著者
久保 駿介 杉本 大輔 上原 哲太郎 佐々木 良一
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.352-358, 2016-07-06

近年,不正に入手した情報を利用したアカウントの乗っ取りが多発しており,パスワードの設定方法などに関して様々な注意喚起が行われている.しかし,どんなに安全性の高いパスワードを設定しても,パスワード再発行時に脆弱性があると安全性は失われてしまう.ここでパスワード再発行とは,パスワードを忘れた際場合などに新規パスワード作成のため,アカウントの管理先が行う手続きのことを指す.本研究では,パスワード再発行の調査を行い 7 つの方式があることを明確にするとともに,各方式の安全性の評価を行った.その結果, “ページ方式” の安全性が最も低いことを明らかにするとともに,この方式によってメールアカウントを取得し,それを利用し安全性の高い他サイトのアカウントを取得した場合,安全性の高い方式のアカウントの安全性が低くなることを示した.あわせて,それらの問題点を解決する方法の提案を行っている.
著者
今井 瞳 廣井 慧 河口 信夫
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.631-637, 2016-07-06

本研究では,名古屋市交通局から提供されたバスの位置情報データに対して統計解析を行うことにより,バス到着時刻を予測することを目的とする.従来のバス到着時刻予測は,バス停間での所要時間やバスの接近を予測することに着目した研究が多い.また,得られた結果をどのように評価し,利用者に提示するかといったことに着目した研究は少ない.そこで本研究では,バスが 「あと何分でバス停に到着するか」 という具体的な到着時刻の予測とその推定精度を提示できるバス到着予測を目指す.到着予測時刻と同時に,運行データの統計解析結果を用いて誤差範囲を利用者に提示する.到着予測時刻がどの程度の推定精度であるか同時に提示することで,利用者の利便性向上を目的としている.目的のバス停に近づくにつれて,その予測精度が向上することが特徴としてあげられる.
著者
武島 知勲 梶 克彦 廣井 慧 河口 信夫 神山 剛 太田 賢 稲村 浩
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.889-898, 2016-07-06

本研究では意図的に特徴的な磁場を生成する磁場マーカを作成し,環境に設置して歩行者が所持しているスマートフォンのような端末での磁場の計測により位置推定を行う.磁場マーカにより特徴的な磁場を狭い範囲に限定して生成し,磁場マーカからの相対的な距離と角度を推定し詳細な位置推定を行う.提案する磁場マーカは,磁石の回転により特徴的な磁場を発生させ,かつ磁場マーカの磁石の向きとスマートフォンの磁気センサの値が極値を取るタイミングから,マーカとスマートフォン間の相対的な位置を推定する.提案手法は,磁場マーカとスマートフォンの距離を推定する距離推定と,磁場マーカとの相対角度推定の 2 段階で構成される.磁場マーカとスマートフォンとの距離の推定は 2 m 以内ならば最大で 13 cm 以下の平均誤差で推定でき,1.4 m 以内の範囲であれば 4 cm 以内の誤差で推定可能である.磁場マーカから見たスマートフォンの方角の推定は平均誤差が 24 度で標準偏差が 29 度の精度であった.
著者
竹渕 瑛一 梶並 知記 徳弘 一路 速水 治夫
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1840-1847, 2016-07-06

本論文では,ベース音を用いることで,Chroma-Vector 法で得られる音階情報を音程情報に変換することで,和音認識のパターンマッチを簡略化するための手法を提案する.本研究では,和音と倍音の調波構造に着目することで,音程情報をビットフラグと見立て,演奏情報と和音とのパターンマッチングを行った.評価実験では,著者の一人が試作システムとエレキギターを用いてコードを繰り返し弾弦することで実施した.評価実験の結果,完全一致では F 値が 19.1%,部分一致では F 値が 30.8% となったが,実験中の目視によってどのコードが弾弦されたのか理解できる結果となった.従って,提案手法と機械学習の組み合わせで認識率を向上させることが可能と考えられる.今後の課題として,演奏者がうまく弾けない状況やエレキギターの調波構造を考慮することである.先行研究のように音響信号から和音を認識するアプローチから,押弦位置を認識するアプローチで課題を解決できると考えられる.
著者
鈴木 亮太 佐々木 良一
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.375-381, 2016-07-06

