著者
宮丸 友輔 江村 伯夫 山田 真司
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.625-637, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
29

ポピュラ音楽のノリは総じてグルーヴ感と呼ばれ,これは演奏音の時間的逸脱や音の強弱といった演奏上の操作によって表現されることが知られている。しかしながら,グルーヴ感の多様性や,それらと演奏上の操作との定量的関係について明らかにした報告はない。本論文では,種々のグルーヴ感に関連する音楽様式や印象について問うアンケート調査を実施することにより,グルーヴ感がドライブ感とレイドバック感の2種に大別できることに加え,それらを表現するための奏法上の操作として,ドラムス演奏におけるスネアの打叩タイミングとハイハットのアクセント位置が重要な要素であることを明らかにしている。スネアの打叩タイミングとハイハットのアクセント位置を様々に制御した演奏音を対象とした印象評定実験を実施した結果,ドライブ感は,表拍にハイハットのアクセントを付け,スネアの打叩タイミングをジャストから10msから20ms前に逸脱させることによって最も強く感じる一方で,レイドバック感は裏拍にハイハットのアクセントを付け,打叩タイミングをジャストから20ms後に逸脱させることによって最も強く感じることを明らかにすると共に,いずれの場合においても30ms逸脱させると極端にグルーヴ感が損なわれてしまうことを示唆している。
著者
山田 真司 井村 和孝 新井 裕子 小田 満理子 西村 英樹
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.46(1995-MUS-010), pp.21-28, 1995-05-19

音楽演奏者は自らの音楽的表現を行うために、正確に身体運動を制御する能力を有すると考えられる。音楽演奏者の基礎的な時間的制御能力を測定するため、中程度のピアノ演奏能力を有する音楽専攻学生に等間隔タッピングを行わせ、その時間間隔ゆらぎを分析した。その結果、等間隔タッピングの時間的制御に、過去約20 tapの時間間隔を保持する記憶機構が介在することが示唆された。また、様々なレベルのピアノ奏者、打楽器奏者および非音楽奏者に等間隔タッピングを行わせた結果、熟練したピアノ奏者は、非熟練者や非音楽奏者よりもゆらぎが小さかった。また、打楽器奏者は熟練したピアノ奏者よりも時間的制御が優れてはいなかった。
著者
山田 真司
出版者
金沢工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、従来、制作者達のセンスや経験に基づいて制作されていた萌えキャラクタ(萌えキャラ)の顔および声のデザインとその知覚印象との関係について知覚実験によって明らかにすることで、萌えキャラ制作のための科学的設計指針を得ることを目的としたものである。実験の結果、萌えキャラの顔は、美人キャラに比べて、丸顔で目が大きく開いていることが定量的に示された。また、萌えキャラの声は、基本周波数、スペクトル重心が高く、話速が速いことが明らかになった。これらは、未成熟な女性を示唆する特徴を示すものであった。
著者
山田 真司
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

複数の知覚実験を実施し,それらの結果を統合することで,音楽を構成するパラメータ,音楽の印象,ゲームの印象,ゲームの遂行成績の間の機序を定量的に明らかにした。このことによって,ゲーム音楽のための科学的設計指針が得られ,求めるゲームの印象および難易度を実現するためには音楽のどのパラメータをどのように設定すれば良いか推定することが可能になった。
著者
川内 規会 オガサワラ メリッサ 山田 真司
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、医療通訳に焦点を当てながら外国人患者と医療従事者が抱えているコミュニケーションの問題を分析し、医療通訳の今後の可能性を考察した。在日外国人対象の調査では、外国人患者の医療現場における言語上の不安要因が明らかになり、さらに外国人患者は病院内の説明を十分に理解していないという結果から、「情報保障」の問題が重要視された。医療通訳の調査では、通訳者の活躍が期待されているが、医療通訳派遣システムが形作られている大都市の課題と外国人が少ない地域でかかえる課題には、将来的な改善点が大きく異なることから、今後、地域社会のニーズに合わせた段階的な医療通訳の対応が必要であると考える。
著者
三浦 雅展 尾花 充 山田 真司 柳田 益造
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.103, pp.21-26, 2001-10-26

