著者
粕山 達也 坂本 雅昭 中澤 理恵 川越 誠 加藤 和夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.741-745, 2008 (Released:2009-01-28)
参考文献数
25
被引用文献数
1

[目的」本研究は足関節背屈可動性評価として使用されている4種類の測定方法について,その標準値の検討と測定方法間の相関分析を行った。[対象]対象は健常若年男性42名84脚とした。[方法]足関節背屈角度(膝伸展位・膝屈曲位),下腿傾斜角度,母指壁距離の4種類の足関節背屈可動性評価を行った。[結果]全ての測定方法で正規性が認められ,健常若年男性の足関節背屈可動性における基礎資料としての有用性が示された。また,4種類の足関節背屈可動性の測定方法について,いずれの組み合わせにおいても有意な相関が認められた(r=0.65-0.86,p<0.01)。[結語]臨床現場に応じて測定方法の選択が可能であると考えられた。
著者
木暮 洸一 川越 誠 桜井 進一 久保 雅義
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb1388, 2012

【はじめに、目的】 投球動作の中で肩・肘関節に疼痛を訴えることの多い相はLate cocking期以降とされており,その動作はそれ以前の動作の影響を受ける.先行研究ではLate cocking期以降に加わる肩・肘関節へのストレスの大きさに影響を及ぼす要因として,肩・肘関節角度などが挙げられている.さらに,投球動作は下肢からの連動動作であるため,上肢だけではなく下肢にも注目する必要がある.下肢の中でも指導者や野球の指導書の多くがよく指摘するリードレッグ(前方に踏み出す足)の接地位置は投球におけるコントロールに強く影響を及ぼすため,接地位置のズレに気がつかないままの投球の継続は,コントロールを意識しすぎるが故に手投げとなることが多いとされている.そこで,本研究は野球の投球動作においてリードレッグの接地位置の違いが,肩の負荷および上肢への運動伝達に重要な体幹回旋角度にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とした.【方法】 対象は,本研究に同意の得られた野球経験のある男性10名(平均20.4±0.5歳)とした.課題動作はリードレッグの接地位置をスタンスレッグの踵からホームベースへ引いた直線上に接地するストレートステップ(以下SS位),その線より3塁側に接地するクロスステップ(以下CS位),1塁側に接地するオープンステップ(以下OS位)とする3つの肢位での全力投球とし,各課題それぞれ3球ずつ行い,その動作を三次元動作解析装置(VICON Mx,Oxford Metrics社製)およびスピードガン(Bushnell社)で計測し解析した.サンプリング周期は250Hzで,身体の各部位に38個の反射マーカーを貼付した.解析対象としては,各課題間で球速の差を最小限にするため,球速が近い値のデータを選択し,リードレッグ接地時(以下FP)・肩関節最大外旋時(以下MER)・ボールリリース時(以下BR)の関節モーメントおよび関節角度(オイラー角を用いて表現)を算出した.統計処理には, 3条件間での比較に一元配置分散分析を用い,その後の2条件間の比較に多重比較検定のTukey-Kramer法を用いた(有意水準5 %).なお,肩関節の負荷については,肩関節モーメントと肩関節角度・体幹回旋角度を求め,それらから推定するものとした.【倫理的配慮、説明と同意】 被験者に対しては,研究内容と研究で起こりうる危険因子について口頭及び書面を用いて十分に説明を行い,同意を得た.【結果】 肩関節モーメントでは,MER時のSS位の内旋モーメントがCS位に比べ有意に高い値を示した(p<0.05).その他の肩関節モーメントでは有意な差は見られなかった.MER時の肩関節外旋角度は,SS位に比べCS位が,OS位に比べCS位が有意に高い値を示した(p<0.01).MER時の肩関節外転角度は,CS位がSS位・OS位に比べ有意に低い値を示し(p<0.05,p<0.01),SS位はOS位に比べ有意に低い値を示した(p<0.01).BR時の肩関節外転角度は,CS位がSS位・OS位に比べ有意に低い値を示した(p<0.05,p<0.01).