著者
久木留 毅 相澤 勝治 岡田 藍 徳山 薫平 河野 一郎
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.429-436, 2007-08-01 (Released:2007-09-14)
参考文献数
31
被引用文献数
3 3

[Objective] This study examined the effects of resting metabolic rate (RMR), sleeping metabolic rate (SMR), and diet-induced thermogenesis (DIT) during acute weight loss in elite male wrestlers.[Methods] Subjects were elite male wrestlers (n=6), who were instructed to reduce the body weight in seven days. RMR, SMR, and DIT were measured by indirect calorimetry in normal training phase and after rapid weight loss. Body composition and energy intake were also measured.[Results] Energy intake significantly decreased in rapid weight loss phase (P<0.05). After the rapid weight reduction, percent reduction of body weight (-4.4%), fat mass (-17.5%), and total body water (-3.2%) significant compare with that of normal training phase (P<0.05). RMR(-15.2%), and SMR (-11.8%) significantly decreased during acute weight loss (P<0.05). DIT(-89.4%) tended to be decrease during acute weight loss.[Conclusion] The present study suggests that rapid weight loss in elite male wrestlers causes decreases in RMR and SMR.
著者
河野 一郎
出版者
筑波大学体育科学系
雑誌
筑波大学体育科学系紀要 (ISSN:03867129)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.115-118, 2005-03

近代オリンピック発祥の地を舞台に、史上最多の202の国と地域が参加し17日間にわたって開かれたアテネ五輪が閉幕した。日本がアテネ五輪で獲得した金メダルは、16個と1964年の東京五輪と並び最も多く、メダル総数の37個 ...
著者
和久 貴洋 河野 一郎 中村 充 三輪 一義 香田 泰子 香田 郡秀 佐藤 成明
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.45-51, 1991-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
23
被引用文献数
2

The purpose of this study was to examine the measures to prevent injuries and to improve performance of Kendo by analyzing injuries due to Kendo from practice condition and athletic specificity. The findings were collected from a survey by questionnaire on injuries due to Kendo. The following results were obtained. Thirty-eight out of forty-four Kendo players (college players) had experience in injuries due Kendo in the past. Most Kendo players were injuried in college. Most Kendo players were injuried during practice of Kendo (Jigeiko, Kakarigeiko, or Shiaigeiko) in the middle or the latter half at practice of Kendo. Most of injuries were myorrhexis, plasmotomy of the tendon, tendovaginitis, sprain, stress fracture, spondylolysis, lumbago and bruise. The higher occurence parts of injuries due to Kendo were ankle and wrist joints, the tendo calcaneus (Achilles), crus, thigh and regio lumbalis. Many injuries of crus, the tendon of Achiles and wrist joint were in the left, although injuries of ankle joint were in the right. Fiftysix percent of all injuries were caused by fatigue and the fatigue was occured by Tobikomi action, Suburi action, or Taiatari during Jigeiko and Kakarigeiko in the latter half at practice of Kendo. These were concluded that injuries due to Kendo can be prevented by master of correct Datotsu technique, the measure to fatigue, forming appropriate training plan and the systematization of staff for first aid and that the weight training to the higher occurence parts of injuries due to Kendo was needed for prevention of injuries and improvement in performance of Kendo.
著者
上島 隆秀 高杉 紳一郎 河野 一郎 岩本 幸英
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.5, 2007