近年,標的型攻撃の被害が増加しており,その攻撃手法も多様化してきている.標的型攻撃とは,特定の組織を標的として行われるサイバー攻撃であり,攻撃を受ける件数が少なく,攻撃に気付きにくいため,被害が拡大しやすいという特徴がある.このため標的型攻撃対策では,感染の防止だけではなく,感染時の早期発見や被害の軽減などといった,感染を想定した対策が重要である.本研究では,この感染を想定した対策の際に用いられるフィルタリングに関して,Web 翻訳サービスを利用することでフィルタリングを回避可能な攻撃手法を提案し,調査,対策手法の検討を行う.また,短縮URLサービスや Web アーカイブサービスなどの他のサービスを併用した攻撃手法についても調査を行い,対策手法を検討する.この結果,両方の攻撃に対応可能な技術面,運用面の対策を明確にすることができたので報告する.
著者
梅澤 猛 大澤 範高
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.872-875, 2016-07-06

スマートフォンやタブレットには多くのセンサが標準装備されており,それらを活用して端末周辺の環境情報をセンシングすることができる.周囲の環境情報を元に,自己位置を推定することで,屋内移動の支援に必要な大まかな位置情報を得ることができると考えられる.自律移動ロボットをはじめ,環境センシングにより自己位置推定を行おうとする例は多数あるが,mm ~ cm 単位での細粒度推定を目指すものが多く,粒度を粗くすることによって,高精度な推定手法を比較的手軽に実現できないかを検討したい.現状の携帯端末に標準的に搭載されているセンサについて,それぞれから得られるデータ種別とその特徴に基づいて,自己位置推定に使用する環境情報としての適正を検討する.
著者
森田 健太郎 長田 剛典 佐藤 健哉
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.866-871, 2016-07-06

スマートフォンやタブレットが普及するにつれ,近年では拡張現実 (Augmented Reality : AR) の技術を使用したアプリケーションが増加傾向にある.スマートフォンに付随するカメラを利用した AR アプリケーションや,スマートグラス等のウェアラブルデバイスを用いて AR 技術を活用するものも開発されてきている.主な利用例としては,目的地までのナビゲーションシステム,AR マーカーを利用した観光地や施設の説明,スマートグラスを利用し,ディスプレイに必要な情報を表示させることで,医療現場や工場現場においての作業のサポート等が挙げられる.しかしながら,現在の AR デバイス,特にスマートグラスに関しては情報を表示するものという側面が強く,表示された情報に対しての操作に関しては未だ確立された手法は存在しない.そこで本研究では,指に赤外線 Light Emitting diode (LED) を装着し,これをスマートグラスに装着した Complementary Metal Oxide Semiconductor (CMOS) センサがトラッキングすることで指動作を認識し,スマートグラス上の情報を操作するシステムを実装することで,既存手法における問題点の解決を図る.
著者
草島 将太 角 康之
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.9-17, 2016-07-06

近年では,研究発表会や勉強会の場において,実際に行われている発表や議論の他に,その内容についての議論を行ったり,メモを取り共有するための手段として Twitter が広く利用されている.本研究は,Twitter 上で行われているオンライン議論の活性化や,議論参加者の理解の促進を目的とする.そこで,タイムライン上のツイートや議論内容からキーワードを抽出し,関連する話題を検索して,議論に適したウェブページをツイートの形式で提供する Twitter ボットの開発を行う.本稿では,開発した Twitter ボットを実際の勉強会の場で運用し,適切な話題を提供することができているかと,オンライン議論参加者の Twitter ボットへの反応について報告する.
著者
渡邉 光 村尾 和哉 望月 祐洋 西尾 信彦
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1677-1684, 2016-07-06

