著者
北島 英樹 武田 篤 KITAJIMA Hideki TAKEDA Atsushi
出版者
秋田大学教育文化学部総合教育実践センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.29, pp.35-44, 2007-05-01

自閉症では,他者の指示に従い,与えられた課題をこなすことができるが,自らの要求や判断を介在させた生活を送るのが難しいことが指摘されてきている.したがって,自閉症の教育では,早くから主体性の確立に向けた支援を行っていくことが求められている.今回,この取り組みのひとつとして,ことばのない自閉症の児童に,VOCA(Voice Output Communication Aid : 音声出力型コミュニケーション装置)を活用することによって,自己の要求を積極的に伝えられるようになる支援を試みた.その結果, VOCAの使用によって,自分の要求を相手に伝えられるようになっただけでなく,集会の司会進行を努められるようになるなど,それまで苦手としていた集団での学習にも意欲的に取り組むようになった.本研究では,1年半にわたる学校と家庭でのVOCA指導の経過について報告するとともに,その有効性について検討する.
著者
前島 英樹 齊藤 典充 天羽 康之 新山 史朗 向野 哲 勝岡 憲生
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.122, no.7, pp.1757-1763, 2012-06-20 (Released:2014-11-13)

当科で治療した円形脱毛症383例(男性152例,女性231例)を対象に臨床所見,治療と予後につき検討した.初診時,易抜毛性がみられた症例は236例で,アトピー性素因を有する症例は142例であった.初診時の病型は,単発型34例,少数型60例,多数型146例,びまん型52例,全頭型15例,汎発型61例,蛇行型12例であった.治療は,SADBE外用塗布施行138例,ケナコルト局所注射施行126例,冷凍凝固施行126例であった.予後を略治(治癒後6カ月後再発なし),再発,離脱,治療中に分けて検討したところ,略治例は全体の23%であった.単発型では40%以上が略治したが,その他の病型では20%以下にすぎなかった.治療法では,ステロイド剤の内服とPUVA療法の組み合わせ療法で“易抜毛性あり”の症例が“易抜毛性なし”の症例より有意に略治率が高い.アトピー素因のある患者では,ステロイド剤の内服は有効であるが再発率が高い傾向があった.
著者
山崎 章市 猪口 和隆 斎藤 義広 森島 英樹 谷口 尚郷
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.281-286, 1999-03-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
11

The HMD optical system composed of "Free-Form-Surface prism (FFS prism)" was presented by Canon Inc. in 1995 [1-3]. This HMD is suitable for compact HMD. We have developed a new see-through 3D HMD with high resolution, wide field of view (FOV) by improving this FFS prism technique. The new HMD with 51degrees horizontal FOV and large viewing eyebox shows clear full color image (VGA) with 920,000 pixels. In spite of the wide FOV, the thickness of this new FFS prism is very thin, 17.9mm. In this paper, we report this new HMD and "the AR^2hockey system" as an example of this HMD application.
著者
飯島 英樹 清野 宏
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.205-214, 2021 (Released:2021-10-29)
参考文献数
77

消化管の内部には,多数の細菌,真菌などの微生物が生体と共生し,生体の機能に重要な役割を果たしている.消化管内の腸内細菌は,直接的に,あるいは代謝物を介して生体の構成細胞に影響を与え,免疫系の発達と機能をサポートする.消化管管腔内のみならず,小腸パイエル板などの粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue: MALT)内にも細菌が共生しており,生体の機能に影響を与える.食事成分も,腸内細菌叢の構成に影響を与え,生体の消化管粘膜バリアに始まり粘膜免疫系だけではなく全身系の免疫学的状態にも影響を及ぼす.共生微生物,生体の免疫系,食事により摂取された成分は相互に関係することにより生体機能に影響し,さまざまな疾患病態にも関連している.特に,分子に付加される糖鎖や細菌から産生される短鎖脂肪酸などの代謝物が免疫シグナルをはじめとする細胞―微生物間のメディエーターとして働くとともに,腸管に共生する微生物叢の構成に影響を与え,生体機能の制御に大きな役割を与えている.
著者
北島 英樹 武田 篤
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.75-87, 2009-05-30