【はじめに】<BR> 中高齢者を対象に,介護予防や健康増進を目的とした数多くのプログラムが全国で実施されている.内容としては転倒予防や認知症予防を目的とした運動,音楽,舞踊などが多い.フラもその一つであるが,昨年の映画公開をきっかけにフラに対する注目度が上がっている.ハワイの伝統文化であるフラは,見た目の優雅さとは裏腹に想像以上に下肢筋活動を伴う運動である.今回,M市のフィットネス施設において,フラ教室参加者の身体運動能力測定および健康関連QOL評価を実施し,その介入効果について検討したので報告する.<BR>【方法】<BR> 対象はM市の一般住民でフィットネス施設のフラ教室に参加した女性11名(平均年齢67.6歳)であった.全ての対象者に対して教室開始前と終了後に,ファンクショナルリーチ(以下 FR),開眼片脚立ち時間,長座体前屈,10m最大歩行速度,膝伸展筋力,握力の測定および健康関連QOL評価を実施した.長座体前屈は竹井機器工業社製デジタル長座体前屈計,膝伸展筋力は日本メディックス社製徒手筋力測定器MICROFET2を使用した.健康関連QOL評価はSF-36日本語版を使用した.評価項目は,身体機能,日常役割機能(身体),体の痛み,全体的健康感,活力,社会生活機能,日常役割機能(精神),心の健康である.そして,各測定・評価項目についてフラ教室参加前後の値を比較検討した.なお,統計学的検定には対応のあるt検定を用い,有意水準は危険率5%未満とした.<BR>フラ教室は,熟練した講師の指導下で毎回1時間,週1回の頻度で2ヶ月間実施された.なお,事前に十分な説明を行い対象者の同意を得た上で測定および評価を実施した.<BR>【結果】<BR> 教室参加前に比べ参加後では,FR(38.3→41.3cm),長座体前屈(34.9→37.6cm),膝伸展筋力(22.7→24.6kg)において有意な向上が認められた.また,健康関連QOLでは,身体機能(74.5→89.1)および活力(64.5→80.9)において有意な向上が認められた.<BR>【考察】<BR> 今回, FR,長座体前屈,膝伸展筋力において有意な改善を認めた要因として,ダンス中における頻回な骨盤傾斜・回旋及び膝軽度屈曲位でのステップによるものではないかと考えられた.<BR>また,健康関連QOLにおいても改善効果が認められたことから,フラを継続することでQOLや生活機能の改善が期待できる.高齢者の生活機能低下予防は,介護予防の観点からも重要であるが,楽しみながら身体を動かすだけで生きがいにもつながればそれに勝るものはないであろう.<BR>今後は,他の運動との比較も行ってゆきたいと考える.<BR>【文献】<BR> 1)伊藤彩子:フラダンスのはじめ.WAVE出版,2004.
著者
李 虎城 向井 直樹 秋本 崇之 河野 一郎
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.175-183, 2002-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
37

[Objective] The purpose of this study was to determine whether icing treatment has an effect on muscle reaction time and functional performance of a sprained ankle. [Methods] Subjects were six persons (healthy group) and six persons who had an acute ankle sprain (patient group) . Anterior talar translation and talar tilt of the six patient group were evaluated by the stress X-ray measure. Ice treatment was applied for 20 minutes. [Results] The following points were clarified : 1) Reaction times of peroneus longus (PL) and peroneus brevis (PB) for the sprained ankle group (SA) were significantly longer than those for the non-sprained ankle group (NA) (p<0.05) . Length of time of standing on one leg with closed eyes for SA was significantly shorter than for NA (p<0.05) . 2) After icing treatment, reaction time of PL for SA tended to be shorter. Furthermore, PB significantly decreased after icing treatment (p<0.05) . Side-steps for SA were significantly increased after icing treatment (p<0.05) . 3) Reaction times of PL and PB for NA significantly increased after icing treatment (p<0.05) . Standing on one leg with closed eyes for NA significantly decreased after icing treatment (p<0.05) . [Conclusion] It was shown that icing treatment of a sprained ankle leads to a shorter muscle reaction time and an increase in the number of side-steps. Therefore, it was concluded that icing treatment of a sprained ankle might be able to improve incapacitated neuromuscular function and functional performance by acute trauma.
著者
小森 康加 望月 康司 榎本 至 前田 明 河野 一郎
出版者
日本トレーニング科学会
雑誌
トレーニング科学 (ISSN:13494414)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.313-320, 2010 (Released:2014-04-03)
参考文献数
26
被引用文献数
1

