著者
西田 和広 水谷 浩之 津留 正臣 川上 憲司 檜枝 護重
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.63, pp.83-86, 2008-05-22
被引用文献数
1

低位相雑音VCOの構成として,線路共振器に能動回路および同調回路をそれぞれタップ結合で接続したデュアルタップ結合型線路共振器を用いたVCOを提案する.共振器の解析式を導出し,数値計算により,外部Qと共振周波数の可変帯域幅とがタップ位置によって独立に設定可能であることを示している.能動回路にGaAs 2um HBTを用い,共振器にアルミナ基板を用いた12GHz帯における試作の結果,能動回路の接続位置により位相雑音が,同調回路の接続位置により発振周波数の可変帯域幅が,それぞれ独立に設定できることを確認している.また,可変帯域幅226MHz(1.88%)において,100kHz離順における位相雑音-117.6〜-114.4dBc/Hzを得,本構成の有効性を確認している.
著者
鈴木 政登 清水 桃子 河辺 典子 高尾 匡 町田 勝彦 川上 憲司
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.329-344, 1996-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
48
被引用文献数
5 1

加齢およびlife styleに起因した有酸素性作業能 (VO2max) の低下, 高血圧, 血清脂質の上昇および筋量や骨密度 (BMD) の低下は「寝たきり, 痴呆性老人」発症の危険因子とされる.本研究は, 年齢やlife styleおよび運動の習慣化の動機などそれぞれが異なる20~76歳の健康女性165名を対象とした横断的研究であり, これらの危険因子が習慣的運動によって改善または除去されるか否かを調べる目的でなされた.1回30分間以上, 週2回以上の頻度で水泳, ジョギング, エアロビックダンス等の運動を2年間以上継続している者を運動群 (Ex群, n=82) , Ex群としての条件を満たさない者および運動習慣がない者を対照群 (Cont群, n=83) とし, 40~60歳までは5歳刻みで, それ以下およびそれ以上の年齢の者は一括して比較した.運動習慣の有無のみならず閉経年齢や嗜好品および就業状況などlife styleの調査も行い, 次のような研究結果を得た.1) 本被検者165名のうち閉経者は89名 (54%) おり, 閉経年齢の平均は49.7±3.1歳 (閉経期間1~23年間) であった.2) 常習的喫煙者は35名, 週1回以上の頻度の飲酒習慣を有する者は100名みられた.3) 加齢にともなって体重あたりVO2max (n=165, r=-0.590) およびHRmax (r=-0.722) は有意 (p<0.001) に減少した.Ex群のVO2maxはCont群に比し有意な高値を維持しつつ加齢にともない減少したが, HRmaxには2群間の差はなかった.4) 安静時血圧は40歳未満の群が有意な低値を示した他は隣合う年齢間に有意差こそなかったが, 明らかに加齢にともないSBP (r=0.391) , DBP (r=0.315) ともに有意 (P<0.001) な上昇を示した.しかし, 本被検者165名の中には160/95mmHg以上の者はいなかった.安静血圧にはEx, Cont群間に有意差はなかったが, 運動前後の差 (ΔSBP, ΔDBP) はEx群がやや高い傾向であった.5) 血液成分のうち, 明かな年齢変化が認められたのは血清TC (r=0.346, p<0.001) およびLDL-C濃度 (r=0.339, p<0.001) であった.HDL-Cには年齢変化はみられなかった.Ex, Cont群間の比較では, TC, HDL-CいずれもEx群が高値傾向を示し, HDL-C/TC比には差がなかった.しかし, 本被検者のうち10, 30kmおよびフルマラソンなど公式試合出場者 (n=11, 49.7±7.7歳) では同年代の者に比し血清TCは低く (189.2±23.3mg/dl) , HDL-Cは有意に高値 (72.2±10.9mg/dl) であった.