著者
西念 幸江 小澤 啓子 生方 恵梨子 峯木 真知子 野口 玉雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成21年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.2048, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】無毒化されたトラフグの肝臓(フグ肝)について,食料資源としての可能性および価値を検討してきた.ゆでたフグ肝を用いた官能検査では,その色,匂い,脂っぽさの点から,高い評価は得られなかった.そこで,料理を調製して,官能評価および組織観察より食味特性を調べた. 【方法】フグ肝は,佐賀県唐津市呼子にある(株)萬坊で室内水槽(100t)により,養殖されているトラフグ2年魚から腑分けされたものを試料とした(2009年1月).このフグ肝は食品衛生検査指針・理化学編中のフグ毒検査法に準じて,フグ毒を抽出し,マウス毒性試験を行い,毒性がすべて認められなかったことを確認した.その後,-50℃で冷凍保存し、使用時に流水で解凍し,血抜後,酒水,長葱および生姜の中に浸漬した(5℃、3時間)後、6種の調理法による料理を調製した(刺身、味噌汁、蒸し物、西京焼き、照り焼き、天ぷら). フグ肝の調理による重量変化を求めた。フグ肝の下処理については,円卓法による官能評価で検討した.各料理は,5段階評点識別試験と嗜好試験(1-5点)を行った.調理されたフグ肝の試料は卓上型電子顕微鏡(TM-1000,(株)日立ハイテクノロジーズ)で観察した. 【結果】重量減少率は、味噌汁および蒸し物で大きかった。フグ肝料理の分析型官能評価では, 匂いの強さが平均2.5点でやや弱く,香りのよさは平均3.8点でややよく、油っぽさについては,2.5-4.0点の範囲であった。嗜好型官能評価では,いずれの料理も,「料理としての好ましさ」の評点が3.5以上で高かった.組織観察では、調理法による脂肪の違いが観察された。
著者
設樂 弘之 島村 綾 田中 亮治 有満 和人 峯木 真知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.32, 2016 (Released:2016-08-28)
被引用文献数
1

【目的】食品、特に生鮮食品と呼ばれる領域の食品に関しては、その鮮度と風味には密接に関係がある。野菜や魚など鮮度が良いとおいしいといわれている一方、肉などのようにすこし貯蔵したほうがおいしくなるといわれている。その原因についても多くが研究されている。卵は長期保存がきくことが知られている一方で、生みたてがおいしいといわれているが、その科学的根拠となる研究例は少ない。そこで保存した卵と生みたてのもので風味に違いを明らかにすることを目的とした。 【方法】タカハシ養鶏場 深谷農場6号舎で養育されたハイライン種マリア(日齢292日)が産卵した卵を5℃で16日保存した。同じ鶏舎のもの(日齢305日)で3日保管した卵と比較した。基礎項目として卵重、HU、卵黄の色、卵白のpHおよびタンパク質量、卵黄のpH、水分、脂質量、およびタンパク質量を測定した。風味の違いを知るために、卵かけご飯、茹で卵、だし巻卵、カスタードプリンを作成し、風味試験に供した。パネルは、東京家政大学栄養学科管理栄養士専攻4年生と大学院生の計25名で行った。 【結果】たまごかけご飯、および、だし巻き卵に関して、新鮮卵のほうが好ましいという傾向にあったが、有意な差はなかった。プリンについては有意に新鮮卵を使ったほうが好ましいという結果になった(p<.05)。2つのプリンには硬さに違いがあり、新鮮卵のプリンのほうが軟らかく口どけが良いことから好まれたと思われる。新鮮卵と保存卵のプリンでは固さに差は、タンパク質量、pHに差があったことが、影響した可能性がある。これらの結果から、野菜や魚と比較すると、卵は保管中の変化が少なく、おいしさにもあまり差はないことがわかった。
著者
峯木 真知子 棚橋 伸子
出版者
東京医療保健大学
雑誌
東京医療保健大学紀要
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.9-18, 2006-09-30
被引用文献数
2

ダチョウ卵の熱凝固性を調べるために、65℃より卵白および卵黄を加熱し、外観の観察、色、テクスチャー、DSC分析および組織観察より検討した。1)ダチョウ卵の卵白では、熱凝固温度が85℃付近でニワトリ卵より高く、ダチョウ卵の卵黄では、ニワトリ卵と大差が無いことがわかった。全卵および卵白で用いる場合にこの熱凝固温度が高いことは調理品の品質に大きく影響する。調理に際しては、加熱温度を上げる、加熱時間を長くする必要がある。2)ダチョウ卵で作ったプリン(卵1 : 牛乳2)は、同配合のニワトリ卵で作ったプリンより、非常にやわらかかったが、官能検査では、やわらかな舌触りが好まれ、良好な成績であった。以上、ダチョウ卵では、凝固温度が高いこと、その製品のテクスチャーもニワトリ卵と異なることより、全卵および卵白を使用した調理品の配合あるいは調理法に工夫の必要がある可能性が示唆された。
著者
峯木 真知子 小林 正彦
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.53-57, 2000-02-20

