著者
井上 孝夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.223-227, 2005-02-28

東北地方を中心に行なわれている民俗芸能・鹿踊り(ないしは,獅子踊り)の起源については,これまでいくつかの説が唱えられてきた。そのなかで,マタギ起源説はマタギ集落と伝承地が一致しないため,説得力に乏しい。世上流布しているのは人間による鹿の模倣説で,宮沢賢治の「鹿踊りのはじまり」に依拠して語られることが多い。これに対して,本稿は鹿踊りは製鉄の民俗の一種であることを主張する。そして畠山重忠と日蓮の関連性から,宮沢賢治説の表層性(あるいは,非土俗性)と限界性を指摘する。
著者
長谷川 誠 和田 信昭 井上 孝志 安原 洋 仲 秀司 黒田 敏彦 野尻 亨 新川 弘樹 藤田 尚久 古谷 嘉隆
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.852-857, 2000-04-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
28
被引用文献数
5 13

1986年5月から1999年6月までの14年1ヵ月間に,当院に来院した経肛門的直腸内異物症9例と,本邦報告例55例について臨床的検討を加えた. 患者年齢は最小年齢15歳から最高年齢43歳で,平均年齢は29.6歳,性別では男性が7人,女性が2人であった.主訴では異物が7人,腹痛が2人で,来院する患者の中には異物挿入の事実を隠している場合もしばしば認められた.原因としては性的行為に関係している症例が8例と最も多かった.そのため患者は羞恥心から夜間当直帯に来院することが多かった.また繰り返し経肛門的直腸内異物で来院する症例も2例認められた.摘出は穿孔性腹膜炎を発生していた1例を除き経肛門的に摘出された.異物の種類ではスプレー缶2例,ハンガー・針金2例,試験管1例,瓶1例,バイブレーター1例,キセル1例,鉛筆1例,お菓子の容器1例となっていた.
著者
井上 孝 森本 健弘
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.479-492, 1991

This study examined how population density and agricultural land productivity in a metropolitan area varied spatially by discussing the case of the Kanto district. A mathematical model was presented for describing the relationship of these two values. Population density values were calculated from grid-cell data of the population census of 1980. Values of agricultural land productivity were represented by agricultural income per hectare estimated from grid-cell data of the agricultural census of 1980. Figure 3 shows distribution of these values.We attempted to find the complicated spatial patterns of these values by analyzing the covariation of them in two aspects: the covariation with distance from the city center (Fig. 4) and with azimuth angle in distance belts (Fig. 5).The facts that we found are summarized as follows:The covariation with distance showed a tendency to correlate positively in the inside range of 35km and showed a tendency to correlate negatively in the outside range of 35km, except the non-agricultural city core and the mountainous area beyond 95km.The variation with azimuth angle, both of density and of productivity, consisted of long waves and short waves. The long waves of density and productivity showed similar curves. By contrast, the short waves of them showed inverse curves. This inverse relationship was weaker in the outside range of 35km than the inside.A mathematical model was then presented on the basis of these facts. This model consists of the following two parts:1) The covariation with distanceThe following formulation describes the covariation of population density fP and agricultural land productivity fA with distance. Equation (1) shows the productivity fA (r, p) at a place where distance from the edge of the city center is r and deviation of density is p. Variables fA (r, p), gA (r), and hA (p) in (1) correspond to curves FA, G, and H in Figure 6 respectively. The variable gA (r) is a component declining exponentially with distance r; gA (r)>0 and (d/dr) gA (r)<0 for r>0. The variable hA (r) is a component increasing with decreasing deviation p; (d/dp) hA (p)<0; hA (p)≈0 at p=0. Let fP(r) be the population density at distance r and fP be the mean value of fP(r) with respect to overall r, we get p=fP(r)-fP and (d/dr)fP(r)<0. Thus hA (p) becomes a function of r and (d/dr)hA(p(r)) becomes positive. Let r0 be a constant distance, the relationship between gA (r) and hA (p) is given by inequalities (2) and (3).2) The covariation with azimuth angleThe following formulation describes the covariation of population density up and agricultural land productivity uA, with azimuth angle in a specific distance belt Both uP and uA are standardized values with respect to overall angle in the distance belt. The density uP(θ) at angle θ can be written in equation (4). Variables uP(θ) and vP(θ) in (4) correspond to curves UP and VP in Figure 7 respectively. The variable vP(θ) is a component representing long periodic variation; vP(θ+λ1)=vP(θ) for a constant λ1(>0)
著者
井上 孝夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.171-178, 2004-02-28