加速度センサを用いてユーザの一回きりの動作であるジェスチャを認識する研究が盛んである.既存のジェスチャ認識の研究では認識したいジェスチャの加速度が正確に切り出されることを前提としており,ジェスチャが間隔を空けずに連続して行われている場合や,ジェスチャの前後で関係のない動作が行われている場合は認識精度が低下してしまうという問題点がある.そこで本研究では,加速度データストリームから教師データとの類似度が高い区間である部分シーケンスを検出し,検出した部分シーケンスの中から尤度の高いものをジェスチャ認識の結果として出力することで,ジェスチャが間隔を空けずに連続して行われている場合や,ジェスチャの前後で関係のない動作が行われている場合でも高精度でジェスチャを認識する手法を提案する.5 名の被験者から観測した加速度データに対して提案手法を適用し,右手で記号を描くジェスチャでは F 値の平均値が 0.78,右手で数字を描くジェスチャでは F 値の平均値が 0.79 となった.
著者
磯山 直也 寺田 努 ロペズ ギヨーム
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1769-1775, 2016-07-06

音声を用いた情報提示は,スピーカなどを用いて大衆へとアナウンスしたり,個人ではイヤホンなどの小型デバイスによりハンズフリーで利用したりでき,他の作業への影響が小さいことから,情報提示方式として有効な手段である.しかし騒音などの周辺状況の影響を受けやすく,ユーザが提示情報を聞き取れない場合が多い.単に音量を大きくするだけでは,他の周囲の音声が聞き取れなくなる可能性が高くなり,不必要に大きいことでユーザが不快感を得る.そこで本研究では,音声情報に視覚情報を加えることにより聞き取りやすくなる情報提示手法を提案する.提案手法では,HMD 上に取得したい音声とリップシンクしたアニメーションを見せることで,音声を聞き取りやすくなることを狙う.本稿では,2 種類の視覚情報が与える影響についての実験を行ない,提案手法において聞こえやすくなる被験者が多く見られることを確認した.
著者
諸戸 貴志 濱川 礼
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.322-327, 2016-07-06

日常生活中に出来る運動である階段の利用に対する意欲をゲーミフィケーションを用いて楽しさを感じさせることで向上させ,日常生活内で負担なく運動を行えるようになると考え,効果の検証のためにシステムの開発と評価を行った.近年のヘルスケアブームにより,サイクリングやランニングなどの運動を積極的に行う人が増えてきた.しかし,これらの運動は時間の確保や意欲の維持などが必要となる.本研究では運動のために時間を割くことなく日常生活中において出来る運動として階段の昇降に注目した.階段の昇りは,通常の歩行に比べ約 3 倍の運動量となりジョギング並の運動量になるとされるため,階段を利用することで日常生活に負担なく運動をこなす事ができると考えた.しかし,階段利用による健康意識はあるが行動に結びつかない人や継続して利用出来ない人など多くいると考えられる.本研究では近年多くの分野で注目されているゲーミフィケーションを用いることで階段利用を楽しく感じさせることで意欲の向上が出来ると考えた.ゲーミフィケーションとは楽しませ熱中させるゲームの要素や仕組みを用いてユーザの意欲を向上させ,日常の行動を活性化させようとするものである.ユーザーはカメラ付き HMD を装着し,AR により階段に付与されたゲームの要素の報酬を HMD を介して閲覧する.これにより少しでも楽しく階段利用が出来ると考えた.
著者
薄井 智貴 坂 匠 山本 俊行
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1172-1174, 2016-07-06

センサ技術の高性能 ・ 高精度化に伴い,ウェアラブルデバイスが脚光を浴びている.本研究では,昨年末に販売が開始された眼電位センサを搭載したウェアラブルメガネ 「JINS MEME」 の運転行動把握における利活用を検討しており,本稿においては,まず,本製品の特徴および取得データによる視線方向推定の可能性について検討した結果について述べる.被験者 1 名による簡易計測実験の結果,取得できる水平 ・ 垂直方向の EOG 値を利用することで,誤分類率 8% 程度で,視線方向を把握することができることが示唆された.
著者
池田 悠平 岡田 佳子 堀江 亮太 菅谷 みどり
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.149-161, 2016-07-06