卵黄球の大きさは卵黄の部位や鶏卵の品種の違いによって異なる(峯木と小林,1997 ; 峯木,1999)。卵黄球の大きさと卵の大きさの関係を調べた。また,卵黄一個中にどのくらいの数の卵黄球が包み込まれているのかを検討した。大きさの異なる市販卵を用い,重量を量り加熱した。加熱した卵黄の外層部,中層部,内層部に存在する卵黄球の横断面積,最大幅,最大長を画像処理技術で測定した。卵黄球の横断面積は,3.20×10^3〜9,88×10^3μm^2で最大幅は60〜99μ,最大長は71〜124μであった。外層部の卵黄球は中層部より小さく,内層部は中層部より大きかった。卵黄球の大きさは全卵の重量および卵黄の重量と正の相関があった。1個の卵黄に含まれている卵黄球の数を,卵黄と卵黄球の体積から計算した。その結果,卵の大小にかかわらず,卵黄球,の数は約1.8×10^7個であった。小さい卵には小さい卵黄球が,大きい卵には大きい卵黄球が存在した。
著者
峯木 真知子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.335-341, 1997-11-20
被引用文献数
4

鶏卵卵黄の加熱による組織構造の変化を観察した。1)加熱した卵黄球は,新鮮生卵黄と同様に多面体で緊密充填を示し,その形状は外層部はまるみを帯び,内層部は細長かった。卵黄球の間隙は生卵黄に比べて狭く,卵黄球の基質は小胞化し,レース状を呈していた。加熱により,卵黄球の基質に存在する蛋白性小顆粒の中には,融合したものや内部に電子密度の低い部分が斑点状に生じているものが出現した。2)半熟卵黄では,外層部は全熟卵と同様に多面体が緊密充填した卵黄球がみられたが,中層及び内層部の卵黄球の境界は消失し,多面形構造は不分明であった。蛋白性小顆粒は,新鮮卵であっても偏在し,融合過程を示すものもあった。また,卵黄球の基質の小胞化は,外層部では全熟卵と同様にレース状を示したが,中層部では部分的に小胞が散在する程度であった。3)貯蔵した鶏卵の全熟卵黄では,卵黄球の基質の小胞化は明瞭で,蛋白性小顆粒は融合しているものが新鮮全熟卵に比べて多く,その分布には偏りがみられた。また,卵黄球の間隙に電子密度の低い物質が集塊の状態で存在するのが観察された。
著者
西念 幸江 小澤 啓子 峯木 真知子 野口 玉雄
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2-2, pp.115-124, 2009-10-15 (Released:2012-12-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

The value of non-toxic liver of pufferfish as a food ingredient was evaluated to identify its practical uses. Dishes containing pufferfish liver were prepared using different cooking methods, and the taste was evaluated in sensory tests and their microstructure was observed.1) The weight ratio of the pufferfish liver in cooked dishes after cooking was about 60% for miso soup and steamed dishes, about 68% for saikyoyaki and teriyaki, and about 77% for tempura.2) In analytic sensory tests, no significant differences were seen between dishes in all test items. The mean value of “smell” scores was slightly low, at 2.5 points, while “greasiness” scores ranged from 2.5 to 4.0 points. For both items, steamed dishes had low scores.3) In preference sensory tests, the score for “favorite as a dish” was high for all dishes, particularly for “steamed dishes”. For “favorite taste”, sashimi, miso soup, steamed dishes, and tempura had high scores of ≥4.0 points on a 5-point scale. There were no significant differences in scores among the cooking methods.4) The scanning microscopic observation in each dish revealed the differences in fat distribution among the cooking methods.5) The results of sensory tests showed that all recipes used in the present study are suitable. Identifying uses of non-toxic pufferfish liver in Western dishes is an area for future research.
著者
峯木 真知子 大貫 和恵 澤崎 絵美 小澤 啓子 西念 幸江 五百藏 良 野口 玉雄
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1-2, pp.23-30, 2009-04-27 (Released:2012-12-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

