著者
菱沼 典子 大久保 暢子 加藤木 真史 佐居 由美 伊東 美奈子 大橋 久美子 蜂ヶ崎 令子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.123-132, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
38

目的: 看護技術研究の成果が実践や教育に活かされているかどうかを検討する目的で, 言い伝えや経験知に基づく看護技術の使用の実態を調査した. 方法: 看護協会等の研修会に参加した看護実践家と看護教員計476人を対象に, 研究により①確立されている技術, ②確立には至っていない技術, ③疑問が呈されている技術・手技について, 自記式質問紙調査を行った. 結果: 458部を回収 (回収率96.2%)し, 有効回答は374部 (有効回答率81.7%) であった. ①の例では点滴漏れへの対処に適切な冷罨法の実施は21.4%であった. ②では採血時に親指を中にして手を握ることを90.1%が実施していた. ③では浣腸前の摘便を27.5%が実施していた. 考察: 確立している技術が使われず, 確立途中の技術は使われ, 疑問を呈されている技術も使われている実態は, 研究成果と実践や教育に隔たりがあることを示している. 研究成果の活用には容易なアクセスと共有が課題であると考察した.
著者
佐居 由美 松谷 美和子 山崎 好美 中山 久子 大久保 暢子 石本 亜希子 三森 寧子 多田 敦子 印東 桂子 瀬戸山 陽子 村松 純子 小山 敦子 岩辺 京子 森 明子 有森 直子 今井 敏子 原 瑞恵 菱沼 典子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.116-124, 2007-06

本稿は,聖路加看護大学21世紀COEプログラムの一環である『第7回COE国際駅伝シンポジウム『子どもと学ぼう,からだのしくみ』の概要を記述し,その運営実施過程を分析評価することにより,People-centered Careの構成要素について考察することを目的とする。第7回駅伝シンポジウムは,5歳児がからだを学べる方法を提示し一般市民と有意義な意見交換を行うことを目的とし,5歳児と両親,保育士や幼稚園教諭,看護師・養護教諭など5歳児にかかわる専門家を対象として開催された。シンポジウムの企画運営は市民との協働で行われた。シンポジウムは,(1)子どもが「からだを学ぶ」ための教材としてのテーマソング「からだフ・シ・ギ」の歌と踊り,(2)人間の消化機能を解説した紙芝居「リンゴがウンチになるまで」の上演,(3)子どもとからだのしくみを学ぶことについてのシンポジウム「子どもと学ぼう,からだのしくみ」から構成された。プログラムは,1プログラム20分以内とし,紙芝居・歌・踊りなどを取り入れ,子どもが飽きない工夫を行った。シンポジウムの運営実施における市民との協働過程においては,これまでのCOE活動から得られたPeople-centered Careの要素〔役立つ健康情報の生成〕〔異なる視線でのつながり〕等が確認され,「コミュニティに潜伏しているニードを湧きあがらせ(互いに確認し)顕在化させ,活動を専門家との協働へと移行し発展させる」過程を経験し,新たに〔互いに確認する過程〕という要素を見いだした。また,駅伝シンポジウムにおいて,当初,模索されていた市民との協働(2004年)が,湧きあがったコミュニティとの協働(2005年)へと視点を移し,さらに,協働が進行しているコミュニティと専門家が活動のさらなる展開を共に模索するシンポジウム(2006年)へと,市民との協働のプロセスが発展していることが確認された。コミュニティとのさらなる協働のあり様,「5歳児がからだを学べる方法」の具体的評価方法,などが,今後の課題として再確認された。
著者
佐居 由美
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護大学紀要 (ISSN:02892863)
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-9, 2004-03
被引用文献数
1

看護において,「安楽」という用語は「安全」と共に看護の目的とされ,実践場面においても看護目標としても多用されている言葉である。だが,「安楽」という用語は抽象的であり,研究者は看護者によってその意味するところが異なるという体験がしばしばあった。そこで,本研究においては,看護領域において用いられている「安楽」という用語を,実践場面で使用されている側面から検討し,その意味するところを明らかにすることとした。このことは,看護識者が「安楽」なケアの提供を意識化し,概念化する手がかりとなる。本研究の対象は,内科系外科系病棟看護師29名であり,質問紙を用いた半構成的面接法を行った。分析の視点は,Rodgersによる概念分析の方法に準拠し,『定義(Definition),先行するもの(Antecedents),帰結(Consequences),代替となる用語(Alternative Terms),関連する概念(Related Concept)』の5つの枠組を採用した。半構成的面接法によって得られた記述データを,Rodgersの5つの枠組毎に分析して,内容を抽出(原データ)し,その内容を要約した題目をつけ(コーディング1),更にそれらを類型化(コーディング2)した。その結果,29名の看護師から,29通りの「安楽」の定義が示された。「安楽」に"先行するもの"は,患者に関するものとして「苦痛」「不快」「不安]「環境」等が,看護師に関するものとして「安全」「看護技術」等が抽出された。「安楽」の"帰結"としては、「患者の満足」「自然治権力を高める」などが抽出された。"「安楽」の意味するもの"を, "「安楽」に先行するもの"を用いて,構造化した。看護師が患者により安楽なケアを提供するには,この構造図の要素を充実・強化する必要があることが示唆され,看護実践場面における「安楽」という用語の意味は,この構造図の範囲内において説明でき,連想されることが示された。
著者
横山 美樹 小澤 道子 香春 知永 大久保 暢子 佐居 由美
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護大学紀要 (ISSN:02892863)
巻号頁・発行日
no.29, pp.40-46, 2003-03
被引用文献数
1