近年,AAC(AugmentativeandAlternativeCommunication)が注目されるようになり,自閉症児に様々なAAC手段を活用したコミュニケーション指導が行われるようになってきたそこで本研究では,特別支援学校の教員を対象に,自閉症児のコミュニケーション能力を高めるために,どのようなAAC手段を活用しているか,また,指導にあたる教員のAACに関する意識について調査をすることとした.結果は以下の通りである.1)自閉症児へのコミュニケーション指導は,小学部・中学部・高等部のいずれの学部でも,特定の時間を設けて指導するよりは学習全般をとおして行っていた.2)教員が有効と思うAAC手段としては,絵や写真カードは多かったが,マカトンサインやVOCAは少なかった.有効と思うこれらのAAC手段について,学部の問に差を認めなかった.3)自閉症の教育を推進する特別支援学校では,他の学校に比べ,教員のAACに関する知識や理解も高く,積極的な活用が行われていた.これらの結果をもとに,AACを活用した自閉症児へのコミュニケーシヨン指導のあり方と課題について検討した。"In recent years , the Augmentative and Alternative Communication(AAC) technique is drawing increasing interest , and various communications training programs applying this technique are gradually being carried out for autistic children. In this study , a survey was conducted on special support schools teachers to investigate the AAC methods applied to enhance communication skills in autistic children , and the views of teachers on AAC. The following are the results.l)In elementary , junior high , and high school , communication training for autistic children is generally carried out in all classrooms , instead of setting aside a special class for such training.2)ACC methods which teachers consider effective mostly use drawings , photos , and character cards. Not many gave Makaton sign and Voice output communication aid as effective . No significant differences were found between the different grades regarding the ACC methods which the teachers consider useful.3)Compared to other schools , teachers at special support schools which promote education for autistic children have better knowledge and understanding of AAC , and carry out AAC related activities keenly.Based on these results , the ideal methods of teaching communication skills to autistic children using AAC and the tasks involved were reviewed."
著者
原 猛也 山田 裕 青山 善一 杉島 英樹 藤澤 俊郎
出版者
日本付着生物学会
雑誌
Sessile Organisms (ISSN:13424181)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.35-45, 2005-08-28 (Released:2009-10-09)
参考文献数
21
被引用文献数
1

全国の沿岸を北方、中部、南部の3海域に分け、それぞれの海域ごとに1カ所の代表発電所を選定し、取水口、放水口において採集した標本を比較するなどの方法により発電所の冷却水路に取り込まれた動・植物プランクトン、魚卵、稚仔魚に対する取放水系通過の影響を調査した。その結果、1. 植物プランクトンの死亡率は、塩素注入時に大きく約30%であった。2. 動物プランクトンの死亡率は、わずか数%であった。3. 動・植物プランクトンの減耗量は、水路長が長ければ大きく、水温が高ければ大きいが、海域、発電所の構造などによって減耗量の程度は異なる。4. この減耗の主要因は付着生物による捕食と考えられた。この影響は、水路内で受ける他の要因 (機械的、化学的、昇温) による影響に比べ大きい。5. 水路通過時に何らかの影響を受けた動・植物プランクトンは、放水口から放流された後は、速やかに周辺の群と混合して、活性度、生残率、細胞密度、個体数密度は回復した。6. 動・植物プランクトンへの水路通過影響が検出される範囲は、放水口近傍の温排水内に限られた。7. 魚卵、稚仔魚が受ける水路通過による影響は、従来、動・植物プランクトンより大きく、100%死亡するものとして扱われてきたが、放水口から放出されたときの生存率は少なくても30%以上であると推定された。