The livers of non-toxic puffer fish cultured at aquaria on land in Saga Prefecture from 2006 to 2007 were submitted to physicochemical analyses consisting of its proximate component, fatty acids, texture, microscopic observation, and a sensory test. The livers of non-toxic pufferfish (n=5) contained a high content (65.1%) of crude lipid, 27.8% moisture, and 3.8% crude protein. Furmore, the livers contained a high volume of n-3 unsaturated essential and functional fatty acids (11.6% of docosahexaenoic acid, 4.0% of icosapentaenoic acid, and 9.3% of α-linolenic acid).   In addition, they contained a high content (8698 μgRE/100g) of retinol (vitamin A). Since the pufferfish liver was shown to be nutritional and functional, it is a promising dietary supplement. By heating, the weight of the pufferfish liver was reduced to 20% of the weight of raw liver, and its rupture stress was a low value (1/6 of that of raw liver) . We expect that non-toxic pufferfish liver will be used as a new healthy food with nutritional ingredients.
著者
峯木 真知子 棚橋 伸子 安田 翔
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.15, pp.51, 2003

〔目的〕新食料資源として期待されるダチョウ卵を用いて、前報では起泡性を利用したスポンジケーキを調製し、バター添加によって好成績が得られた。本研究では、ダチョウ卵の卵白量の大きいこととその付着性に注目し、バターの多いフィナンシェを調製し、そのテクスチャー、色などを調べ、官能検査を行ってその適否を調べた。〔方法〕ダチョウ卵は茨城県産42ヶ月齢_から_48ヶ月齢、アフリカンブラック種無精卵(1396.2±213.0g)を用い、対照は白色レグホーン種鶏の市販卵とした。試料は予備実験の結果から、無塩バター(よつ葉乳業製)35g、各卵白70g、上白糖(新三井製糖)60g、薄力小麦粉(日清フーズ)25g、アーモンドプードル(ギャバン朝岡)25gを用いた。バッター各40gを180℃、10分で焼成した。バッターの比重、焼成後のフィナンシェの色(日本電色、ZE2000)、体積、重量、膨化率、水分含有率(赤外線水分計、ケット600)、テクスチャー及び官能検査を行った。組織試料はフィナンシェの中央部を5mm角に切り出し、2.5%グルタルアルデヒド溶液、1%オスミウム酸で固定し走査型電子顕微鏡で観察した。〔結果〕ダチョウ卵卵白を用いたフィナンシェは、バッター比重1.13で、焼成後重量及び重量変化率(87%)は鶏卵を用いたフィナンシェと大差がなかったが、体積及び膨化率(160%)、水分含有率は鶏卵製品より低い傾向を示した。ダチョウ卵で作ったフィナンシェのテクスチャーは、かたさ応力、凝集性で鶏卵を用いたものより低値を示した。製品の色では両者で「感知せられるほどの」違いがあった。16人のパネルによる嗜好型官能検査では、きめの細かさを除いて、いずれもダチョウ卵を用いたフィナンシェが良い成績を示した。
著者
設樂 弘之 島村 綾 田中 亮治 有満 和人 峯木 真知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】食品、特に生鮮食品と呼ばれる領域の食品に関しては、その鮮度と風味には密接に関係がある。野菜や魚など鮮度が良いとおいしいといわれている一方、肉などのようにすこし貯蔵したほうがおいしくなるといわれている。その原因についても多くが研究されている。卵は長期保存がきくことが知られている一方で、生みたてがおいしいといわれているが、その科学的根拠となる研究例は少ない。そこで保存した卵と生みたてのもので風味に違いを明らかにすることを目的とした。 <br> 【方法】タカハシ養鶏場 深谷農場6号舎で養育されたハイライン種マリア(日齢292日)が産卵した卵を5℃で16日保存した。同じ鶏舎のもの(日齢305日)で3日保管した卵と比較した。基礎項目として卵重、HU、卵黄の色、卵白のpHおよびタンパク質量、卵黄のpH、水分、脂質量、およびタンパク質量を測定した。風味の違いを知るために、卵かけご飯、茹で卵、だし巻卵、カスタードプリンを作成し、風味試験に供した。パネルは、東京家政大学栄養学科管理栄養士専攻4年生と大学院生の計25名で行った。<br> 【結果】たまごかけご飯、および、だし巻き卵に関して、新鮮卵のほうが好ましいという傾向にあったが、有意な差はなかった。プリンについては有意に新鮮卵を使ったほうが好ましいという結果になった(p<.05)。2つのプリンには硬さに違いがあり、新鮮卵のプリンのほうが軟らかく口どけが良いことから好まれたと思われる。新鮮卵と保存卵のプリンでは固さに差は、タンパク質量、pHに差があったことが、影響した可能性がある。これらの結果から、野菜や魚と比較すると、卵は保管中の変化が少なく、おいしさにもあまり差はないことがわかった。
著者
諏佐 大志 露木 野乃果 齊藤 清香 峯木 真知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.90, 2011

