著者
山本 正嘉 山本 利春
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.82-92, 1993-02-01
被引用文献数
9 2 7

自転車エルゴメーターを用い, 5秒間の全力駆動を8セット反復するという激運動を行い, 33分間の休憩後に同じ運動を繰り返した.休憩中10分間にわたり, ストレッチング, スポーツマッサージ, 軽運動 (被検者の無酸素性作業閾値の80%相当の強度) , ホットパックの4種類の回復手段を実施し, これを実施しないで安静にして回復した場合と比較検討した.疲労回復の指標として作業能力および血中乳酸濃度 (La) の回復をみた.被検者は各回復手段について12名ずつとした.結果は以下のとおりである.<BR>1.ストレッチングとスポーツマッサージは, Laの回復には有意な効果をもたらさなかったが, 作業能力の回復には有意な効果をもたらした.<BR>2.軽運動は, Laの回復には有意な効果をもたらしたが, 作業能力の回復には有意な効果をもたらさなかった.しかし, 作業能力の回復が悪かった被検者の多くは, 軽運動の運動強度が強すぎたと訴えていたことから, これらの被検者には運動強度をさらに低く設定することによって作業能力の回復にも有意な効果がもたらされる可能性がある.<BR>3.ホットパックは, Laの回復にも, 作業能力の回復にも有意な効果をもたらさなかった.<BR>4.1~3の結果から, 激運動後に作業能力の回復を促進する手段として, ストレッチングとスポーツマッサージは有効であると考えられる.軽運動については, 運動強度が適切に処方されるならば有効と考えられるが, さもないと逆効果となる可能性もある.<BR>5.Laの回復率と作業能力の回復率との間には, 有意な相関関係は認められなかった.したがって, 作業能力の回復を規定するのはLa以外の要因であることが示唆された.また, Laを作業能力の回復を表す指標とすることには問題があることが示唆された.
著者
山本 利春 笠原 政志
出版者
国際武道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本取組では、日本の体育系大学における「学生選手におけるスポーツ医科学的健康管理」と「スポーツ医科学サポートを担う人材(以下トレーナー)育成」を結合した新たな学生教育システムの遂行を試みた。このシステムを通じて、学生は専門知識の習得だけではなく、様々な実地訓練から運営・実行に必要な実践的な経験を積むことができた。つまり、この体育系大学での実習経験は、スポーツ界および広く国民の健康づくりのサポートができる人材育成に寄与すると期待される。