著者
藤野 毅 ニン ウィリ 野本 健志 山田 明弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_1291-I_1296, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
10

This topic presents the effect of radioactive pollution in river on Stenopsyche sp. (Trichoptera: Stenopsychidae) at upstream and immediately downstream of Mano dam in Fukushima Prefecture, Japan. Stenopsyche sp. has high productivity with bivoltine life cycle among all invertebrate species, and can be a good indicator for any kind of environmental pollutions. The total radioactive cesium is always detected from Stenopsyche sp. with the order of 4,000 Bq/kg. A cause of high radiation intensity is due to very high intensity from the fine particulate organic matter (FPOM). However, its biological half-life was only about 6 hours for non-winter generation. Thus, FPOM is mostly excreted without assimilation.
著者
山田 明弘 土井 貴明 小國 孝 川本 龍一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.817-821, 1999-11-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
11

下垂体卒中は, 発症の誘因が不明のことが多い. 今回, 老年者下垂体腺腫において, 感冒症状から腺腫内出血を引き起こした1例を経験したので報告する.症例は, 74歳, 女性. 1997年6月19日より発熱, 眉間から前頭部にかけての頭痛を訴え, 嘔気を自覚し, 嘔吐を認めた. 近医にて感冒の診断で内服加療されたが症状は軽快せず, 食思不振も自覚するため, 精査加療目的で6月21日当科入院となった.入院時の神経学的所見では, 瞳孔は左眼は散瞳し, 対光反射は左眼は消失, 右眼は遅延していた. 彼女は両眼とも上転が困難であった. 入院時検査所見では白血球は6,700/μl, CRP 16.2mg/dl, 腰椎穿刺では総蛋白97mg/dl, 総細胞数82/μlでリンパ球が主体であった. 臨床症状と腰椎穿刺の所見より当初は中枢神経のウイルス感染症と診断しγ-グロブリンを投与した. 第16病日より動眼神経麻痺の症状である左眼瞼下垂と複視を約2週間認めたが, 経過観察で神経症状は改善した. 第23病日のMRI像から下垂体卒中が強く疑われた. 下垂体腺腫内の血腫が吸収され, 圧迫により麻痺していた動眼神経機能は改善されたと推察できた. 第71病日に施行した Hardy 手術時の摘出標本の組織所見から下垂体卒中の確診に至った.高齢者で, 頑固な頭痛と嘔気, 嘔吐, 発熱に加え外眼筋麻痺の症状を認めた場合には, 下垂体卒中の発症を鑑別に加える必要があり, この疾患を病初期に診断するのは難しいと考えられた.
著者
中野 孝教 荒矢 大輔 飯田 史哉 石本 達成 伊戸 康清 猪嶋 清文 今村 智子 江川 勇飛 小澤 弘幸 帰山 寿章 片瀬 靖規 酒井 元哉 佐藤 実 澤田 誠司 下島 浩平 野田 博幸 松田 智幸 松本 高志 山田 明弘 山田 佳裕 山下 勝行 岡野 修 岸本 圭祐 勝見 尚也 山中 勝 城間 吉貴 大河内 博
出版者
日本地学教育学会
雑誌
みんなの地学 (ISSN:24356441)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.10-15, 2020-06-30 (Released:2021-12-02)
参考文献数
10

人間社会は岩石や水,生物,大気などの様々な自然資源を開発し利用することで発展してきたが,それに伴い環境は変化し時に汚染や災害など生存にかかわる問題を引き起こしてきた.地学は持続可能な社会を支える必須な学問であるにもかかわらず,高校地学の履修者は少なく,教師も研究者も減少している.人間と自然の関係は複雑だがシームレスにつながっており,共に地域的な多様性に富むという特徴がある.地球環境研究は社会変革につながる学際研究,大学は地域貢献,自治体は地域創生が求められるようになってきた.ここでは健全な水循環の実現に向けて,大学と小学校が連携しながら,地域性が強い水資源を観測・調査している福井県大野市の例を紹介し,生徒の環境リテラシーの向上と地学研究を協働して推進する地学教育の可能性を考えてみたい.
著者
川本 龍一 土井 貴明 山田 明弘 岡山 雅信 鶴岡 浩樹 佐藤 元美 梶井 英治
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.861-867, 1999-12-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
15 22

地域在住の高齢者を対象に, 主観的幸福感とその背景因子を解明するための横断調査を実施した. 対象は, 地域在住の自記式回答可能な高齢者であり, 調査は, 松林らの香北町健康長寿研究で用いられたと同様の Visual Analogue Scale を用いたアンケートを使って行われた.地域在住の自記式回答可能な高齢者2,379人中2,361人 (99.2%) より回答を得た. そのうち回答不備例を除く分析可能な対象は, 1,873人 (78.7%), 男性860人, 平均年齢72.7 (95%信頼区間: 72.3~73.0) 歳, 平均主観的幸福感69.1 (67.6~70.5), 女性1,013人, 平均年齢72.8 (72.4~73.1) 歳, 平均主観的幸福感68.5 (67.2~69.7) であった. 主観的幸福感と背景因子との関係については, 主観的幸福感は同居家族のいる人 (p=0.0051), 配偶者のいる人 (p=0.0240), 血圧の高くない人 (p=0.0096), 脳卒中歴のない人 (p=0.0039), 医師による定期的内服治療を受けていない人 (p=0.0039), 運動習慣のある人 (p<0.001), 仕事をしている人 (p<0.001) ほど有意に大きかった. 主観的幸福感と各種スコアーとの関係については, 主観的幸福感はADL, 情報関連機能, 手段的・情緒的支援ネットワーク, 健康状況, 食欲状況, 睡眠状況, 記憶状況, 家族関係, 友人関係, 経済状況の値が高いほど有意に大きかった (各々p<0.001). 主観的幸福感を取り巻く背景因子を説明変数とする重回帰分析では, 手段的支援ネットワーク (p<0.001), 情緒的支援ネットワーク (p=0.0254), 健康状況 (p<0.001), 記憶状況(p=0.0027), 友人関係 (p<0.001), 経済状況 (p<0.001) は有意な正の偏相関を示した. 抑うつ状態 (SDS) と主観的幸福感との関係では, SDSが重症 (高得点) になるほど主観的幸福感のスコアーは有意に小さかった (p<0.001).地域に在住する高齢者の主観的幸福感の向上のためには, 今回明かにされた背景因子の改善を計り, 今後経年的に経過をみて行くことが必要であろう.