水球競技中に視力矯正行っている男子水球選手を対象に,二つの試合条件(1.視力矯正あり条件,2.視力矯正なし条件)を設定し,視力矯正の有無が水球競技の競技パフォーマンスに与える影響を検討した. その結果,ミスプレイ率は視力矯正あり条件が視力矯正なし条件と比較して,有意に低い値を示した.貢献プレイ率およびボールタッチ率では有意な差は認められなかったが,視力矯正あり条件が高い傾向を示した.また,試合中のプレイに関する主観的評価は,特に見え方に関する調査項目において,視力矯正あり条件が有意に高い値を示した. 実戦において重要視されているミスプレイの減少が示され,主観的評価による見え方においても違いが認められたことより,水球競技において視力矯正を行うことには,試合中の競技パフォーマンスに影響を与えている可能性があると推察された.
著者
上島 隆秀 高杉 紳一郎 河野 一郎 禰占 哲郎 高橋 みゆき 河村 吉章 岩本 幸英
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】総務省発表によれば,2013年9月15日時点の人口推計で,65歳以上の高齢者が総人口の25%に達した。今後,高齢者人口の増加とともに,介護予防対策は多様なニーズに応えるべく,その多様化が求められてくると予想される。介護予防対策として,リハビリテーションの重要性も認識されているが,継続のための仕組みやモチベーションを高める工夫が不十分である現状は否めない。一方,家庭用ゲーム機の本格的な普及から30年が経過し,ゲームは,シリアスゲームやゲーミフィケーションとして今後,医療・介護分野においてもますます身近になるものと考えられる。今回,デイサービスセンターに導入されたリハビリ用ゲーム機の活用効果について報告する。【方法】対象はY市のKデイサービスセンター利用者のうち,ゲーム機を継続的に利用した群(ゲーム群)15名(男性1名,女性14名,平均年齢85.3±5.8歳)およびゲーム機を全く利用しなかった群(非ゲーム群)96名(男性20名,女性76名,年齢85.0±6.4歳)である。この両群を対象に体力測定を行い,ゲーム機活用効果について検討した。使用したゲーム機は,主に高齢者の運動機能向上を目的として開発されたものであり,上肢の筋力・敏捷性向上を目的とした「ハンマーフロッグ」「ワニワニパニック」,下肢の筋力・敏捷性向上を目的とした「ドキドキへび退治2」,目と手の協調性向上を目的とした「ポンポンタッチ」である。両群とも通常のデイサービスプログラムを行っており,ゲーム群ではさらに,自らの意思で選択したゲームも行っていた。測定項目は,握力,Functional Reach(FR),開眼片脚立ち(片脚立ち),光刺激に対する反応時間(反応時間),3mTimed Up and Go Test(TUG),ステッピング(ステッピング)であった。そして,体力測定により得られた結果から,開始時と7カ月後のデータを対応のあるt検定にて比較検討した。【倫理的配慮,説明と同意】対象者および家族には,当該デイサービスセンターにて文書による説明を行い,同意を得ている。【結果】両群の開眼片脚立ちにおいて,開始時と7カ月後の比較で改善傾向が認められた。ゲーム群4.9秒→8.2秒(P=0.084),非ゲーム群4.6秒→8.3秒(P=0.059)。ゲーム群における3mTUGにおいて,開始時と7カ月後の比較で改善傾向が認められた。12.3秒→10.4秒(P=0.073)。【考察】今回,ゲーム群,非ゲーム群ともに有意な改善を示した測定項目は認められなかった。我々は,第39回日本理学療法学術大会において,「デイサービス利用者のゲーム機による身体機能改善効果」について研究し,その結果,ゲーム群においてFR,長座体前屈の有意な改善を認めたことを報告しているが,この研究では,有意な改善が認められるまで1年を要している。一方,本研究は,まだ8カ月を経過した時点であり,今後,より明確な結果が出る可能性がある。現在,ゲームの総合得点および実施回数を積算した数値を基にした評価を開始しており,ゲーム回数の多寡による影響についても分析する予定である。ゲーム群の対象者に対する聞き取りでは,リハビリのため,楽しいから,負けたくないという声が挙がっている。ここに継続のための仕組みやモチベーションを高める工夫へのヒントが隠されていると考えられる。非ゲーム群の対象者では,少なくとも一度はゲーム機を体験していたが,ゲームに関心がないなどの理由で,ゲームを行っていなかった。ゲームに限らず,多様な選択肢を提示することで,ICF(国際生活機能分類)が提唱する社会参加を促す一助となることが期待される。【理学療法学研究としての意義】今後,医療・介護分野においてもロボットやその他の支援機器導入が進むことが予想されるが,その際に重要となるのは利用者に合った機器選択である。適切かつ様々な選択肢を提供できる環境づくりは,多様化するニーズに対応できる理学療法を行う上での参考となることが期待される。
著者
河野 一郎 赤間 高雄
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

