著者
山崎 修 森実 真 金子 淳
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

パントンバレンタインロイコシジン(PVL)は黄色ブドウ球菌が産生する好中球により特異性の高い毒素で、PVL陽性の黄色ブドウ球菌はおできや市中肺炎に強く関連する。我々はPVL陽性のおできの特徴は基礎疾患のない若年者に多く、多発性で発赤が強いことを明らかにした。しかしながら、せつ腫症におけるPVLの役割は明らかではない。我々はPVLの毒素産生制御因子を解析し、PVLのケラチノサイト、線維化細胞、血管内皮細胞に与える影響について検討した。さらにせつ腫症におけるPVL変換ファージの多様性について調査した。
著者
木下 博明 酒井 克治 広橋 一裕 街 保敏 井川 澄人 山崎 修 鄭 徳豪 福嶋 康臣 久保 正二 松岡 利幸 中塚 春樹 中村 健治
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.18, no.11, pp.2329-2335, 1985-11-01
被引用文献数
2

肝細胞癌の元凶ともいえる門脈内腫瘍栓の対策として経皮経肝門脈枝塞栓術(percutaneous transhepatic portal vein embolization以下PTPE)を考案し,それを肝細胞癌17症例の術前に行ったのでその手技と成績を報告した.PTPE後門脈圧の亢進と多少の肝機能障害の出現をみたが,PTPEは動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization以下TAE)に比べ安全であった.また切除標本の塞栓状態と組織学的所見からみて塞栓物質としてリピオドール混入フィブリン糊が現在最も適していると考えられた.肝切除前に行われるPTPEはTAEの抗腫瘍効果を増強させ,肝内転移の防止や肝切除後の肝再生ひいては手術適応の拡大にも有用であると考えられた.
著者
岩月 啓氏 辻 和英 山本 剛伸 山崎 修
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.EBウイルス関連NK/T細胞増多症の疾患スペクトラム:本症の診断拠点施設としての役割を担ってきた。集積例の解析からそのスペクトラムを明確にし、悪性転化群の特徴を明らかにした(Arch Dermatol 2006,Eur J Dermatol 2006).皮膚リンパ腫登録制度を発足させ、EBウイルス関連リンパ腫の実態把握を開始。2.非侵襲的診断法および細胞内遺伝子発現解析:痂皮を用いた非侵襲的EBウイルス潜伏感染診断法を開発し(J Microbiol Methods 2007),国際特許申請中(PCT/JP2006/317851)。他のヘルペスウイルス感染にも応用し、ウイルス遺伝子産物とともに細胞内シグナルを解析(Eur J Dermatol投稿中)。3.ウイルス再活性化の証明と潜伏感染パターン変化:重症型では、病変内におけるEBウイルス再活性化シグナル(BZLF-1 mRNA)が明らかになった。一方、軽症の種痘様水疱症では、再活性化ではなく、皮膚病変内での潜伏感染IIへの移行がみられた。4.EBウイルス感染細胞株解析:樹立EBウイルス感染NK/T細胞株にて,PMAおよびある種のサイトカインによって潜伏感染から溶解感染への誘導ができた(論文準備中)。5.宿主免疫応答解析:ウイルス遺伝子発現と反応性CTLを解析して本症の主たる病態を明らかにした。6.治療への取り組み:腫瘍抗原に対する免疫応答誘導を確認し(Int J Cancer 2007),同時に免疫機構からの回避現象を解析した(Cancer Immunol Immunother 2008).EBウイルス感染細胞がHDAC阻害薬に感受性があることを見出した。EBウイルス関連疾患における免疫・薬物療法展開にとって貴重なデータを得た。7.EBウイルス関連リンパ腫を含めた診療ガイドラインを作成した。