著者
小川 和郎 平井 明日香 山本 浩平 古門 直樹
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.81-85, 2011 (Released:2011-02-25)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

シクロデキストリン(CD)の包接能を利用した吸着材を開発するため,CD をセルロースに導入することによって CD の不溶化を試みた.架橋剤にはエピクロロヒドリン(EP)を用い,CD-セルロース系不溶性共重合体は NaOH 水溶液中で合成した.合成物の評価はメチルオレンジに対する吸着率から行った.吸着効率は EP 添加量の増加とともに向上し,EP 添加量の増加に伴って CD 導入量が増すことがわかった.一方,収率は EP 添加量に関係なく一定であった.また,収率および吸着効果は 40%の NaOH 水溶液中で合成するときに最大となった.NaOH 水溶液量を多量に使用することは効果的でなかったが,少量の水溶液中で合成したときは収率および吸着効果がほぼ一定であった.合成した共重合体は水や有機溶媒に不溶で,CD による吸着特性を示すことから,吸着材として広く利用されることが期待できる.
著者
岸 健太郎 小野 博宣 山本 浩平
出版者
中部大学
雑誌
中部大学工学部紀要 (ISSN:09108629)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.35-40, 2003-12-15

As is known, smelting dust has been reclaimed so far. But, it has the possibility of being used as a recycled material. When it is used as a substitute for cement, the amount of cement can be decreased. However, there is a problem with this; the amount of the hydroxide calcium in the concrete will also be reduced, thereby affecting the strength and the durability of concrete due to neutralization and other influencing factors. This research has clarified the reactivity of smelting dust and hydroxide calcium. First, the change over time of the amount of the hydroxide calcium in the paste was measured. Then, some basic experiments were conducted concerning fresh properties and the coagulation stiffening reaction of the concrete when some percentage of the cement is substituted for smelting dust. We have tried to detect how much the substitution addition rate affects various physical properties of the concrete.
著者
東野 達 大原 利眞 谷 晃 南斉 規介 山本 浩平 山本 浩平 小南 祐志
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

わが国の森林サイトやチャンバーを用いてBVOC フラックスの放出特性を明らかにし,近畿地方のBVOC 年間放出量マップを構築した.東・東南アジア地域を対象に,数値モデルにより発生源からの排出量とPM_<2.5> による早期死亡数との関係を定量化した.その成果をアジア国際産業連関表に導入し,各国の最終需要が誘発する国内のBC,OC 吸入による早期死亡数を明らかにし,消費基準でみたわが国への越境汚染による健康影響について他国及び日本の寄与率を推定した.
著者
東野 達 山本 浩平 南齋 規介 小南 裕志
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

化学輸送モデルを用いた人為起源二次粒子生成量の評価には、人為起源のみならず植物起源VOC発生量の正確な推定が必要であるが、東アジアにおける実測例は極めて少ない。前年度はコナラ個葉のイソプレン放出速度を計測したが、森林全体からの放出量推定精度を検証するため、簡易渦集積(REA)法を用いてコナラ群落からのイソプレン放出フラックスを夏〜冬に実測した。その結果、イソプレンの放出は気温と日射量に相関があり、紅葉により葉が黄色に変色するとイソプレン放出がなくなること、盛夏時のイソプレンフラックスはアマゾンの実測値を凌ぐことが初めて明らかとなった。一方、個葉の実測値とモデル式に基づく積み上げ法による森林全体のイソプレン推定放出量と、REA法による正味のイソプレンフラックスとの間には約1〜3割の差があり、イソプレンの森林内での分解や再吸収について観測する必要性が分かった。これらのデータはわが国で初めて得られた成果である。大気化学輸送モデルを用いて、わが国三地域への二次汚染物質沈着量の寄与度を日中韓の4部門について評価した。その結果、夏・冬に中国、建築・製造部門からの硫酸塩の寄与が大きいことが示された。二次粒子影響ポテンシャルによる経済部門の相互依存性解明の前段として、日本、中国などのアジア諸国と米国を含む10ヶ国のアジア国際産業連関表をもとに、各国の76経済部門におけるエネルギー消費量を各種統計データから推計し、さらにCO_2排出量に変換して部門別内包型原単位を求めた。対象10ヶ国の内包CO_2排出量のうち中国、米国が突出しているが、米国は他国への誘発量が最も多く、逆に中国は他国への誘発量は少なく他国からの誘発量が最大であることが明らかとなった。また、日本の最終需要による海外誘発量は、電力部門が最大で次いで輸送部門であることが分かった。