運動が健康の増進・維持に効果があるという考えが広く受け入れられるようになり、健康スポーツがますます盛んとなっている。本研究では健康の維持・増進に有効とされている有酸素運動が免疫機能とくに細胞性免疫機能に与える影響を検討した。有酸素運動の習慣をもつ成人では細胞性免疫機能とくにナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性が運動習慣のないものと比較すると男女とも高いことが明らかとなった。また、経時的にNK細胞活性の変動をみると、日々の運動量が増すに従い活性が高値を示していくことも明らかとなった。つぎに、このような有酸素運動がNK細胞活性へ与える影響の機序を探る目的でNK細胞にレセプターを持つカテコラミンなどのホルモンとの関係を検討した。急性の有酸素運動負荷により、各種ホルモンがNK細胞活性の変動の平行して変動することが明らかとなった。また、マウスを用いた実験系ではカテコラミンの共存下ではその濃度によりNK細胞の活性が影響を受けることも示唆された。かかる成績から有酸素運動が免疫に与える影響の機序には複数の因子が関与していると考えられた。また、情報伝達物質であるサイトカインの関与についても検討したが、運動により変動するという結果を得たのみで機序への関与については今後の課題となった。今後運動と免疫に関する研究をさらに進めるためには情報伝達物質の関与を含め様々な視点からのアプローチが必要と考えられた。
著者
上島 隆秀 高杉 紳一郎 河野 一郎 禰占 哲郎 高橋 みゆき 河村 吉章 岩本 幸英
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1281, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】総務省発表によれば,2013年9月15日時点の人口推計で,65歳以上の高齢者が総人口の25%に達した。今後,高齢者人口の増加とともに,介護予防対策は多様なニーズに応えるべく,その多様化が求められてくると予想される。介護予防対策として,リハビリテーションの重要性も認識されているが,継続のための仕組みやモチベーションを高める工夫が不十分である現状は否めない。一方,家庭用ゲーム機の本格的な普及から30年が経過し,ゲームは,シリアスゲームやゲーミフィケーションとして今後,医療・介護分野においてもますます身近になるものと考えられる。今回,デイサービスセンターに導入されたリハビリ用ゲーム機の活用効果について報告する。【方法】対象はY市のKデイサービスセンター利用者のうち,ゲーム機を継続的に利用した群(ゲーム群)15名(男性1名,女性14名,平均年齢85.3±5.8歳)およびゲーム機を全く利用しなかった群(非ゲーム群)96名(男性20名,女性76名,年齢85.0±6.4歳)である。この両群を対象に体力測定を行い,ゲーム機活用効果について検討した。使用したゲーム機は,主に高齢者の運動機能向上を目的として開発されたものであり,上肢の筋力・敏捷性向上を目的とした「ハンマーフロッグ」「ワニワニパニック」,下肢の筋力・敏捷性向上を目的とした「ドキドキへび退治2」,目と手の協調性向上を目的とした「ポンポンタッチ」である。両群とも通常のデイサービスプログラムを行っており,ゲーム群ではさらに,自らの意思で選択したゲームも行っていた。測定項目は,握力,Functional Reach(FR),開眼片脚立ち(片脚立ち),光刺激に対する反応時間(反応時間),3mTimed Up and Go Test(TUG),ステッピング(ステッピング)であった。そして,体力測定により得られた結果から,開始時と7カ月後のデータを対応のあるt検定にて比較検討した。【倫理的配慮,説明と同意】対象者および家族には,当該デイサービスセンターにて文書による説明を行い,同意を得ている。【結果】両群の開眼片脚立ちにおいて,開始時と7カ月後の比較で改善傾向が認められた。ゲーム群4.9秒→8.2秒(P=0.084),非ゲーム群4.6秒→8.3秒(P=0.059)。ゲーム群における3mTUGにおいて,開始時と7カ月後の比較で改善傾向が認められた。12.3秒→10.4秒(P=0.073)。【考察】今回,ゲーム群,非ゲーム群ともに有意な改善を示した測定項目は認められなかった。我々は,第39回日本理学療法学術大会において,「デイサービス利用者のゲーム機による身体機能改善効果」について研究し,その結果,ゲーム群においてFR,長座体前屈の有意な改善を認めたことを報告しているが,この研究では,有意な改善が認められるまで1年を要している。一方,本研究は,まだ8カ月を経過した時点であり,今後,より明確な結果が出る可能性がある。現在,ゲームの総合得点および実施回数を積算した数値を基にした評価を開始しており,ゲーム回数の多寡による影響についても分析する予定である。ゲーム群の対象者に対する聞き取りでは,リハビリのため,楽しいから,負けたくないという声が挙がっている。ここに継続のための仕組みやモチベーションを高める工夫へのヒントが隠されていると考えられる。非ゲーム群の対象者では,少なくとも一度はゲーム機を体験していたが,ゲームに関心がないなどの理由で,ゲームを行っていなかった。ゲームに限らず,多様な選択肢を提示することで,ICF(国際生活機能分類)が提唱する社会参加を促す一助となることが期待される。【理学療法学研究としての意義】今後,医療・介護分野においてもロボットやその他の支援機器導入が進むことが予想されるが,その際に重要となるのは利用者に合った機器選択である。適切かつ様々な選択肢を提供できる環境づくりは,多様化するニーズに対応できる理学療法を行う上での参考となることが期待される。
著者
上島 隆秀 高杉 紳一郎 河野 一郎 禰占 哲郎 岩本 幸英 河村 吉章 小野 雄次郎 山下 正 渡辺 睦 林山 直樹
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E1086-E1086, 2007