さらに, 飲酒と運動習慣を併用している者 (n=26) のHDL-C (75.8±15.8mg/dl) およびHDL-C/TC比が高かった.6) 体重や肥満度には年齢変化も2群間の差もみられなかったが, 加齢にともない%FTMが増加し, %LTMが減少する傾向であった.2群間の比較ではEx群の%LTMが高く, %FTMは低値傾向を示した.7) 閉経前にはEx群のTBMDおよびLegBMDが有意に高値であったが閉経後では2群間に有意差はなかった.しかし, 閉経後の者でもフルマラソン等公式大会に出場している者 (n=5, 52.6±1.5歳) のTBMDおよびLegBMDはCont群 (51~55歳) のそれに比し有意に高値であった.8) VO2max, 体組成, 骨密度および血清脂質濃度相互の関連を調べた結果, VO2max総量はLTM (kg) と高い相関 (r=0.669) を示し, VO2max/LTMは加齢にともなって減少したが, いずれの年齢でも常にEx群が有意な高値であった.体重あたりVO2maxは%FTMとは逆相関 (r=-0.442) , %LTMとは正相関 (r=0.422) を示した.しかし, 血清TC, HDL-C濃度とは関連がなく, 安静時SBP (r=-0.232, p<0.01) およびDBP (r=-0.192, p<0.05) とは低い相関係数しか示されなかった.一方, BMDは年齢の他に体重, それもLTMの影響を強く受けた.しかし, TBMDと体重あたりVO2maxとの相関は必ずしも高くはなかった (r=0.354, p<0.001) .骨密度およびVO2maxにおよぼす諸要因の重回帰分析を行った結果, 次のような回帰式を得た.全身骨密度 (TBMD; g・cm-2)=0.9525-0.0045×Age+0.0059×FTM (kg) +0.0072×LTM (kg)(n=165, R=0.669, p<0.001)VO2max (ml・kg-1・min-1)=47.97-0.391×Age+0.175×Leg BMD (g・cm-2) -0.531×%FTM (%)(n=165, R=0.715, p<0.001)尚, 上記二式の偏回帰係数はすべて0.1%水準で有意であった.以上の研究結果から, 習慣的運動によって全身持久性能力 (VO2max) や筋の最大酸化能 (VO2max/LTM) は高く維持されるが, 加齢による骨密度の減少や血清脂質の改善を期待することは困難であり, これらの改善にはより厳密な運動処方が必要であることがわかった.しかし, 体重あたりVO2maxは骨密度 (例えば, 脚骨密度; r=0.395) や筋量指標 (%LTM; r=0.422) と有意 (p<0.001) な正相関を示したことから,
著者
川上 憲司 望月 幸夫 森 豊
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

換気検査には従来より ^<133>Xeガス、 ^<81m>Krガスが使われているが、入手に予約を必要とし、緊急検査に間に合わない。 ^<99m>Tc-エロゾル吸入検査も換気検査の代用とされるが、エロゾルの粒子径が大きいため、疾患肺では換気分布を表さない。^<99m>Tc-テクネガスは、 ^<99m>Tcを炭素の微粒子に標識し、換気分布に近いガス分布を得る放射性医薬品として開発された。本研究では、テクネガスの粒子径、捕集効率、生体における挙動、および種々肺疾患における臨床応用などについて検討した。テクネガスの粒子径は、電顕で計測した結果、大部分が20〜30nmφであったが、一部これらの粒子が魂状となって、100〜200nmの粒子を形成していた。テクネガス発生装置内の炭素るつぼに、 ^<99m>Tc-パーテクネテート溶液(300MBq/0.1ml)を入れ「るつぼ」を高熱で昇華することにより、微細炭素粒子を作成、これに ^<99m>Tc-が標識される。テクネガス生成後、粒子は次第に沈澱するので10分以内に吸入することが望ましい。血液中放射能は吸入後2時間において、吸入量の0.2%/1血液、尿中放射能は、24時間後においても4.96%であった。肺におけるテクネガスの生物学的半減期は135時間で肺のイメージは、24時間後においても安定していた。肺の被曝量は0.04Gy/37MBqであった。肺疾患例におけるテクネガスの分布は ^<81m>Kr分布に類似していたが、閉塞性病変の強い症例では、中枢気道に過剰に沈着し、スポット形成がみられた。しかし、未梢気道にも分布しており、換気分布の評価は可能であった。
