- 著者
-
和田 信哉
中川 裕之
岩田 耕司
- 出版者
- 日本教科教育学会
- 雑誌
- 日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.3, pp.69-80, 2017 (Released:2020-01-26)
- 参考文献数
- 21
本稿は,算術から代数への移行に関し,「初期の代数」の観点から算数へアプローチする研究の一環として,小学校第3学年「□を使った式」の授業構成について実証的に検討するものである。具体的には,児童の□の意味,式の見方,演算の相互関係の認識それぞれの変容を分析し,そこで現れる代数的推論を同定し,それらの変容とのかかわりを明らかにすることを目的とした。その結果,本授業構成では,一般的な指導とは異なり□を一般数として導入することで,児童たちは自然と□を使っていた。また,□の意味や式の見方,演算の相互関係の認識が相互作用的に変容して高まる姿がみられた。そしてその高まりには,代数的推論が密接にかかわっていることを示した。