肩関節水平内転角度は,MER時においてCS位がSS位と比較し有意に低く(p<0.01),BR時においてCS位がOS位と比較し有意に高い値を示した(p<0.01).FP時の体幹回旋角度では,SS位に比べCS位が,OS位に比べCS位が有意に低い値を示した(p<0.01).BR時では,SS位に比べCS位が,OS位に比べCS位が有意に高い値を示した(p<0.01).【考察】 算出した肩関節モーメントは,関節角度に比べデータの標準偏差が大きく,MER時のSS位・CS位間の内旋モーメントのみに有意な差が認められた.関節角度では,CS位が他の2条件に比べ有意に肩関節最大外旋角度が大きく,肩関節外転角度が小さくなった.また,リードレッグ接地時の体幹回旋角度でもCS位は他の条件に比べ小さい値となった.肩関節最大外旋角度が大きく,肩関節外転角度が小さい肘下がりでの投球動作はいずれも肩関節への負荷が増大するとされている.さらに,リードレッグ接地時の体幹回旋角度の不足は体幹と上肢の運動伝達を低下させ,代償的に肩にかかる負荷を増大させることから,CS位では肩の負荷が増大していると考えられる.以上のことから,3条件の中で一番肩関節への負荷が大きいのはCS位での投球動作ということが示唆された.【理学療法学研究としての意義】 リードレッグ接地位置を修正することは,高速運動となるLate cocking期以降の動作を修正するよりも比較的容易であり,投球動作の指導上,有用なものになると考えられる.
著者
福原 隆志 坂本 雅昭 中澤 理恵 川越 誠 加藤 和夫(MD)
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101862, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】足関節底背屈運動時には,腓骨の回旋運動が伴うとされている.しかしながら,回旋方向についての報告は一定の見解を得ていない.また,先行研究は屍体下肢を用いての報告がほとんどであり,生体を対象にした報告はほとんど行われていない.本研究の目的は,Bモード超音波画像を用い,足関節底背屈運動時の腓骨外果の回旋運動について検討するものである.【方法】対象は,足関節に既往のない健常成人男女5名(24.6±2.5歳)の足関節10肢とした.測定姿位は,長坐位にて膝30°屈曲位とした.超音波画像診断装置(LOGIQ e,GEヘルスケア,リニア型プローブ)を用い,腓骨外果最下端より3cm近位部にて足関節前外方よりプローブを当て,短軸像にて脛腓関節を観察した.被験者は自動運動にて足関節背屈及び底屈運動を行った.足関節最大背屈時及び足関節最大底屈時において,脛骨及び腓骨の運動方向を画像上にて確認した.また脛骨及び腓骨間の距離を画像上にて0.01cm単位で測定した.さらに脛骨及び腓骨の接線を描画し,両者の成す角を0.1°単位で測定した.なお,測定は1肢につき3回行い平均値を測定値とした.なお,測定はすべて同一検者1名で行った.統計学的解析方法として,足関節背屈時と底屈時に得られた測定値についてWilcoxonの符号付順位和検定を用い検討した.解析にはSPSS ver.17を使用し,有意水準を5%とした.【倫理的配慮、説明と同意】対象者全員に対し,研究の趣旨について十分に説明し,書面にて同意を得た.【結果】全ての被験者において,関節背屈時に腓骨の外旋が観察された.また,足関節底屈時には腓骨の内旋が確認された.脛骨及び脛骨間の距離は,底屈時では0.27±0.08cm,背屈時では0.36±0.13cmであり,底屈時と比べ背屈時では有意に距離は開大していた(p<0.01).脛骨及び腓骨の接線の成す角は,底屈時では4.8±5.8°,背屈時では10.0±6.42°であり,底屈時と比べ背屈時では有意に角度は増加していた(p<0.01).【考察】足関節の運動学は理学療法実施上,注目すべき重要なポイントであると考えられる.しかしながら足関節底背屈運動時における腓骨の運動方向について,これまで一定の見解を得ていなかった.今回の結果から足関節の自動運動時において,背屈時には腓骨は脛骨に対し外旋し,底屈時には内旋することが明らかとなった.今回の知見を活かすことで,足関節に対する理学療法実施の際,より適切なアプローチを実施することが可能となると思われる.【理学療法学研究としての意義】本研究は足関節底背屈運動に伴う脛腓関節の運動について明らかにし,適切な理学療法実施のための一助となる研究である.