目的A高校に所属する野球部およびバスケットボール部(以下バスケ部)生徒に、大豆ペプチドゼリー飲料1~2本(大豆ペプチド4gまたは8g)を摂取させ、その摂取および量の違いによる影響を、身体・体力測定、およびPOMSアンケート調査から検討した。摂取期間は平成22年6月19日~8月4日の45日間とした。方法A高校野球部 (24名)およびバスケットボール部 (17名)生徒計41名を対象とした。摂取した大豆ペプチドゼリー飲料は1袋180g、エネルギー124kcal、たんぱく質4gのものを使用した。この飲料を1本摂取した群をA群、2本摂取した群をB群とし、A群は練習後、B群は練習前後に毎日、45日間摂取させた。対象者からインフォームドコンセンサスを得、食事調査を行った。また、摂取前・後に身長・体重・部位別体脂肪率・除脂肪体重率、50m走・握力・打球スピード・垂直跳び、POMSアンケート調査を行った。結果・考察摂取後の身体測定では、摂取前より身長0.45cm伸び、体重0.98kg減り(p<0.01)、体脂肪率は1.86%減った(p<0.01)。摂取前後の体脂肪率の変化は、A群では88.17%、B群では85.49%、除脂肪体重率の変化はA群102.27%、B群102.12%であった。摂取後の体力測定結果をみると、野球部で打球スピード(前後差A群6.30km/h、B群3.38km/h)で、バスケ部で垂直跳び(前後差B群3.88cm)で成績が有意に向上した。50m走はいずれの部でも速くなる傾向を示した。群間における効果では身体・体力測定、POMSアンケートの結果に有意差はみられなかった。このことからペプチド摂取は4g以上で、身体・体力測定に効果がある可能性が示唆された。
著者
石川 由花 市川 智美 内山 けい子 熊谷 美智世 工藤 裕子 小西 雅子 峯木 真知子 茂木 美智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.81, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】近年、料理は食味、エネルギーともに軽いものが好まれる傾向にある。料理店格付けで高い評価を得ている天ぷら専門店の食味の軽さは、衣調製方法と加熱温度管理が主因であろうとの仮説で検討を行った。天ぷらの技術情報は、教育機関のテキスト、一般料理書、メディア情報を含め記述幅に大きな差はないが、衣調製方法や加熱温度管理の細部情報はない。本報告では、特に衣の配合、卵水の攪拌方法、衣付着方法、加熱温度について、熟練者(職人)と非熟練者(一般情報を得てきた人)を比較解析し、好ましい食味の天ぷらを再現性高く作ることができる調理技術情報としたい。 【方法】工程解析は、熟練者として「てんぷら近藤」店主 近藤文夫氏と、非熟練者3名の計4名から得た。材料、揚げ油、油量、鍋の材質と形状は熟練者の方法に統一した。調理工程及び所要時間、加熱中の油温度の変化、加熱開始から引き上げ後の揚げ種内部の温度変化を測定した。天ぷら試料のテクスチャー特性・重量変化率・衣試料の吸油量を測定、食味判定はプロファイル法により官能評価を行い、衣の性状は組織観察を行った。 【結果】熟練者の衣は(水+卵):薄力粉が容積比換算で(10+1):11の配合であった。卵水の卵の割合が低く、攪拌方法に特徴があり、また衣付着前に揚げ種に薄力粉をまぶした。熟練者は天ぷら試料投入による低下を加味して、油温をほぼ一定に保持する火力調節を行った。非熟練者は油温低下による火力調節の結果、油温の変動幅が大きかった。熟練者の加熱時間には、繰り越し余熱を計算にいれた終点決定がみられた。以上、熟練者の技術解析から、組織観察、官能評価も総合し、天ぷら技術の要点情報が示唆された。
著者
峯木 真知子 棚橋 伸子 渡邊 康一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.74, 2003