近年,日本では単独世帯の増加や高齢化が進み,セラピーロボットの需要が高まっている.そのようなロボ ットとしてパロが挙げられるが,人が行動を起こすことが前提でありパロの方から行動を起こすことはない.そこ で,本研究では人の行動を前提とせず人の感情を推測できるロボットの実現を最終目的とし,第一段階として,記号 / 感情モデルをもとにした新しい感情の推測手法の提案をする.記号 / 感情モデルとは,客観的に読み取りやすい 「記号」 と,客観的に読み取りづらい 「感情」 とを分ける考え方である.本研究では,「記号」 には表情を,「感情」 に は脳波と脈拍を用いて,どちらが真とする感情の値との誤差を低く推測できるか実験を行った.結果,脳波と脈拍の方が誤差が小さいという結果になった.そこで,より正確さを向上させるため,感情の起伏の度合いとタイミン グを測定,主観評価と比較する実験を行い,より正確に感情を推測できた.そこで,人数を増やして実験を行った ところ,個人によって誤差の大きさが違った.そこで属性のアンケートを取り相関を調べたところ幾つかの属性と誤差の大きさが相関を持つことが示唆された.
著者
池田 翔太 梶 克彦
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.899-904, 2016-07-06

本研究では,目の前にあるビーコンを手などで覆ったり開いたりを繰り返し,管理端末側の受信電波強度の変化から対応するビーコンの識別を行う.近年 Bluetooth Low Energy (BLE) を用いたビーコンが普及してきておりイベントなどで多く用いられている.しかし,ビーコンを複数管理しようとする時,ビー コン 1 つ 1 つを容易に識別するために明確な手段がない.提案手法では,BLE ビーコンを識別するために BLE の受信電波強度の変化を使用する.BLE は出力電波が弱く,BLE ビーコンは手のひらサイズの小型 のものがほとんどである.ビーコンを両手で覆えば容易に BLE の電波を減衰させられる.ビーコン識別 のためにアルゴリズムを検討し,管理アプリを作成した.またビーコン識別実験を行い,複数あるビーコ ンの中から目的のビーコンを 15 秒以内に識別でき,識別の正答率も 100%であった.
著者
上谷 竜士 菱田 隆彰
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.456-460, 2016-07-06

最近では口コミサイトの口コミがユーザの消費行動に影響を及ぼす度合いが強くなっている.口コミサイトに投稿された内容から対象物の印象をより詳細に得るには,対象物に対する全ての口コミを熟読し,客観的な分析を行うことが望ましいが,容易なことではない.我々は,これまでに価格 .com,トリップアドバイザー,食べログを対象サイトとし,登録されている口コミを杉本らによって提案した感情語辞書を元に解析を行い可視化するシステムの構築を行った.しかし,口コミサイトは取り扱う対象物の種類によって,ユーザが投稿する内容に偏りが生じる可能性がある.本稿では,複数の傾向の異なる口コミサイトにおいて本手法による分析によって得られる印象の分布を調査し,各サイトに適した表現方法の考察を行う.
著者
松原 剛 金杉 洋 熊谷 潤 柴崎 亮介
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1550-1555, 2016-07-06

平常時から継続的に人々の流動や分布を把握することは,様々な分野の基盤情報として需要が拡大しつつある.人々の流動を把握する手段として,屋外においては GPS を利用した衛星測位技術が確立しているが,地下や屋内等 GPS が利用できない場所では,様々な屋内測位手法が提案されており,施設ごとに独立して設置されている.人々の流動や分布の変化を屋内施設 ・ 地下空間に渡って捉えるには,少なくとも施設単位の粒度で位置を特定する必要がある.本論文では東京都内の地下鉄駅を対象に,携帯電話網の通信で参照される基地局セル ID と各地下鉄駅の対応表を作成し,地下鉄利用時の利用駅の推定を試みた.