm, due to segregate timing critical tasks from periodic task scheduling by using timer interrupt service routine.
著者
上山 真生 水頭一壽 山崎 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.32, pp.203-208, 2008-03-28
被引用文献数
1

本論文では,ロボット制御に必要なリアルタイム性をOSが保証するための時間管理機構を提案する.まず,周期タスクのデッドラインがデッドラインをミスしないことを保証するために,周期タスク生成時にアドミッションコントロールを行う.従来のリアルタイムOSでは,実行タイミングの予測性が高い静的優先度アルゴリズムが採用されてきたが,理論的に任意のタスクセットについてデッドラインを保証可能な資源利用率が低く,アドミッションコントロールとは相性が悪かった.しかしながら,本リアルタイムOSでは,モータ制御のように実行タイミングジッタを許容しないタスクの実行を,タイマ割込みサービスルーチンに任せる.ジッタを許容しないタスクを周期タスクのスケジューリングから分離したことにより,周期タスクのスケジューリングの際にジッタを考慮しなくてすむため,実行タイミングの予測性は低いが,理論的に保証可能な資源利用率の高い動的優先度アルゴリズムを採用することが可能となる.この時間管理機構により,リアルタイム性を保証しつつ,計算資源を有効に使うことが可能となる.This paper describes the time management functions of a real-time operating system (RTOS) for sophisticated robot control. A robot motion control consists of hard deadline tasks. Therefore, our RTOS has an admission control function which is called at task creation to ensure meeting these deadlines of all periodic tasks. Our RTOS supports Earliest Deadline First (EDF) scheduling algorithm, due to segregate timing critical tasks from periodic task scheduling by using timer interrupt service routine.
著者
上山 真生 水頭 一壽 山崎 信行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.559, pp.203-208, 2008-03-20

本論文では,ロボット制御に必要なリアルタイム性をOSが保証するための時間管理機構を提案する.まず,周期タスクのデッドラインがデッドラインをミスしないことを保証するために,周期タスク生成時にアドミッションコントロールを行う.従来のリアルタイムOSでは,実行タイミングの予測性が高い静的優先度アルゴリズムが採用されてきたが,理論的に任意のタスクセットについてデッドラインを保証可能な資源利用率が低く,アドミッションコントロールとは相性が悪かった.しかしながら,本リアルタイムOSでは,モータ制御のように実行タイミングジッタを許容しないタスクの実行を,タイマ割込みサービスルーチンに任せる.ジッタを許容しないタスクを周期タスクのスケジューリングから分離したことにより,周期タスクのスケジューリングの際にジッタを考慮しなくてすむため,実行タイミングの予測性は低いが,理論的に保証可能な資源利用率の高い動的優先度アルゴリズムを採用することが可能となる.この時間管理機構により,リアルタイム性を保証しつつ,計算資源を有効に使うことが可能となる.
著者
千代 浩之 武田 瑛 船岡 健司 山崎 信行
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.2365-2377, 2011-08-15

本論文では,低ジッタと高スケジュール可能性を達成するために,準固定優先度スケジューリングを提案する.準固定優先度スケジューリングは,終端部分という第2の必須部分を有する拡張インプリサイスタスクの各々の部分を固定優先度でスケジュールする.また,本論文では,Rate Monotonic(RM)を基調とした準固定優先度スケジューリングアルゴリズムRate Monotonic with Wind-upPart(RMWP)とRMWP++を提案する.スケジュール可能性解析では,RMWPはRMでスケジュール可能なタスクセットは必ずスケジュール可能であることを証明する.さらに,RMWP++は,タスクの実際実行時間に依存せず,最短周期タスクのジッタを0に抑制可能であることを証明する.シミュレーションによる評価結果では,準固定優先度スケジューリングは固定優先度スケジューリングと同程度のスケジュール成功率を発揮するだけでなく,従来のスケジューリングよりジッタを抑制したことを示した.This paper proposes semi-fixed-priority scheduling to achieve both low-jitter and high schedulability. Semi-fixed-priority scheduling schedules the part of each extended imprecise task, which has a wind-up part as a second mandatory part, by fixed-priority. This paper also proposes two novel semi-fixed-priority scheduling algorithms based on Rate Monotonic (RM), called Rate Monotonic with Wind-up Part (RMWP) and RMWP++. The schedulability analysis proves that one task set is feasible by RMWP if the task set is feasible by RM. In addition, we prove that the shortest period task in RMWP++ has zero-jitter, regardless of its actual case execution time. Simulation results show that semi-fixed-priority scheduling has approximately the same success ratio as fixed-priority scheduling and lower jitter than existing scheduling.
著者
千代 浩之 山崎 信行
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.2227-2237, 2010-12-15