著者
佐々木 沙織 奥井 友香 川越 誠
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1012, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】膝関節前十字靭帯(以下,ACL)は,膝関節安定性において重要な役割を担っており,ACL損傷時には安定性が低下し,合併症を生じることが多い。合併症の有無は,受傷機転解明の一助となったり,再建術後の治療経過に影響を及ぼすと考えられ,ACL損傷時の合併症について認識しておくことが重要である。そこで,本研究の目的は,ACL損傷時の合併症について調査することとした。さらに,合併症の種類や合併症に対して行った観血的治療内容の相違が,その後の治療経過に与える影響について調査することとした。【方法】対象は,2007年4月から2013年8月までに,当院にてACL再建術を施行した,中学生から大学生までの103件とした。手術記録から,術中に確認された合併症,半月板の損傷部位について調査し,割合を求めた。また,再建術後スポーツ復帰に至るまで経過観察が可能であった70件を対象に,合併症の種類と合併症に対して行った観血的治療内容について群分けした。合併症の種類は,外側半月板(以下,LM)単独損傷群,内側半月板(以下,MM)単独損傷群,LMとMMの合併損傷群,膝関節内側側副靭帯(以下,MCL)損傷群,合併損傷なし群の5群とした。また合併症に対して行った観血的治療内容は,縫合群,切除群,処置なし群の3群とした。診療記録から,各群における再建術施行からジョギング開始までの日数,再建術施行からリハビリテーション終了までの日数を調査し比較した。統計学的解析にはSPSS ver.21.0 for Windowsを使用し,クラスカル・ウォリスの検定を用いて各群の比較を行った。有意水準は5%とした。【結果】ACL再建術中に確認された合併症は,LM単独損傷が55件(53%),MM単独損傷が12件(12%),LMとMMの合併損傷が6件(6%),LMとMCLの合併損傷が1件(1%),合併損傷なしが29件(28%)であった。半月板の損傷部位は,LM損傷では全62件中,後節損傷が50件(81%),中節~後節損傷が9件(14%),中節損傷が2件(3%),前節~後節損傷が1件(2%)であった。MM損傷では全17件中,後節損傷が12件(71%),中節~後節損傷が4件(24%),前節損傷が1件(5%)であった。また,各合併症の再建術施行からジョギング開始までの日数は,LM単独損傷群が99.9±28.3日,MM単独損傷群が105.6±12.9日,LMとMMの合併損傷群が86.7±17.6日,MCL損傷群が95日,合併損傷なし群が116.7±32.1日であり有意差はみられなかった。さらに,再建術施行からリハビリテーション終了までの日数は,LM単独損傷群が268.1±57.2日,MM単独損傷群が270.2±49.4日,LMとMMの合併損傷群が252.0±39.2日,MCL損傷群が275日,合併損傷なし群が282.6±68.7日であり有意差はみられなかった。合併症に対して行った観血的治療内容で群分けした各群の再建術施行からジョギング開始までの日数は,縫合群が102.5±16.1日,切除群が103.1±39.5日,処置なし群が106.3±30.5日であり有意差はみられなかった。さらに,再建術施行からリハビリテーション終了までの日数は,縫合群が274.6±62.0日,切除群が270.0±51.8日,処置なし群が273.5±61.6日で有意差はみられなかった。【考察】ACL損傷時の合併症については,LMの後節損傷が最も多い結果となった。これは,ACL損傷の受傷肢位は膝関節外反損傷が多く,受傷時外反ストレスにより外側関節面が圧迫されるためLM損傷が生じやすいと考えられる。先行研究からもACL損傷後3ヶ月以内ではLM損傷の方が多いと報告されており,同様の結果となった。また,合併症の有無や合併症に対する観血的治療内容によってスポーツ復帰時期の遅延を予想していたが,いずれの比較においても有意差はみられなかった。これは,ACL再建術後の後療法が,半月板切除,縫合などの後療法よりも時間を要するものであり,スポーツ復帰時期には合併症の影響は出にくかったものと考える。ACL再建術後の理学療法において,合併症を考慮した対応が必要だが,スポーツ復帰時期に大きな影響を与えないため,術後の経過不良例は,合併症以外の要因について検討することが重要である。【理学療法学研究としての意義】本研究結果から,ACL損傷に伴う合併症は,術後の治療経過に大きな影響を与えないことが示唆された。本研究の結果は,ACL再建術後の理学療法において,有益な資料となり得ると考える。