ここでは,音大の学生を被験者とし,音楽的な美しさ評価について和声学のバス課題許容解群を用いて調査している.その結果,音大生の中でも作曲科の学生の回答が,専門家の回答と相関が高いことが確認された.また,専門家の評価基準を実装した"音楽美評価システム(MAES)"を構築し,MAESと音大の学生とどちらが専門家の答えに類似しているかを調査したところ,MAESは作曲科専攻などの優秀な学生とほぼ同じレベルで音楽的な美しさを評価することができることが確認された.Aesthetics evaluations by music college students are investigated using allowable answers for given bass tasks for the theory of harmony. The evaluation scores by students of composition course are found to be similar to the average scores by experts in music composition. A system that can evaluate musical aesthetics is realized by introducing weights obtained from regression analysis of aesthetics evaluations through enquetes to experts. The system is called "MAES(Musical Aesthetics Evaluation System)". Comparing the outputs of MAES with the average scores by experts and students in several levels in music college, it is confirmed that MAES can evaluate musical aesthetics as the same level as excellent students.
著者
米田 涼 沖 将吾 山田 真司
出版者
日本音楽知覚認知学会
雑誌
音楽知覚認知研究 (ISSN:1342856X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.5-16, 2015

音楽の経時的な印象に関する研究は数多く行われているが,それらは主にクラシック音楽を対象としていた。本研究ではゲーム音楽,ポピュラー音楽,クラシック音楽を用い,音楽ジャンルの違いによる経時的な印象変化の違いを調査した。また,楽曲の経時的な印象変化と,音響特徴量および楽曲全体の印象との関係についても調べた。その結果,音楽ジャンルに関わらず「快さ」の変化は小さく,「覚醒度」の変化は大きいことが分かった。そして,覚醒度の変化はゲーム音楽,ポピュラー音楽,クラシック音楽の順で大きくなる傾向が見られた。また,楽曲全体の覚醒度は,楽曲中の覚醒度変化の絶対値の大きい部分の平均と対応が良いことが明らかとなった。
著者
佐々木 實 石川 智子 山田 真司
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.743-747, 1989-10-01
被引用文献数
11 2

人間の手によるピアノの直接演奏において、楽譜上の等しい時価を演奏したときの時間間隔に見られるゆらぎについて分析を試みた。各音符の長さをできる限り正確に弾いたメトロノーム的な演奏(Aタイプと名づける)と、芸術的な演奏(Bタイプと名づける)とについて、各音符の時価に対応する時間間隔を測定し、その時系列からゆらぎのパワースペクトルを求めた。その結果次の結論を得た。1)Aタイプの演奏は全体のゆらぎのパワーが小さく、かつ、スペクトルエンベロープの傾きは、平坦又は右上がりである。2)Bタイプの演奏は全体のゆらぎのパワーが大きく、かつ、長い周期によるゆらぎが強調されており、スペクトルエンベロープの傾きは右下がりである。3)A、B両タイプのスペクトルエンベロープの傾きの係数の境界はおおまかに-2付近に設定できる。
著者
山田 真司 山田 典子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

唾液アミラーゼ活性によるストレス測定値それ自体,および測定値の前後変化と質問紙による主観的な質問項目(疲労感,興味,楽しさなど)との関連については一つの質問項目を除き乏しかった.従って,これらの主観的な感覚は複数の要素から構成されたものであり,唾液アミラーゼ活性によるストレス測定値のみによって代替することは困難であると思われる.ストレス測定値と関連の高かった質問項目は「これから計測するストレス値は高いだろう」というものであったことから,唾液アミラーゼ活性によるストレス測定値に示される客観的な身体状況が主観的にも的確に評価できているという結論が導かれた.