Responsive Multithreaded Processor(RMTP)のアーキテクチャはSimultaneous Multithreading(SMT)にリアルタイム処理で用いる優先度を導入した優先度付きSMTアーキテクチャである.RMTPでは同時に実行するタスクの組合せにより,最高優先度以外のスレッドで実行するタスクの実行効率が変動してしまうので,これらのタスクのリアルタイム性を保証することは困難である.最高優先度以外のスレッドでリアルタイム性を要求しない拡張インプリサイスタスクの付加部分を実行させることで,付加部分の実行割合を向上させることが可能である.拡張インプリサイスタスクを用いた準固定優先度スケジューリングアルゴリズムRate Monotonic with Wind-up Part(RMWP)はシングルプロセッサ用なので,優先度付きSMTプロセッサに適用できない.本論文では,最高優先度以外のスレッドで実行するタスクの付加部分の実行割合を向上させるために,RMWPを拡張したResponsive RMWP(R-RMWP)を提案する.スケジュール可能性解析では,R-RMWPのスケジュール可能上限はRate Monotonicのスケジュール可能上限と等しいことを証明する.シミュレーション結果では,R-RMWPはRMWPより付加部分の実行割合が向上したことを示す.Responsive Multithreaded Processor (RMTP) has the Simultaneous Multithreading (SMT) architecture with priority for real-time processings, called prioritized SMT architecture. In RMTP, execution efficiencies of tasks executing in threads except the highest priority thread fluctuate by multiple combinations of tasks executing simultaneously so that it is difficult to guarantee real-time properties of the tasks. When optional parts of extended imprecise tasks not requiring real-time properties are executed in threads except the highest priority thread, reward ratios of optional parts can be improved. Rate Monotonic with Wind-up Part (RMWP), which is a semi-fixed-priority scheduling algorithm with extended imprecise tasks, is for a single processor and cannot be adapted to the prioritized SMT processor. This paper proposes Responsive RMWP (R-RMWP), which is an extension of RMWP to improve reward ratios of optional parts. The schedulability analysis shows that the least upper bound of R-RMWP is the same as that of Rate Monotonic. Simulation results show that R-RMWP improves more reward ratios of optional parts than RMWP.
著者
山田 賢治 羽鳥 雄介 萩原 秀磨 溝谷 圭悟 高須 雅義 山崎 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLDM, [システムLSI設計技術] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.31, pp.1-6, 2015-02-27

近年の組込みリアルタイムシステムでは高い演算能力だけでなく,低消費電力が求められる.これらの要求を満たすために設計されたリアルタイム処理用プロセッサとして Responsive Multithreaded Processor (RMT Processor) がある.RMT Processor は Simultaneous Multithreaded プロセッサであるためスループットが高く,スレッドの資源利用に対する優先度設定や Instructions Per Clock cycle (IPC) 制御機構といったリアルタイム処理をサポートする機能を持つ.また,System in Package に集積されたデバイスにより Real-Time Static Voltage and Frequency Scaling (RT-SVFS) を実現しており,消費電力削減の要求を満たすことができる.しかし RMT Processor では負荷が偏ると高負荷の論理プロセッサがボトルネックになり,効率的に RT-SVFS を行うことができない.そこで本研究では RT-SVFS による消費電力削減の効果をより引き出すために,IPC 制御を用いて可能な限り均一な負荷分散を行う手法を提案する.評価の結果,既存手法と比べて提案手法がより多くの消費電力を削減可能であることを示した.
著者
薄井 弘之 内山 真郷 伊藤 務 山崎 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.105-118, 2004-10-15
被引用文献数
4

分散リアルタイム処理用Responsive Multithreaded ProcessorのプロセッシングユニットであるResponsive Multithreaded Processing Unit (RMT PU) の命令供給機構を設計・実装する.RMT PU は8wayのSimultaneous Multithreading(SMT)方式にリアルタイムシステムの優先度を導入してすべての機能ユニットを設計することで,各スレッドを優先度順に実行し,リアルタイム実行を行う.RMT PUの命令供給機構において,単純に優先度による制御を行うと優先度の低いスレッドが実行される機会が少なくなり,システム全体の性能が低下してしまう.そこで,パイプラインの状況によって低い優先度を持つスレッドを実行することで,高い優先度のスレッドの性能を維持しながら,プロセッサ使用率を向上させる.特に単一スレッドの性能を重視するポリシと,単一スレッドの性能の低下を抑制しつつ,全体の性能に比重を置くポリシの2種類を実装することで様々なデッドラインを持つタスクのスケジューリングを支援する.パイプラインの状況によって対応するスレッドのフェッチを止める方法が最も効果的であり,命令バッファ内命令数や,分岐命令数によるもので最高優先度スレッドの性能低下を1%未満に抑えつつ,全体性能を10%から20%向上できた.また,パイプライン中命令数によってフェッチを止める方法では,全体性能を約100%向上しながら,最高優先度スレッドの性能低下を40%程度に抑えることができた.We design and implement the instruction supply mechanism for Responsive Multithreaded Processing Unit (RMT PU), the processing unit of Responsive Multithreaded Processor for distributed real-time systems. Priority used in real-time systems is introduced into all functional units of the 8way Simultaneous Multithreading (SMT) in RMT PU. Each thread is executed in priority order to realize real-time execution. In the instruction supply mechanism of RMT PU, if control by the priority is performed simply, the opportunity for a thread with a low priority to be executed will decrease and the whole performance will decrease. Then, by selecting the thread which has low priority according to pipelines's situation, the processor utilization is raised without reducing the performance of the thread with the highest priority. We implemented the policy which considers especially performance of the thread with highest priority as important, and the policy which considers the whole performance controlling the fall of the performance of the thread with highest priority. By changing and performing these policy, scheduling tasks which have various deadline are supported. The policy of stopping fetch according to a pipeline's situation is the most effective. By the policy based on the number of the instructions in instruction buffer or the number of branch instructions, whole performance can be improved 20% from 10% suppressing the performance fall of the highest priority thread to less than 1%. By the policy based on the number of the instructions in pipeline, the performance fall of the highest priority thread is able to be suppressed to 40%, doing improvement of a whole performance in 100%.
著者
梅尾 寛之 水頭 一壽 武田 瑛 加藤 真平 山崎 信行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.464, pp.55-60, 2009-02-26

