著者
川口 淳一郎
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.215-225, 2006-04-25

第20号科学衛星「はやぶさ」は,世界初の惑星圏天体からの試料採取とその帰還をめざした,我が国独自の惑星探査機である.「はやぶさ」は,2003年に打ち上げられてからイオンエンジンで航行し,昨年9月に小惑星イトカワに到着し,近傍に滞在した3ヶ月間の間に,近傍での詳細な科学観測を行うとともに,11月にはイトカワ表面に降下・着陸させその試料の採取を2回にわたって試みた.着陸域は非常に狭い範囲に限定されていたにも関わらず,「はやぶさ」は,プロジェクトチームの創意工夫によって,2回にわたる着陸に成功した.本報告は,「はやぶさ」探査機によって行われた飛行と観測,そして着陸にいたる記録である.
著者
二宮 敬虔 久保田 孝 橋本 樹明 川口 淳一郎 丸家 誠 澤井 秀次郎
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

月や惑星などへの探査機の自律的着陸誘導法について,安全・確実に着陸するために必要なセンサ情報処理,カメラ画像に基づく地形認識,それらの情報に基づいた探査機誘導制御則に関する検討を行った.また,計算機上に天体の表面地形モデル(太陽光の反射特性も含む)と探査機モデル(ダイナミクス・制御則,センサモデルなどを含む)を構築し,探査機の自律着陸を計算機上で模擬できるグラフィカル着陸シミュレータを開発した.以下に得られた知見をまとめる.1.グローバルマッピング移動ステレオ法と輪郭・影情報を用いる手法により,3次元構造を復元する手法を確立した.2.惑星モデルの構築惑星形状や表面のクレータなどのモデル化を行い,さまざま惑星モデルを生成可能にした.また,太陽光の反射特性を考慮し,任意の位置から撮像した画像を生成する機能を実現した.3.着陸誘導制御アルゴリズム複雑な表面地形に対しても特徴点抽出が可能な手法を構築した.また,距離センサおよび画像情報を用いて,探査機の相対位置姿勢検出などがロバストに行われるアルゴリズムを考案した.4.地形認識画像情報から定性的な地形認識を行う手法を確立し,障害物回避,目標地点への高精度誘導着陸手法を構築した.本研究により,ロバストで高精度な自律着陸航法誘導システムが構築可能となり,今後の惑星科学の発展に大きく貢献できることが期待される.