「壬申の乱に敗れたのち,大友皇子は房総の地に逃げ延びた」という房総・弘文天皇伝説は,房総の伝説のなかでも傑出したものの一つである。このような伝説が成立した背景には,この地域が古代の製鉄民族,多(オオ)氏の支配地域だったことと関連していて,大友皇子のゆかりの人々がオオ氏を頼りに房総に移住したと考えるのが最も理にかなっている。それはまた,「田原」地名の分布にはっきりと刻印されている。田原とはタタラであり,製鉄が行なわれていたことを示しているのである。だが古代の末期から中世にかけて熊野修験道が流入し,その結果,オオ氏の祀っていた田原神は白山神へと姿を変えた。これが,現在の白山神社(君津市俵田)に物理姫と弘文天皇が祀られている理由である。
著者
後藤 仁敏 井上 孝二
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.667-688, 1979 (Released:2011-08-10)
参考文献数
46
被引用文献数
1 1

西アフリカのマリ共和国において, 新生代第三紀始新世の地層から発見された, 化石全骨魚類のピクノドゥス類に属する魚の鋤骨一口蓋骨歯について, 歯の形態と配列状態に関する肉眼的観察, 研磨標本の光学顕微鏡的観察, マイクロラジオグラフィー, 走査電子顕微鏡的観察, および粉末試料のX線回折などの方法により, 歯を構成する硬組織の性質を検索した。鋤骨一口蓋骨の下面に歯はトウモロコシ状に, かなり不規則ではあるが11の歯列をなして配列している。歯の硬組織は, おもにリン灰石からなる鉱物質によって構成され, 厚い外層 (エナメル質) とその下の薄い内層 (象牙質) からなり, 内層は歯の辺縁部で下方に細長く突出しており, 本来の歯髄腔は骨組織によってみたされている。歯の外層は, X線透過度の低い高度に石灰化した硬組織で, 内層から連続する細管によって貫かれ, 深層部では叢状に密に交錯する結晶の束からなるが, 表層部では結晶が歯表に直角方向に平行に配列する状態に移行している。酸で脱灰すると外層の硬組織は溶解消失するが, 細管構造は残存してヘマトキシリンに染色される。歯の内層は, X線透過度の比較的高い層で, 脱灰標本ではヘマトキシリンに染色され, 象牙細管の存在する領域と, その周囲をとりまく線維骨様組織から構成されており, 前者の直下には分断された小さな歯髄腔が存在しているが, 後者は本来の歯髄腔をみたす骨組織に移行している。歯の外層と内層との境界は明瞭であるが, 歯の内層と周囲の骨組織とは移行的で, 歯は骨組織と骨性結合により固く支持されている。このような歯の配列状態, 組織構造, 支持様式は, この魚がピクノドゥス類のなかでも, 有殻軟体動物食に著しく適応した仲間であったことを, 示すものである。
著者
井上 孝夫
出版者
千葉大学大学院社会文化科学研究科
雑誌
千葉大学社会文化科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-9, 2006-03

山口県山陽小野田市厚狭に伝わる「三年寝太郎」伝説の深層には何があるのか。文献や寺社由来などを溯ってその始原の姿を検討していくと、そこからみえてきたものは、「寝る」こととは全く無関係な、妙見(北極星)信仰とのかかわりであった。寝太郎とはすなわち、子(ね)太郎であって、子の星(妙見)を意味する。そして妙見信仰はタタラと結びつく。寝太郎とは、妙見を信仰する製鉄民だったのである。
著者
井上 孝
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.87-100, 2018 (Released:2018-04-13)
参考文献数
44

筆者は,2015年6月に「全国小地域別将来人口推計システム」の試用版を公開した.このシステムは,小地域(町丁・字)別の長期(2015~2060年)にわたる日本全国の推計人口(男女5歳階級別)を,初めてウェブ上に公開したものである.システム構築にあたっては,小地域の人口統計指標を平滑化する新たな手法を提案した.その後,本システムにはさまざまな改良が加えられ,2016年7月に正規版が公開されるに至った.本稿では,まずこのシステム開発の経緯に言及したあと,システムの理論面の根幹である,新しい平滑化法の概要を述べる.つづいて,推計方法と推計精度を中心に本システムの概要を述べたあと,その操作方法について解説し,最後にむすびに代えて今後の展望を示す.
著者
井上 孝司
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.907, pp.92-99, 2019-09
著者
井上 孝夫 イノウエ タカオ Inoue Takao
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.209-216, 2007-02