リアルタイム処理用プロセッサResponsive Multithreaded Processorは,スレッド数が8スレッド以内であればコンテキストスイッチを行わずに優先度順に同時実行可能なRMT実行機構を持つ.しかしながら,9スレッド以上を実行する場合,ソフトウェアスケジューラによってコンテキストスイッチを行わなければならない.また周期タスクのリリースの為にはソフトウェアスケジューラを定期的に呼び出し,リリース時間をチェックしなければならない.本論文では,RMT Processorを対象としたハードウェアによるスレッドスケジューリング機構の設計と実装について述べる.本スレッドスケジューリング機構では,RMT ProcessorのプロセッシングコアであるRMT PUが全スレッドの周期を保持し,周期スレッドをハードウェアで起床させる.更に,コンテキストキャッシュ内のスレッドと実行スレッドを比較し,ハードウェアでコンテキストスイッチを行う.本スレッドスケジューリング機構によってソフトウェアによるスケジューリングを不要とし,スケジューリングオーバヘッドを大幅に削減する.
著者
梅尾 寛之 水頭 一壽 武田 瑛 加藤 真平 山崎 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.22, pp.55-60, 2009-02-26

リアルタイム処理用プロセッサ Responsive Multithreaded Processor は,スレッド数が 8 スレッド以内であればコンテキストスイッチを行わずに優先度順に同時実行可能な RMT 実行機構を持つ.しかしながら,9 スレッド以上を実行する場合,ソフトウェアスケジューラによってコンテキストスイッチを行わなければならない.また周期タスクのリリースの為にはソフトウェアスケジューラを定期的に呼び出し,リリース時間をチェックしなければならない.本論文では,RMT Processor を対象としたハードウェアによるスレッドスケジューリング機構の設計と実装について述べる.本スレッドスケジューリング機構では,RMT Processor のプロセッシングコアである RMT PUが全スレッドの周期を保持し,周期スレッドをハードウェアで起床させる.更に,コンテキストキャッシュ内のスレッドと実行スレッドを比較し,ハードウェアでコンテキストスイッチを行う.本スレッドスケジューリング機構によってソフトウェアによるスケジューリングを不要とし,スケジューリングオーバヘットを大幅に削減するResponsive Multithreaded Processor for real-time processing can execute eight threads simultaneously in priority order without context switching. When over nine threads are executed, context switching is required. A real-time scheduler should be called periodically and release times of all tasks are checked. This paper proposes thread scheduling scheme for RMT Processor. RMT PU, which is processing core of RMT processor, holds the periods of all threads and starts threads by hardware without periodic calls of the scheduler. In addition, threads in context cache are compared with threads in execution, and context switching will be realized by hardware. Our thread scheduling scheme reduces scheduling overheads so that traditional software scheduling can be unnecessary.
著者
上山 真生 水頭 一壽 山崎 信行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.558, pp.203-208, 2008-03-20

本論文では,ロボット制御に必要なリアルタイム性をOSが保証するための時間管理機構を提案する.まず,周期タスクのデッドラインがデッドラインをミスしないことを保証するために,周期タスク生成時にアドミッションコントロールを行う.従来のリアルタイムOSでは,実行タイミングの予測性が高い静的優先度アルゴリズムが採用されてきたが,理論的に任意のタスクセットについてデッドラインを保証可能な資源利用率が低く,アドミッションコントロールとは相性が悪かった.しかしながら,本リアルタイムOSでは,モータ制御のように実行タイミングジッタを許容しないタスクの実行を,タイマ割込みサービスルーチンに任せる.ジッタを許容しないタスクを周期タスクのスケジューリングから分離したことにより,周期タスクのスケジューリングの際にジッタを考慮しなくてすむため,実行タイミングの予測性は低いが,理論的に保証可能な資源利用率の高い動的優先度アルゴリズムを採用することが可能となる.この時間管理機構により,リアルタイム性を保証しつつ,計算資源を有効に使うことが可能となる.