本学では現在,2年次に看護における基礎技術であるフィジカルアセスメント技術,基礎看護援助技術に開しての科目を開講し,2年終了時に5日間の基礎実習(臨地実習)を行っている。技術に関しては,実施・経験の有無が習得に大きく関係するため,今回学生が初めての基礎実習で既習のフィジカルアセスメント技術,看護援助技術をどの程度実施しているのか,また自己評価をどのように行っているのかの実態調査を行った。167名に調査を依頼し139名から回答を得た。その結果,以下のことが明らかになった。1.フィジカルアセスメント技術に関して:バイタルサインは全員が行っており,自己評価も高かった。その他の項目では,胸部・肺の視診,聴診,腹部のアセスメントが多く行われていた。自己評価は全体に3以上と高かったが,心臓のアセスメント,筋骨格系,神経系のアセスメントで低い傾向であった。2.看護援助技術に関して:環境整備,ベッドメーキングは全員が実施していた。その他寝衣交換,陰部洗浄,移動,オムツ交換,全身清拭,体位変換等日常生活援助の項目の実施率が多かった。逆に処置系の項目は実施率が少なかった。自己評価に関しては,どの項目も平均3以上と高かったが,清潔の援助,排泄の援助,体位変換,移動等が低い傾向であった。今回の結果より,できるだけ学生が自分の技術に対して客観的な自己評価を行えるような教員側のフィードバック,また限られた臨床実習期間で基礎看護援助技術をより実施・体験できるような工夫が必要だと考える。
著者
菱沼 典子 大久保 暢子 佐居 由美 加藤木 真史 伊東 美奈子 大橋 久美子
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、看護技術の構成要素を科学性と病者-看護職の人間関係の両側面から、定義する目的で、看護技術の実態調査や文献検討、人間関係と看護技術に関する質問紙調査と面接調査を行った。その結果、看護技術は①目的、②方法、③安全性、④生体反応、⑤生理学的理論背景、⑥効果を得る確率と有効性から構成され、これらの根拠が示される必要があると結論付けられた。病者-看護職の人間関係は看護技術のパフォーマンスと病者・看護職両者の効果に影響し、看護実践の要素であることがわかった。
著者
中山 和弘 有森 直子 小松 浩子 藤井 徹也 高山 智子 石川 ひろの 佐居 由美 的場 智子 宇城 令 戸ヶ里 泰典
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

Webの情報に翻弄されず、むしろその情報をより活用できるために、患者・家族・国民のヘルスリテラシーの向上を支援するWebサイト(『健康を決める力』(http://www.healthliteracy.jp/)を作成・公開・評価した。コンテンツは次の6つの内容でできている。1.健康のためには情報に基づく意思決定を、2.「信頼できる情報」とは何か、3.知りたい情報はインターネットで、4.コミュニケーションと意思決定、5.健康を決めるのは専門家から市民へ、6.健康を決めるために市民が出来ること、である。
著者
長松 康子 佐居 由美 今井 桂子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

中皮腫患者が急増し、国民の石綿に対する不安が高まっていたが、保健師向けの石綿関連相談ガイドラインが無かった。そこで、保健師向けの石綿関連相談ガイドラインの構築を目的として研究を開始した。まず、石綿関連NPOの石綿関連相談記録344件の内容を分析したところ、子どもを含む曝露不安、職業などからすでに曝露した人からの発症不安、関連疾患を発症した患者からの相談及び遺族からの相談に分類できた。相談内容に対して回答を行うには、医療のみならず、建築、法律、心理などの専門的知識が必要と考えられた。とくに、学校や工事現場などの環境曝露への不安に関する相談が多かったことから、子どもと保護者向けの石綿情報サイトを開設した。さらに全国の保健所の石綿関連相談事業についての調査を行った結果、前年度の相談件数は、平均5.3件で、担当者数は平均3.0人で看護師を配する保健所が7割を超えた。担当者で研修を受けたものは14%のみで、マニュアルを全く使用しない者が35.4%に上った。相談担当者の7割以上が該当業務について自信が無いと回答した。その理由として多かったのは、相談件数が減って知識が蓄積されない、相談内容が多岐にわたるなどであった。保健所の石綿関連健康相談担当者の自信度が低く、マニュアルがあまり使用されていないことから担当者のニーズにあったガイドライン作成が必要と考えられた。しかし、研究途中で他の研究者によって優れたガイドラインが開発されたので、保健所職員がもっとも相談対応が困難であると回答した患者の不安について研究目的を変更した。胸膜中皮腫患者14名を対象にインタビュー調査を行ったところ、患者は様々な困難を体験していた。困難は、進行の速い難知性疾患であること、希少疾患であること、石綿被害によって起こることという、中皮腫の特性に起因していた。このような複雑な困難が、次々と起こり、病気の進行が速いため、一つの困難が解決する前に新たな困難が発生して、困難の重層化が起こっていた。また、患者は医療従事者が経験と知識が不足しており、十分なケアを受けていないと感じていた。