【目的】我々は株式会社ナムコ(以下,ナムコ)と共同で,高齢者でも安全かつ容易に下肢・体幹筋トレーニングが可能なゲーム機「ドキドキへび退治RT」(以下,へび踏み)を開発した。今回,ゲームプレイ中の脳血流変化を測定し,ゲームによる脳機能活性化について検討したので報告する。<BR>【方法】被験者は健常成人男性8名(平均年齢38.8歳)であった。脳血流変化は,前頭前野における酸素化ヘモグロビン(以下,oxy-Hb),脱酸素化ヘモグロビン,総ヘモグロビンの初期値からの変化量を,近赤外分光法にて測定した。測定機器は島津製作所製OMM-2001で,測定用プローブを前頭部に装着した。解析は,oxy-Hbの最大値および最小値から脳血流変動値を算出し,その値について比較検討した。実施したタスクは,「ワニワニパニックRT」(ナムコ製,以下ワニ叩き),「へび踏み」及び下肢筋力増強運動(以下,下肢筋トレ)とした。測定肢位は,「ワニ叩き」では立位,「へび踏み」及び下肢筋トレでは椅坐位であった。測定時間は,タスク実施60秒,タスク実施前に安静20秒,タスク実施後に安静40秒の計120秒とした。下肢筋トレは,重錘負荷による膝伸展運動であり,頭位の変化による影響を最小限にするため,被験者にはいずれのタスクにおいても可能な限り頭を動かさないように指示した。なお,被験者には事前に十分な説明を行い,同意を得た上で測定を実施した。<BR>【結果】前頭前野における脳血流変化は,個人差が大きく一般化できる特徴は見いだせなかったが,下肢筋トレに比べゲームにおいて,より大きな脳血流変化を生じる傾向が認められた。また,ゲーム経験の程度により,被験者間の特徴の違いも認められた。<BR>【考察】従来の業務用ゲーム機の多くは主に上肢を使うものがほとんどであるが,「へび踏み」は開発当初より下肢・体幹筋の活発な活動を狙っている。介護予防対策の一つとして,腸腰筋や前脛骨筋の強化が重要であるが,「へび踏み」は,楽しみながらこれらの筋肉をトレーニングすることが可能である。前頭前野は意欲や感情の中枢とされ,前頭前野の活性化は認知症予防対策としても注目されている。今回,脳血流変化に個人差が認められたことから,一律にゲーム機を使用するのではなく,個別対応としてゲーム機選択を行うのがよいのではないかと考える。<BR>【まとめ】ナムコと共同で開発したゲーム機の効果について,脳血流変化の観点から検討した。今後,本ゲーム機使用による介入効果についても研究を進めたい。

