著者
岩井 郁子 松永 真由美 金井 怜 高瀬 貴文 安田 泰明 山田 慎吾 浜田 佳奈 中本 牧子 野上 和剛 長尾 みづほ 藤澤 隆夫
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.477-484, 2022-12-20 (Released:2022-12-20)
参考文献数
9

【目的】学校における食物アレルギー児の適切な管理には学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)(以下,管理指導表)は必須である.問題点を知るために,医師が記載する管理表の実態を調査した.【方法】令和2年度に三重県の小・中学校に提出された全ての管理指導表について,食物アレルギー欄の各項目を集計した.【結果】提出総数は2,387で,食物アレルギー以外(乳糖不耐症等)を除いた2,364を解析した.除去食物の頻度は鶏卵,牛乳・乳製品,果物,甲殻類,ナッツ類の順で,医療機関を調査した既報とは若干の相違があった.除去根拠が2つ以上記載された管理指導表の割合は鶏卵78%,小麦68%,牛乳64%であったが,ソバ30%,肉類15%など低い食品があり,地域差もみられた.給食での除去の原則に反する不完全除去の指示が8.7%にみられた.【結語】根拠に乏しい除去指示など管理指導表記載の問題点が明らかとなった.管理指導表の正しい記載について医師への啓発を進めることが重要と考えられた.
著者
岩井 郁子 佐藤 紀子 豊増 佳子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

看護記録は、保健師助産師看護師法の規定や概念がない。診療報酬の算定要件として看護計画と経過記録が求められ、施設毎に記載内容と様式を決め標準化がなされていない。診療記録開示において看護記録は診療記録に含まれ、また、個人情報として位置づけられた。このような中で、診療記録開示の目的にかなう標準化された看護記録が求められている。本研究では、診療記録開示の目的を踏まえ、アメリカ、イギリスの看護記録の実際と記録指針から、カルテ開示の目的にかなう看護記録モデルの本質を検討し、また、74病院の看護記録の分析と109名の看護記録記載を指導する看護師の指摘から、現状の看護記録をめぐる課題を明らかにした。これらの結果を踏まえて、厚生労働省、関連団体である日本看護協会、日本医療機能評価機構の指針や保健師助産師看護師法、医療法等の法的な記述から看護記録の概念を抽出し、概念モデルを作成した。概念は、看護記録記載の目的と内容を示し、看護記録は、看護者としての倫理・業務上の責務の遂行、質を証明するものと位置づけた。さらに電子カルテ時代、患者を中心に、医療チームメンバーが共同で記載できる標準化された記録として、日本において一般化可能な記録枠組みを選択し、関連団体の指針を活かした構成要素およびその概念から看護記録モデルおよび記載基準を作成した。この基準は全国52の社会保険病院の看護記録記載基準に活かした。基準だけでは、記載内容の標準化は困難である現状から、基準に基づく具体的な記載例を含む看護記録モデルを提示した。このモデルは診療記録開示の目的にかなうしかも記録時間の削減に貢献できる内容をめざした。