大学の原則は「自学自修」である。しかしこの原則は形骸化が著しい。特に100名単位の学生が受講する講義科目において,少なからぬ学生からは「楽して単位を修得する」ことが当然視され,講義はあたかも単位取得ゲームの競技場と化している。このような現状のもとで,わたしの行なった2006年度前期の「社会学概論」の講義では,受講学生に対して,「ノートの取り方」と「授業の流れ,およびテキストへの注意」に関する2つの「指導」を行ない,「自学自修」の原則を実質化していくためのささやかな第一歩とした。それによって,一定の成果をあげることができたと判断している。本稿は,その概要と分析である。
著者
井上 孝 長田 孝治 石崎 俊
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.666-672, 2015-12-01 (Released:2015-12-01)
参考文献数
4

国際標準化機構(ISO)では用語や言語資源の標準化を担当するTC 37において翻訳・通訳関連規格の制定作業を行っており,その一環として翻訳サービスの品質保証に関するISO 17100規格が最近制定された。この規格は翻訳サービスの品質を確保するために翻訳サービス提供者が満たすべき要件を規定するもので,翻訳案件を1つのプロジェクトと見なし,仕様書に従って適切なプロジェクト管理のもとで遂行することを基本としている。本稿では同規格の内容を紹介するとともに,規格制定を主導したヨーロッパと日本との事情の相違など,今後の普及・発展に必要と考えられる問題点についても触れる。
著者
大久保雅且 杉崎 正之 井上 孝史 田中 一男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.2250-2258, 1998-07-15
被引用文献数
25

WWW (World Wide Web)検索サービスで使用された検索語から情報ニーズを抽出できれば,より効果的な情報収集や情報提供が可能になる.しかし,同じ概念を表す情報を求める際でも,それぞれの利用者の持つ固有の視点から様々な検索語が用いられる.このため,使用された検索語を単純に集計するのではなく,その時期に「同義語として用いられた」検索語を判定して集約しなければ,情報ニーズの本当の強さや傾向を求めることはできない.本論文では,使用された検索語の間に関連度を定義し,その値によって関連する検索語をグループ化する手法を提案する.関連度は,(1)検索要求の時間間隔から同一情報への要求かどうかを判定する方法と,(2)各検索語の使用頻度の時系列を求めそれらの間の相関関係を用いる方法,の2つの観点から定義する.また,一定の期間ごとにこれらの関連度を求めることによって,「その期間における同義語」をタイムリーにグループ化する.さらに,本手法を実際のWWW検索サービスのアクセスログに適用し,各情報ニーズの真の強さや傾向を把握できるだけでなく,関連語の提示によって要求解釈の支援が可能となることを示した.This paper proposes a method for detecting the information demands of a large group of people by analyzing the keywords used on a WWW (World Wide Web) search service.In general,a variety of keywords are used to retrieve information on the same topic.These keywords differ according to each user's viewpoint.Therefore,they,that is related words in a sense,must be gathered and summed up to extract information needs accurately.In this paper,relationships between two keywords are measured by time interval between them,and by the correlation coefficient of the number of uses per day.By calculating these relationships once in a certain period of time,for example one week,and by combining them effectively,keywords for the same topic can be grouped together.We applied the proposed method to the access log for an actual WWW search service,and found that it was useful for interpreting each request as well as for understanding the true strength and trends of information demands.
著者
数原 良彦 植松 幸生 戸田 浩之 井上 孝史 片岡 良治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

多数のユーザによって付与されたソーシャルアノテーションを用いた情報検索ではアノテーションが付与されているコンテンツのみを検索対象とするため,ウェブ全体を検索対象にできないという問題がある.本研究では,ソーシャルブックマーク数を正解としてランキング関数を学習することにより,ブックマークされていないウェブページについてもブックマーク件数を近似した検索ランキングを提案する.
著者
井上 孝
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.308, 2008