著者
福原 隆志 坂本 雅昭 中澤 理恵 川越 誠 加藤 和夫(MD)
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101862, 2013

【はじめに、目的】足関節底背屈運動時には,腓骨の回旋運動が伴うとされている.しかしながら,回旋方向についての報告は一定の見解を得ていない.また,先行研究は屍体下肢を用いての報告がほとんどであり,生体を対象にした報告はほとんど行われていない.本研究の目的は,Bモード超音波画像を用い,足関節底背屈運動時の腓骨外果の回旋運動について検討するものである.【方法】対象は,足関節に既往のない健常成人男女5名(24.6±2.5歳)の足関節10肢とした.測定姿位は,長坐位にて膝30°屈曲位とした.超音波画像診断装置(LOGIQ e,GEヘルスケア,リニア型プローブ)を用い,腓骨外果最下端より3cm近位部にて足関節前外方よりプローブを当て,短軸像にて脛腓関節を観察した.被験者は自動運動にて足関節背屈及び底屈運動を行った.足関節最大背屈時及び足関節最大底屈時において,脛骨及び腓骨の運動方向を画像上にて確認した.また脛骨及び腓骨間の距離を画像上にて0.01cm単位で測定した.さらに脛骨及び腓骨の接線を描画し,両者の成す角を0.1°単位で測定した.なお,測定は1肢につき3回行い平均値を測定値とした.なお,測定はすべて同一検者1名で行った.統計学的解析方法として,足関節背屈時と底屈時に得られた測定値についてWilcoxonの符号付順位和検定を用い検討した.解析にはSPSS ver.17を使用し,有意水準を5%とした.【倫理的配慮、説明と同意】対象者全員に対し,研究の趣旨について十分に説明し,書面にて同意を得た.【結果】全ての被験者において,関節背屈時に腓骨の外旋が観察された.また,足関節底屈時には腓骨の内旋が確認された.脛骨及び脛骨間の距離は,底屈時では0.27±0.08cm,背屈時では0.36±0.13cmであり,底屈時と比べ背屈時では有意に距離は開大していた(p<0.01).脛骨及び腓骨の接線の成す角は,底屈時では4.8±5.8°,背屈時では10.0±6.42°であり,底屈時と比べ背屈時では有意に角度は増加していた(p<0.01).【考察】足関節の運動学は理学療法実施上,注目すべき重要なポイントであると考えられる.しかしながら足関節底背屈運動時における腓骨の運動方向について,これまで一定の見解を得ていなかった.今回の結果から足関節の自動運動時において,背屈時には腓骨は脛骨に対し外旋し,底屈時には内旋することが明らかとなった.今回の知見を活かすことで,足関節に対する理学療法実施の際,より適切なアプローチを実施することが可能となると思われる.【理学療法学研究としての意義】本研究は足関節底背屈運動に伴う脛腓関節の運動について明らかにし,適切な理学療法実施のための一助となる研究である.
著者
桜井 進一 坂本 雅昭 中澤 理恵 川越 誠 加藤 和夫
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.209-213, 2007-05-20
被引用文献数
2 4

本研究の目的は,健常成人女性の足圧中心(COP:Center of pressure)軌跡を調査し,COP軌跡を内外側偏位の観点から分類する方法を検討する事である。対象は健常成人女性75名とし,足底圧測定装置を用いて歩行時COP軌跡を測定し,さらにCOPの位置座標を用いた独自の分類条件により,対象者のうち平均的な軌跡を描く群,内外側へ偏位を示す群への分類を試みた。分類の結果,各群はそれぞれ異なる特徴的なCOP軌跡を示した。今回の分類方法によって対象者をCOP軌跡の内外側の偏位により分類することができたため,今後はCOP軌跡の特性毎に足底板が歩行時COP軌跡に及ぼす影響を検討する事が課題である。<br>