著者
豊田 幸子 山本 寿子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 (ISSN:09153098)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.15-22, 1994-03-05

和服は私達の生活の中で長い間親しまれ,豊かな衣生活と伝統文化の発展にたずさわってきた.しかし,現代の衣生活において,和服の着装は日常着から儀式や趣味的な着用へと変化している.このような流れの中で,伝統衣裳として,現代生活に適した和服の着装形態について考察し,教育に生かしていきたいと考える.今若年層においては,成人式や卒業式のファッションとしての和服がみられるなかで,3年続きの"浴衣ブーム"も定着されつつあるといわれる.日本衣料管理協会や日本きもの教育センターの発表によると,女子高校生では79%,大学生では47.7%が浴衣での外出体験を持っている.呉服業界においても,気軽に購入し着用できる和服として,浴衣のプレタ化や付け帯の帯結びの工夫等もみられる現状である.そこで本報では,女子大生の浴衣と帯の着装及び調製の方法,さらに和服の着装を簡便にする付け帯についてアンケート調査を行い,実態を明らかにすることが出来たので報告する.
著者
山本 寿子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.127-136, 2012 (Released:2013-01-16)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

単語アクセントには, 地域差や世代差によるゆれが見られる。日本人母語話者は, そのようなアクセントのゆれに対しても, 音韻情報に基づいて意味を解釈することで, 支障なくコミュニケーションを進めることができる。本研究は, このようなアクセントのゆれへの耐性が, いつから, どのようにして獲得されるのかを調べるために, 年少児(3~4歳)・年中児(4~5歳)を対象に, 正しいアクセント, あるいは誤ったアクセントで発音された単語を聴取し, 該当するターゲット写真を図版から選択する課題を行った。その結果, 年少児のターゲット選択数は, 誤ったアクセントで発音された場合に, より少なくなることが示された。一方, 年中児はアクセントの正誤にかかわらずターゲットを選択することができた。さらに, かな文字の知識がアクセントのゆれへの耐性を促進させる可能性を検討するために, かな文字を習得している幼児と, 未習得の幼児の間で課題遂行成績を比較したところ, 差は見られなかった。これらの結果より, 年中までにアクセントのゆれへの耐性が獲得されることが示された。考察では, この能力の獲得を促進させる要因について議論を行った。
著者
山本 寿子 針生 悦子
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.22-36, 2016-03-01 (Released:2016-09-01)
参考文献数
33

In Japanese, some homophones can be distinguished by their lexical pitch accentual patterns. When and how do Japanese children start using pitch accent information as a cue to lexical distinction? In this research, we taught children two novel labels as names for two different objects. One label was a novel homophone whose accentual pattern was different from a familiar word, and the other, a novel non-homophone of a familiar word. The children ’s learning of these two labels was tested by a picture fixation task and an object choice task. The two-year-old children learned the novel non-homophone; however, they failed to learn the novel homophone (Experiment 1). On the other hand, three- to five-year-old children succeeded in learning both the la-bels, and their performance improved with age (Experiment 2). These results suggest that Japanese children gradually develop the ability to use pitch accent information as a cue to lexical distinction in words throughout their childhood. The findings are discussed in terms of how Japanese children pay attention to pitch information in the learning of words.