一般に,社会的地位,収入,学歴等のステイタスがより高い者と結婚することを上方婚または上昇婚,その逆を下方婚または下降婚という。周知のとおり,先進国,途上国を問わず,女子のほうがより強く上方婚を志向する傾向がある。また,この傾向は国内どうしの結婚,国際間の結婚のいずれにも現れるが,とくに後者の場合は,結婚しようとする2人の個人的なステイタスの違いに加えて,その2人が属する国の経済水準の違いが大きく関わる。すなわち,経済水準のより高い国の相手との結婚を志向する傾向は,女子の方が相対的に強いといえる。本研究では,国際結婚におけるこうした傾向を論じるにあたって,経済水準のより高い国の国籍をもつ者との結婚を上方婚,その逆を下方婚と定義する。<BR> 本研究で定義した,国際結婚における上方婚と下方婚については,多くの研究において言及がなされている。しかし,管見ではそのような国際結婚に注目しその動向を定量的に示した研究はほとんどない。そこで本研究は,任意の二国間の国際結婚において,上方婚と下方婚の量的差異またはその変化にどのような法則性があるかを,近年の日韓間の国際結婚を事例にして検証することを目的とする。この検証にあたっては次のような3つの仮説を設けて議論を進める。<BR> 以下では,任意の2か国(A国とB国)の間の国際結婚を考える。このとき,A国におけるB国人との結婚またはB国におけるA国人との結婚に関して,妻からみた上方婚の件数の,夫からみた上方婚の件数に対する比率をWH比と呼ぶこととする。ここで,<BR><B>仮説1</B>:A国におけるB国人との国際結婚に関するWH比とB国におけるA国人との国際結婚に関するWH比は等しい,<BR><B>仮説2</B>:仮説1で示した2つのWH比は,いずれも,A国とB国の経済格差の短期的変動の影響を受けない,<BR><B>仮説3</B>:A国におけるB国人との国際結婚件数の,B国におけるA国人との国際結婚件数に対する比率は,過去のある時点におけるA国とB国の経済格差に連動する,<BR>という3つの仮説を設ける。<BR> 上述の仮説を近年の日韓間の国際結婚に適用した結果は以下のとおりである。2000~2006年における両国間の国際結婚件数については,日本における対韓の件数にはあまり変化がないが,韓国における対日の件数は2002年以降上昇傾向にある。この期間におけるWH比を日韓のそれぞれについて算出すると,これらのWH比はいずれの年も近似しており,また2.5前後の比較的安定した値をとっていることがわかった。これにより仮説1と仮説2は日韓の国際結婚に関して支持された。また,日本における対韓の国際結婚件数と韓国における対日の国際結婚件数の比率を2000~2006年について算出し,1995年以降の日韓の1人あたりGDPの比率と比較すると,4年間のタイムラグをおいてこれらの比率が連動していることが示された。すなわち,ある年の日韓の1人あたりGDPの比率が4年後の国際結婚件数の比率をよく説明している。したがって,日韓の国際結婚に関しては仮説3も支持される形となった。
著者
井上 孝代 伊藤 武彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.298-304, 1997-10-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
24
被引用文献数
3 2

The aim of the present study was to show relationship between acculturation attitudes and mental health of international students in their first year in Japan. Of 53 new international students at a university, 50 (36 male and 14 female), 19.2 years old on average, completed a questionnaire in May (one month after the arrival), October (six months later), and March of the following year (the last month of the first academic year). The questionnaire consisted of two parts: Acculturation Attitude Scale and SCL-90-R Mental Health Scale. The former was based on Kim (1988) and measured four types of acculturation attitudes: Integration, Assimilation, Separation, and Marginalization (Berry, 1990, 1992; Berry, Trimble, & Olmedo, 1986). Results indicated that effects of acculturation attitudes on mental health of international students became clear in the last month of their first year. It is argued that helping students' integration attitude has beneficial effects on their mental health.
著者
高寺 恒慈 三宅 義明 平光 正典 井上 孝司 片桐 孝夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.176, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】レモン果汁に豊富に含まれる有機酸は、ミネラル類をキレート化して、生体内での吸収を促進することが知られている。そこで、本研究では、レモン果汁が、高硬度ミネラルウォーター中に含まれるカルシウム及びマグネシウムの吸収に及ぼす影響について検討した。 【方法】試料として、カルシウム464ppm及びマグネシウム87ppmをそれぞれ含む市販のミネラルウォーターと、クエン酸を7%含む市販のレモン果汁製品を用いた。試験管試験では、人工腸液(80mMリン酸緩衝液、pH6.8)とレモン果汁を3%(v/v)添加したミネラルウォーターを混合したときのカルシウム及びマグネシウムの可溶化率を測定した。動物試験では、9週齢の雄性wistarラットを8時間絶食させ、レモン果汁を3%(v/v)添加したミネラルウォーターを25ml/kg体重で経口投与した後、16時間採尿して、尿中のカルシウム及びマグネシウム濃度を測定した。 【結果】試験管試験において、レモン果汁添加ミネラルウォーター中のカルシウム及びマグネシウムの可溶化率は、レモン果汁無添加の場合と比較して、共に有意に高値を示した。また、動物試験においても、レモン果汁添加ミネラルウォーターの投与は、レモン果汁無添加投与と比較して、クレアチニン補正した尿中カルシウム及びマグネシウム濃度を共に有意に増加させた。以上のことより、レモン果汁は高硬度ミネラルウォーター中のミネラル吸収を促進させることが示唆された。