著者
鈴木 政登 清水 桃子 河辺 典子 高尾 匡 町田 勝彦 川上 憲司
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.329-344, 1996-04-01
参考文献数
48
被引用文献数
6 1

加齢およびlife styleに起因した有酸素性作業能 (VO<SUB>2</SUB>max) の低下, 高血圧, 血清脂質の上昇および筋量や骨密度 (BMD) の低下は「寝たきり, 痴呆性老人」発症の危険因子とされる.<BR>本研究は, 年齢やlife styleおよび運動の習慣化の動機などそれぞれが異なる20~76歳の健康女性165名を対象とした横断的研究であり, これらの危険因子が習慣的運動によって改善または除去されるか否かを調べる目的でなされた.1回30分間以上, 週2回以上の頻度で水泳, ジョギング, エアロビックダンス等の運動を2年間以上継続している者を運動群 (Ex群, n=82) , Ex群としての条件を満たさない者および運動習慣がない者を対照群 (Cont群, n=83) とし, 40~60歳までは5歳刻みで, それ以下およびそれ以上の年齢の者は一括して比較した.運動習慣の有無のみならず閉経年齢や嗜好品および就業状況などlife styleの調査も行い, 次のような研究結果を得た.<BR>1) 本被検者165名のうち閉経者は89名 (54%) おり, 閉経年齢の平均は49.7±3.1歳 (閉経期間1~23年間) であった.<BR>2) 常習的喫煙者は35名, 週1回以上の頻度の飲酒習慣を有する者は100名みられた.<BR>3) 加齢にともなって体重あたりVO<SUB>2</SUB>max (n=165, r=-0.590) およびHRmax (r=-0.722) は有意 (p<0.001) に減少した.Ex群のVO<SUB>2</SUB>maxはCont群に比し有意な高値を維持しつつ加齢にともない減少したが, HRmaxには2群間の差はなかった.<BR>4) 安静時血圧は40歳未満の群が有意な低値を示した他は隣合う年齢間に有意差こそなかったが, 明らかに加齢にともないSBP (r=0.391) , DBP (r=0.315) ともに有意 (P<0.001) な上昇を示した.しかし, 本被検者165名の中には160/95mmHg以上の者はいなかった.安静血圧にはEx, Cont群間に有意差はなかったが, 運動前後の差 (ΔSBP, ΔDBP) はEx群がやや高い傾向であった.<BR>5) 血液成分のうち, 明かな年齢変化が認められたのは血清TC (r=0.346, p<0.001) およびLDL-C濃度 (r=0.339, p<0.001) であった.HDL-Cには年齢変化はみられなかった.Ex, Cont群間の比較では, TC, HDL-CいずれもEx群が高値傾向を示し, HDL-C/TC比には差がなかった.しかし, 本被検者のうち10, 30kmおよびフルマラソンなど公式試合出場者 (n=11, 49.7±7.7歳) では同年代の者に比し血清TCは低く (189.2±23.3mg/dl) , HDL-Cは有意に高値 (72.2±10.9mg/dl) であった.さらに, 飲酒と運動習慣を併用している者 (n=26) のHDL-C (75.8±15.8mg/dl) およびHDL-C/TC比が高かった.<BR>6) 体重や肥満度には年齢変化も2群間の差もみられなかったが, 加齢にともない%FTMが増加し, %LTMが減少する傾向であった.2群間の比較ではEx群の%LTMが高く, %FTMは低値傾向を示した.<BR>7) 閉経前にはEx群のTBMDおよびLegBMDが有意に高値であったが閉経後では2群間に有意差はなかった.しかし, 閉経後の者でもフルマラソン等公式大会に出場している者 (n=5, 52.6±1.5歳) のTBMDおよびLegBMDはCont群 (51~55歳) のそれに比し有意に高値であった.