著者
保坂 裕興 高埜 利彦 安藤 正人 入澤 寿美 森本 祥子 小風 秀雅 針谷 武志 水谷 長志 君塚 仁彦 水嶋 英治
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究による組織構成及び各種機能を含んだ規程等の提案を受け、2011 年 4 月、学習院アーカイブズが学校アーカイブズとして開設された。それにあたり世界16 言語と web リンクをもつ関係用語集を作成するとともに、公開研究会を開催してその役割・機能を論じ、さらに教職員を対象とする講習会を実施して記録/アーカイブズ管理の理解向上をはかり、その運営に理解を求めた。また、主たる所蔵資料である戦前期宮内省学習院公文書の基本構造を明らかにし、その鍵となる史料をアーキビスト教育の授業教材として用いた。以上を科研報告書にまとめ刊行した。
著者
君塚 仁彦
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.140, pp.185-200, 2008-03-31

日本国内で「異文化」とされる存在。そこには,在日外国人の歴史,そして生活・文化がある。その多くは,日本の近代化への歴史的過程における海外移民や植民地政策の延長線上にあるが,在日外国人のなかで,在日中国人である華僑とともに最も古い歴史を持つのが在日朝鮮人である。本稿では,在日朝鮮人の労働そして生活の記憶をとどめようとする,設立母体の異なる二つの博物館,丹波マンガン記念館(京都市)と在日韓人歴史資料館(東京都)の二館を取り上げ,在日朝鮮人の記憶をどのように記録し,いかに展示表象しているのか,その内容と意義を,在日朝鮮人による博物館運動に焦点をあてながら明らかにした。この2つの博物館展示が物語っているのは,日本人・日本社会にとって在日朝鮮人,あるいは在日朝鮮人社会が「隠された存在」であり続けているということである。日本社会で多文化共生を実質化していくためには,本稿で取り上げたような博物館は必要不可欠である。在日朝鮮人の記憶の継承と課題は,日本における固有の歴史的課題であり,今後は,行政立の施設もこれを分担すべきであろう。地域史概念の中に,より積極的に在日朝鮮人の生活史,彼ら,彼女らが果たしてきた歴史的かつ社会的役割について組み入れる必要があり,史実の掘り起こしや継承という点も含めて,公立博物館の展示にも反映させなければならない。博物館の歴史展示が,彼ら,彼女らを一方的に「異文化」として位置づけ,囲い込むのではなく,差別・抑圧の歴史を認識し,それを乗り越えていくためにも,産業・文化などで果たしてきた役割をより積極的に明らかにし,関連資料の収集・保存・公開を図っていくことが重要である。在日朝鮮人は文化的側面だけで記憶され,表象されることも多いが,差別や抑圧,人権問題を踏まえた展示や継続する植民地主義的な状況を伝えていくことも大切である。二つの博物館の展示表象は,そのことの大切さを端的に物語っている。
著者
小川 千代子 日野 祥智 益田 宏明 秋山 淳子 石橋 映里 小形 美樹 菅 真城 北村 麻紀 君塚 仁彦 西川 康男 船越 幸夫
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.54-65, 2020

<p> 記録管理学体系化に関する研究は、2016年度から3年計画でスタートし、2018年度は3年目の最終年度にあたる。2016年度、2017年度の研究成果を踏まえ、2018年度には記録管理学の体系を導き出すことを目指して研究を行った。2018年度は、4回の研究会を開催するとともに、各メンバーによる個別担当の研究を行い、それを取りまとめるための記録管理学体系化の方向性を模索した。各メンバーは各自が記録管理における関心のあるテーマの考察レポートを作成し、これらを研究代表者である小川千代子が、2017年度の記録管理学体系化プロジェクト研究報告(学会誌「レコード・マネジメント」)で描いたところの体系化予想項目の中に関係づけ、その時の成果である記録管理学体系の3層構造に肉付けを行った。</p>
著者
小川 千代子 秋山 淳子 石井 幸雄 石橋 映里 菅 真城 北村 麻紀 君塚 仁彦 西川 康男 廣川 佐千男 船越 幸夫 益田 宏明 山﨑 久道
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.44-59, 2017

<p> 本研究は3か年計画で記録管理学という学問分野の体系化を目的とする第1年目の成果である。ここでいう記録管理学体系化とは、実務者が、自身が経験した個別事例を一般化された記録管理体系の中に位置づける手がかりを求め、そこから文書管理実務の観察、検討、改善への道筋を探れるようになることを意図している。たとえば記録連続体論は、記録の存在を研究観察対象として論じる。だが、現実的実務につながるという面で見ると、記録管理学は長くその体系化の必要が叫ばれながら、事例紹介の蓄積にとどまり、体系の大枠すら明確ではない。そこで、初年度は文書管理の実務者が業務遂行上依拠する現状の文書制度に基づき、記録管理学の体系化の糸口を探ることとした。研究では、諸文書管理例規を収集し、用語と定義の比較分析を行った。</p>
著者
君塚 仁彦
出版者
国土社
雑誌
月刊社会教育 (ISSN:02872331)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.76-79, 2003-09
著者
君塚 仁彦
出版者
国土社
雑誌
月刊社会教育 (ISSN:02872331)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.p68-76, 1993-08
著者
君塚 仁彦 王 智新 石 純姫 藤澤 健一 橋本 栄一 大森 直樹
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本共同研究では、2003(平成15)年度から2005(平成17)年度までの3ヵ年の研究期間において、東アジアにおける戦争記憶の保存と表象のあり方に関して、歴史学を中心軸にしながら博物館学・植民地教育史学・言語学・哲学などの学術的視点をも援用し学際的かつ総合的な解明を行なった。特に調査研究の遂行にあたっては、日本のみならず中国・韓国・沖縄の研究者とともに行う国際的な研究体制を堅持した。研究期間内に、中国・韓国・沖縄・日本における戦争博物館・戦争遺跡の調査・研究を各年度の計画に基づいて実施したが、全体として、海外実地調査を5回、国内実地調査を6回、国内研究会を4回、海外での研究報告を3回、海外(中国・重慶)での特別講演会を1回実施することができた。その結果、これまで日本国内では、その存在さえも十分に認知されていなかった戦争遺跡等のいくつかを調査することができ、現地研究者との研究・情報交流を踏まえて、各地域における戦争記憶が、遺跡や博物館という形を取りながらどのように保存され、表象されているのか、またどのような歴史的背景存在するのかなどを具体的に解明することができた。また本研究成果の特色として、中国・韓国など海外、また沖縄などにおいて、日本が起こした近代以降の侵略戦争による加害・被害の史実認識、歴史認識共有化を目的とした現地研究者との学術研究交流を活発に実施したことをあげることができる。戦争記憶に関する歴史認識共有は今後の東アジアにとって極めて重要な課題であり、平和実現への欠かすことのできないステップでもある。研究代表者および分担者・協力者は、その目的達成のため、研究期間内での諸議論を踏まえて、本共同研究の研究成果発表の一環として、君塚仁彦編著『平和概念の再検討と戦争遺跡』(明石書店、2006年)を上梓し、その成果をより広く共有されるようにした。