- 著者
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山極 壽一
- 出版者
- 公益財団法人 日本学術協力財団
- 雑誌
- 学術の動向 (ISSN:13423363)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.9, pp.9_12-9_16, 2022-09-01 (Released:2023-01-27)
- 参考文献数
- 4
現在、私たちは人新世(Anthropocene)と呼ばれる時代にいる。それは1950年代以降に始まったグレート・アクセレーションという、人口、海外投資額、化学肥料の使用量、海外への旅行者数などに見られる急激な増加に直面していることを意味する。その結果、地球上の哺乳類のバイオマスの9割以上を人間と家畜が占め、地球の陸地の4割以上が人間と家畜の食料を生産する畑地と牧場に変わってしまった。地球の限界を示す9つの指標のうち、生物多様性とリンと窒素の循環がもう限界値を超えている。このままでは地球も人類も共倒れになってしまう。いまここで立ち止まって人類の進化と文明史を振り返り、われわれがどこで間違ったかを考えてみなければならないのではないか。それが本発表の主旨である。