著者
渡辺 柚佳子 樫村 健人 岡田 佳子 大澤 博隆 菅谷 みどり
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.24, pp.1-8, 2015-02-23

子どもの発達障害は,学習面のみならず,対人関係や運動面においても生じる様々な困難を緩和するために日常的な訓練が必要である.従来訓練は,高価な機材や教材,訓練内容においてセラピストの負担が大きく,頻繁に行えない問題があった.本研究では,プレイセラピーをセンサーと CG の連携によりデジタル教材として拡張した新しいデジタルセラピーデバイス,橙色の屋根のお家を提案する.本提案では,CG による抽象概念の見える化,センサーによる操作のフィードバックにより,情報共有の促進による子どもの自主的な参加を促すとともに,デバイス,教材,訓練内容を新しく提案することで,セラピストの負担を軽減する.前操作期の低年齢の子どもとの実験の結果,同じ家型のデバイスと比較して,問いかけに反応した回数は約 1.6 倍,抽象概念に反応した回数は約 2.0 倍,ミスコミュニケーションが発生した回数は約 0.1 倍となり,提案が期待の持てるものであることを示した.Children who are suffering on learning and developmental disabilities need daily trainings for social skills. However, such daily training is not provided occasionally because it requires interactive helps from therapists. In this paper, we propose a digital dollhouse that extended the traditional psychological play therapy equipped with digital sensors and computer graphics. This device aimed at raising the communication skills even if the superintendent of training is not a therapist. We have developed proposed digital play therapy device. Our device's CG function reproduces the reality. Abstract image is visualized by using our device. Based on the device, we discussed the usefulness of the device with the therapist, and the policy and metrics for the evaluation of the functionalities that are expected for the skill's training.
著者
池田 悠平 岡田 佳子 堀江 亮太 菅谷 みどり
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.149-161, 2016-07-06

近年,日本では単独世帯の増加や高齢化が進み,セラピーロボットの需要が高まっている.そのようなロボ ットとしてパロが挙げられるが,人が行動を起こすことが前提でありパロの方から行動を起こすことはない.そこ で,本研究では人の行動を前提とせず人の感情を推測できるロボットの実現を最終目的とし,第一段階として,記号 / 感情モデルをもとにした新しい感情の推測手法の提案をする.記号 / 感情モデルとは,客観的に読み取りやすい 「記号」 と,客観的に読み取りづらい 「感情」 とを分ける考え方である.本研究では,「記号」 には表情を,「感情」 に は脳波と脈拍を用いて,どちらが真とする感情の値との誤差を低く推測できるか実験を行った.結果,脳波と脈拍の方が誤差が小さいという結果になった.そこで,より正確さを向上させるため,感情の起伏の度合いとタイミン グを測定,主観評価と比較する実験を行い,より正確に感情を推測できた.そこで,人数を増やして実験を行った ところ,個人によって誤差の大きさが違った.そこで属性のアンケートを取り相関を調べたところ幾つかの属性と誤差の大きさが相関を持つことが示唆された.
著者
岡田 佳子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.193-203, 2002-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
5 1

本研究は, 中学生の心理的ストレス・プロセスにおける二次的反応の生起について検討することを目的とした。540名の中学生を対象として, 学校ストレッサー, 一次的反応としての情動反応, 二次的反応と仮定される, 引きこもり, 依存, 対人不信, 自信喪失, 無気力, 絶望, 攻撃の7カテゴリーの反応について調査を行った。二次的反応と仮定された7カテゴリーの反応をとらえるために使用した項目について探索的因子分析を行った結果,「攻撃」,「引きこもり」,「無気力」,「依存」の4因子が得られた。これらが, 学校ストレッサーやそれによって引き起こされた情動反応といかなる関係にあるのかを検討するために, 学校ストレッサーから情動反応を経て,「攻撃」,「引きこもり」,「無気力」,「依存」反応に至るモデルを共分散構造分析によって分析した。結果は「攻撃」,「引きこもり」,「無気力」,「依存」反応は情動反応が高まってはじめて生起する二次的反応であるとする仮説に反しないものであった。また, 同じ二次的反応であっても, その種類によって生起パターンが異なることが分かった。
著者
岡田 佳子 石原 照也
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,光照射で屈折率(吸収)変化する有機非線形媒質バクテリオロドプシン(bR)を利用して,光制御型光スイッチ素子を実現することである.光スイッチの小型化,低動作パワー,高速動作などの点からチャネル型導波路が有利と考え,当初方向性結合器型を提案したが,グレーティング結合器型スイッチ素子の方が将来性があると判断して素子構成を変更した.提案したグレーティング結合器は,電子ビーム露光装置およびドライエッチング装置を用いて石英基板上に作製したスラブ型フォトニック結晶(露光面積1.5mm^2,周期600〜720nm)上に,各種bR混合ポリマー膜をスピンコートしたものである.最適導波路膜厚を求めるためPVAのみをコーティングして透過スペクトルを測定した.膜厚を130〜200nmに制御し,法線方向から白色光を入射させて(-40〜+40度)ポリクロメーターで分光したところ,導波モードあるいはBraggモードの励振による透過強度の損失に対応する鋭いディップが観察され,膜厚180mm付近で最大Q値を示した.さらにPVA溶液にbRを混合してスピンコートした膜,bRを塗布して乾燥させた上にポリスチレンをオーバーコートした膜についてそれぞれ光学測定した結果,複数の新しいディップが出現し,そのQ値は最大1000程度を示した.各ディップエネルギーを波数k_x=ksinθの関数としてプロットした分散関係から,有効屈折率を計算したところ,1.7〜2eV付近ではn^*=1.47,2.4〜2.7eV付近ではn^*=.53となり,これらの値は石英の屈折率やPVAの屈折率に非常に近いことがわかった.これらのサンプルにArイオンレーザー(515nm)を照射してbRの屈折率を変化させ,それに従って導波路に結合するモードすなわちディップの波長を変化させたところ,シフト量は1〜2nmで,He-Neレーザー633nm(半値全幅1.4nm),半導体レーザー682nm(半値全幅2.0nm)のスイッチングは十分可能であることを確認した.このように,入射角度によって複数のディップを同時に選択でき,その波長シフトを光で容易に制御できることから,本研究で提案したフォトニック結晶スラブは,多波長光スイッチング素子として利用できることを示した.