<b>「目的」</b>生クリームと卵黄を用いた「なめらか」・「とろける」プリンが高級化嗜好に伴い、好まれている。市販品6種のテクスチャーおよび組織構造の一部については、既に報告した<sup>1,2)</sup>。そこで、生クリームを用いたプリンを調製し、プリンにおける組織観察および物性測定を行い、生クリームの影響を検討する。<b>「方法」</b>プリンは、鶏卵および割卵して取り出した卵黄と、牛乳(全農協、成分無調整牛乳)・動物生クリーム(スジャータ純乳40)・植物生クリーム(スジャータホイップ、脂肪分45%)、上白糖で調製した。卵・卵黄1、乳・クリーム3、上白糖は0.6(全体の15%)の割合で混合し、オーブンで150℃、30分加熱した。組織試料は、室温に冷却後、プリン中央部から7?角を採取し、10%ホルマリン・カルシウム固定を行った。アラビアゴム・シュークロース液に置換後、コンパウンド液に入れ、ドライアイス・アセトンで凍結し、クリオスタット切片(10μ)にした。タンパク質・脂肪二重染色を行い、水溶性封入剤で封入後鏡検した。同時にパラフィン切片によるPAS染色も行った。破断試験測定は、1日冷蔵庫保存後、レオナーRE3305((株)山電)でプランジャーP-22型を用い、ロードセル2kgの条件で行った。赤外線水分計によるプリンの水分測定も行った。<b>「結果」</b>牛乳,動物および植物クリームによるプリンでは、オイルレッドOに赤く染まった脂肪滴の大小、分散状態に明瞭な違いがあった。植物クリームの脂肪滴は動物クリームよりもやや大きく,全卵を用いたプリンの基質には分散しにくい傾向にあった。クリームで調製したプリンの破断応力は、牛乳を用いたものより軟らかく、植物クリームより動物クリーム使用プリンが軟らかかった。卵黄を用いたプリンは全卵よりいずれも硬かった。
著者
峯木 真知子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.128-132, 1999-05-20
被引用文献数
2

名古屋コーチン種の卵黄球について,飼料と大きさの同じ白色レグホン種卵を用いて,卵重及び卵黄重,組織観察,画像処理による計測を行って比較検討した。 1) 卵重,卵黄重及び卵黄/卵重比は,名古屋コーチン種と白色レグホン種の卵では違いがみられなかった。 2) 卵黄球の大きさ及び形状(長短軸比)は,名古屋コーチン種卵が白色レグホン種と比較して,有意に小さく丸く,組織観察の結果と一致した。 以上,卵黄球の大きさについて,白色卵系市販卵との比較検討も行った結果,卵黄球の大きさは鶏種によって異なり,名古屋コーチン種卵の卵黄球は,白色卵系鶏種(白色レグホン種)の約70%程度であることがわかった。 卵黄球の大きさの違いがテクスチャーに及ぼす影響については今後の課題である。
著者
峯木 真知子 棚橋 伸子 設楽 弘之
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.266-271, 2003-06-15
被引用文献数
4 5

ダチョウ卵の形状,卵構成,濃厚卵白率,卵黄係数,pH,成分分析,テクスチャーについて検討し,白色レグホーン種鶏卵と比較した.<br>(1) ダチョウ卵は,形状が丸く,鶏卵の20個分に相当する大きさであった.卵殻が厚く,卵殻比が大きく,卵白が卵黄に対して多かった.卵黄の品質を示す卵黄係数は0.17と低く,卵から卵黄を分離すること自身が難しいので,卵黄係数を用いることは難しい.また,濃厚卵白率も個体差が大きく,品質・鮮度判別方法には利用しがたい.<br>(2) ダチョウ卵の一般成分には鶏卵と大差がなかったが,卵白及び卵黄の電気泳動パターンは,ニワトリ卵とは異なるパターンがみられた.ダチョウ卵の卵白の物理的特性では付着性が大きかった.
著者
松本 エミ子 峯木 真知子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.183-187, 1981-10-20
被引用文献数
2

グリーンピース・スープの材料の破砕について、冷凍グリーンピースを用い、加熱時間、破砕方法の影響を組織学的に調べ、官能検査を行った。1) 冷凍グリーンピース・スープの豆分散物の形状はビマン状の澱粉、蛋白質のほか、細胞細片、遊離澱粉粒、単離澱粉貯蔵細胞、破砕組織片などである。2) 冷凍グリーンピースの破砕は、裏ごしとミキサーで差がみられるが、加熱時間の影響は小さい。破砕後加熱すると破砕時の分散物の状態は大差なくなる。3) 冷凍グリーンピースを用いたグリーンピース・スープでは、官能検査結果から5分力加熱の豆でもミキサーを使用することで簡便に満足できるスープが得られる。なお、グリーンピース・スープにおいてグリーンピースの破砕程度と添加物によるスープの色、物性なと多くの問題があり、今後の興味ある課題であると考える。