1 0 0 0 OA 運動と免疫

著者
河野 一郎
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.139-146, 1992-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
61
被引用文献数
1 1
著者
河野 一郎 禰占 哲郎 上島 隆秀 高杉 紳一郎 岩本 幸英 岡田 修司 根岸 玲子 鈴木 理司 河村 吉章 石井 櫻子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.E0271-E0271, 2004

【目的】老人福祉施設では、利用者の増加に伴いそのニーズも多様化しており、独自のサービスを工夫し提供している。その一環としてゲームセンター用の業務用ゲーム機を導入している施設もある。ゲーム機には、楽しく夢中になることで自発的に身体を動かす効果が期待されているが、その身体機能改善効果の科学的検証はほとんどなされていない。今回、デイサービス利用者に対するゲーム機導入の有用性について検討した。<BR>【方法】対象は青森県八戸市のCデイサービス利用者のうち、痴呆を有する者を除き、ゲーム機導入時から1年間継続してデイサービスを利用した者27名であり、ゲーム機を継続的に使用した群(ゲーム機群)8名(男2名、女6名、年齢79.1±5.5歳)およびゲーム機を使用しなかった群(未使用群)19名(男1名、女18名、年齢79.4±6.6歳)に分類した。<BR> 両群とも各種体操や集団レクレーション等、一般的なデイサービスのプログラムを受けており、ゲーム機群ではこれに加え各人が自由選択したゲームを週1から3回行った。なおゲーム機群のすべての対象者は右手でゲームを操作していた。<BR> 使用したゲーム機は、namco社製 "ワニワニパニック"(ワニ叩き)、"ドドンガドン"(ボーリング)、"プロップサイクル"(自転車)、"ジャンケン倶楽部"(階段昇降)であった。<BR> 導入前および導入後2ヶ月毎に体力測定を行い、2群を比較検討した。体力測定の項目は、光刺激に対する反応時間(反応時間)、長座体前屈、Functional Reach(FR)、膝伸展筋力(両側)、握力(両側)、10m最大努力歩行(歩行速度)であった。<BR> 統計学的検討は、まずTwo-way ANOVAを行い、次に各群で、導入前と導入後の各月をそれぞれ対応のあるt検定にて比較検討した。<BR>【結果】ANOVAでは、すべての項目において両群間に有意差は認められなかった。しかし、t検定では、導入前に比べて複数の測定月で有意差を認めた。その項目は、ゲーム機群でFR、長座体前屈、左手握力、未使用群で反応時間、両手の握力であった。このうち両群とも握力は低下傾向で、他の項目は改善傾向であった。<BR>【考察】"ワニワニパニック"では出現するワニに対して前下方にハンマーを振り下ろす動作が、"ドドンガドン"では前方の目標物に対してボールを押し出す動作が要求されるため、前方への重心移動を反映するFRと前方への柔軟性を含む長座体前屈で改善傾向があったものと考えられる。また、握力についてゲーム機群の右手のみが有意な低下を示さなかったことは、ハンマーやボールを握ることで握力が維持されたものと考えられる。<BR> 楽しみながら行うアクティビティは内発的動機付けを促し、長期継続の効果が期待できる。今後は症例数を増やしゲーム機使用の効果をさらに明確にすると共に、心理面の評価も加味した研究を実施していく予定である。