著者
宮尾 暁 久保田 有一 梛野 尚人 江川 悟史 中本 英俊 福地 聡子 川俣 貴一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.466-470, 2021 (Released:2021-07-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

てんかん診療における不整脈の出現は突然死へとつながる可能性を有する.今回,致死性不整脈から心停止に陥り蘇生した1例を経験し,外来,急変前後,蘇生後,回復期まで,経時的な心電図変化を捉えた.心電図の経時的変化では,QT延長やブルガダ型波形が確認された.心電図変化を誘発する可能性を持つNaチャネル遮断薬,向精神薬との薬理作用,及び薬物動態的相互作用の認識の重要性に注目し,てんかん診療における心電図の重要性を強調した.
著者
藍原 康雄 千葉 謙太郎 川俣 貴一
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.225-233, 2022 (Released:2022-04-25)
参考文献数
23

これまで, 難治性稀少疾患である小児脳腫瘍治療の疾患概念・最新知見・先端治療について述べてきた1) -9) 17) -19) . 現在, 医療体制と患児の自立支援問題については 「小児悪性腫瘍治療に伴う移行期医療の課題」 を中心に議論される機会が多い. 今回は, 初発症状の発症時から脳神経外科での初診, そして入院加療に至るまでのタイムラグ課題や入院加療期間中の治療環境課題, そして回復退院後の学童生活復帰での課題もしくは病態悪化から終末期に至る期間での小児脳腫瘍治療環境が抱える課題について共有するべく内容を提言する.
著者
恩田 英明 谷川 達也 竹下 幹彦 荒井 孝司 川俣 貴一 氏家 弘 井沢 正博 加川 瑞夫 高倉 公朋
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.293-299, 1994-07-30 (Released:2012-10-29)
参考文献数
20
被引用文献数
20 16

The authors present 33 patients with dissecting aneurysm of the intracranial vertebral artery, of whom subarachnoid hemorrhage developed in 26 patients and cerebral ischemia in 7 patients. Sixteen patients were surgically treated and 17 were conservatively treated. In this series, recurrent hemorrhage occured in 9 (35%) of 26 patients who presented with subarachnoid hemorrhage within 2 weeks after the initial ictus. The outcome of the cases with recurrent hemorrhage was very poor-7 of these 9 patients died. Therefore, surgical intervention during the acute stage is required to avoid the early rerupture. Comparative study with surgical and conservative treatment for dissecting aneurysms of the vertebral artery indicated that the outcome of patients with surgical treatment was much better than with conservative treatment. In surgical procedures, proximal clip-occlusion of the vertebral artery at the site distal to the PICA (DTP) was performed in 5 cases, at proximal to the PICA (PTP) in 4, trapping of the vertebral artery with dissecting aneurysm in 2, coating in 3, and proximal occlusion of the vertebral artery with detachable balloon in 2 patients. Postoperatively, transient lower cranial nerve palsy or cerebellar signs developed in 2 cases with trapping, in 1 with PTP and permanent hemiparesis due to thromboembolism at the top of the basilar artery in 1 with balloon-occlusion of the vertebral artery. In spite of surgical intervention, rerupture occured postoperatively in 1 case with coating and in 1 with DTP. Trapping procedure is most reliable to prevent rerupture of dissecting aneurysm, but it is difficult to expose the distal part of the vertebral artery beyond the aneurysm for trapping. Although proximal clip-occlusion is not completely satisfactory for prevention of rebleeding, it is simple as a method and useful for dissecting aneurysm of the vertebral artery.
著者
林 基弘 堀場 綾子 田村 徳子 川俣 貴一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.431-440, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
36
被引用文献数
1

聴神経腫瘍に対する定位的放射線治療, その中でも歴史的に古くかつ最高精度のガンマナイフによる臨床成績に関して多くの報告がすでになされている. 10年を超える比較的長期のフォローにおいて, 腫瘍成長制御は91~97%, 聴力温存は49~55%, そして顔面神経温存は93~100%と報告され現状でのコンセンサスとほぼなっており, 外科手術のそれと比較しても決して劣らない数字となっている. しかし, 現存線量設定に至ってまだ25年程度の歴史であるため, 40歳代以下の若い患者に対する治療コンセンサスは十分に得られておらず, まだ治療医ごとの個別の裁量に任されているのが現状である. 最近ではMRI画像の革新的進歩と, そのうえでの微小解剖学に根差した治療計画も実践されるようになり, 顔面神経は当然, 蝸牛神経の走行までを考慮して過照射せぬよう意識して照射治療が行えるようになった. このような技術革新を背景に, 現状における聴神経腫瘍に対する治療指針を定位照射治療医の側面から以下のように提案している. 大型腫瘍 (Koos stage 4) においては基本外科的摘出. 一方で, 小中型腫瘍 (Koos stage 1~3) においては, たとえ内耳道内腫瘍であっても経過観察は基本否定的であり, 有効聴力かつ若い患者 (40歳代以下) であれば外科的摘出を, 手術拒否もしくはそれ以上の年代の有効聴力患者 (50歳以上) に対しては定位的放射線治療を勧めるべきである. さらに神経線維腫症2型において, 聴力温存必至であるため定位的放射線治療による早期介入を積極的に行うべきと考えている.
著者
熊田 孝恒 丸山 隆志 岩木 直 田村 学 川俣 貴一 村垣 善浩
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

人間の認知機能では、前頭葉から脳のより低次の領野に対するトップダウンのコントロールによって、低次領野における情報処理の調節が行われている。この研究では、トップダウンの情報処理の基盤としての前頭葉の機能を、特に、前頭葉機能の中心である「知能」の側面に着目して明らかにした。知能を構成する3つの要因である、更新、移動、抑制の機能には脳内の異なるネットワークが関与していることがわかった。