<BR>8) VO<SUB>2</SUB>max, 体組成, 骨密度および血清脂質濃度相互の関連を調べた結果, VO<SUB>2</SUB>max総量はLTM (kg) と高い相関 (r=0.669) を示し, VO<SUB>2</SUB>max/LTMは加齢にともなって減少したが, いずれの年齢でも常にEx群が有意な高値であった.体重あたりVO<SUB>2</SUB>maxは%FTMとは逆相関 (r=-0.442) , %LTMとは正相関 (r=0.422) を示した.しかし, 血清TC, HDL-C濃度とは関連がなく, 安静時SBP (r=-0.232, p<0.01) およびDBP (r=-0.192, p<0.05) とは低い相関係数しか示されなかった.一方, BMDは年齢の他に体重, それもLTMの影響を強く受けた.しかし, TBMDと体重あたりVO<SUB>2</SUB>maxとの相関は必ずしも高くはなかった (r=0.354, p<0.001) .<BR>骨密度およびVO2maxにおよぼす諸要因の重回帰分析を行った結果, 次のような回帰式を得た.<BR>全身骨密度 (TBMD; g・cm<SUP>-2</SUP>)<BR>=0.9525-0.0045×Age+0.0059×FTM (kg) +0.0072×LTM (kg)<BR>(n=165, R=0.669, p<0.001)<BR>VO<SUB>2</SUB>max (ml・kg<SUP>-1</SUP>・min<SUP>-1</SUP>)<BR>=47.97-0.391×Age+0.175<BR>×Leg BMD (g・cm<SUP>-2</SUP>) -0.531×%FTM (%)<BR>(n=165, R=0.715, p<0.001)<BR>尚, 上記二式の偏回帰係数はすべて0.1%水準で有意であった.<BR>以上の研究結果から, 習慣的運動によって全身持久性能力 (VO<SUB>2</SUB>max) や筋の最大酸化能 (VO<SUB>2</SUB>max/LTM) は高く維持されるが, 加齢による骨密度の減少や血清脂質の改善を期待することは困難であり, これらの改善にはより厳密な運動処方が必要であることがわかった.しかし, 体重あたりVO<SUB>2</SUB>maxは骨密度 (例えば, 脚骨密度; r=0.395) や筋量指標 (%LTM; r=0.422) と有意 (p<0.001) な正相関を示したことから,
著者
重松 隆 川上 憲司 森 豊 関口 千春 重松 隆
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

微少重力に人体が曝露されると、骨組織、筋組織、カルシウム代謝などに影響を受けると言われている。微少無重力状態では比較的短時間で骨塩が減少し骨粗鬆症が生じるとの報告がある。この発生機序は本邦においては宇宙飛行の経験も少ないため、未だその詳細は不明な点が数多く残されている。今回邦人宇宙飛行士の協力により、骨塩、カルシウム代謝を計測する機会を得、4回のミッション(宇宙飛行)における解析を行ったので報告する。計測方法は、DXA(全身、腰椎、大腿骨、踵骨など)UBD(踵骨)24時間量、尿中カルシウムカリウム、リンなどを計測した。測定は飛行開始60、30日前、飛行より帰還当日、3、10、30、120日後に行われた。測定結果は、それぞれのミッションの飛行時間も異なるため若干のデーターのばらつきを認めた。得られたデータのなかで、確実に認めた傾向は以下のごとくである。微少重力によって、骨カルシウム代謝が影響を受けることが、ほぼ明らかとなった。骨塩量は、踵骨腰椎などの荷重骨でより減少傾向を示し、その影響は尿中への漏出という形で腎臓に影響をおよぼす。この機序の詳細は不明であるが副甲状腺の血清カルシウム値の変動に対する反応性の低下が関与している可能性が示唆された。微少重力の影響は、骨組織に対して、骨形成の低下と骨吸収の促進という形で現れることが予測され、この結果として骨塩量が減少する可能性が示唆される。微少重力の骨カルシウム代謝への影響については今後さらなる検討が必要である。