著者
工藤 勲
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.781-784, 1994-11-20 (Released:2008-04-17)
被引用文献数
2
著者
工藤 勲
出版者
北海道大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

ホタテガイの中腸腺は、肥料・飼料としての有効利用の可能性があるにもかかわらず、カドミウムが高濃度に含まれていることが問題となっている。そこで、本研究では、ホタテガイに濃縮されるカドミウムを例にとり、魚介類に濃縮される金属の濃縮機構を解明することを目的とした。調査は、前年に引き続き北海道噴火湾森沖のホタテ養殖施設内と養殖の行われていない湾中央部の定点において5月から11月にかけて計10回の調査を行った。毎回、水温、塩分、栄養塩、基礎生産量、懸濁態有機炭素・窒素、植物プランクトン量とカドミウム含量、それとホタテ一年貝の成長速度、中腸腺量とそのカドミウム含量を測定した。【結果】ホタテガイの餌となる植物プランクトン現存量は、5月から8月にかけて横ばいであったが、プランクトン中のカドミウム含量は、8月に他の3倍程度と高濃度を示し、その後減少した。ホタテ1年貝の成長速度は、平均で0.35g/月でほぼ直線的に重量は増加した。殻長もほぼ同様に増加した。中腸腺中のカドミウムは今回の測定値とこれまでの報告値を総合すると春から夏にかけ増加し、その後、冬にかけ減少する傾向がある。これらは、ホタテガイが餌として主に植物プランクトンなどの懸濁態有機物を摂取していることを考えあわせると調和的な結果である。植物プランクトン中のカドミウム含量の変化の原因について、これまでの知見より、噴火湾では、植物プランクトンの種組成が、春から夏にかけて珪藻類から渦べん毛藻類へ遷移することが知られており、この植物プランクトン種の変化がホタテ中腸腺中へのカドミウムの蓄積に影響を与えている可能性が示唆された。また、海水中のカドミウムの濃度は、他の海域と比較して特に汚染されているわけではなく、また春から夏にかけて減少傾向にあるため海水中の濃度がこの濃縮に与えている影響は少ないと考えられる。
著者
岩崎 有良 石黒 桂一郎 大隅 敏光 相沢 敏晴 米沢 道夫 工藤 勲彦 杉村 文昭 鵜浦 達也 阿部 政直 林 貴雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.692-699, 1979-06-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
22

胃潰瘍および十二指腸潰瘍の再発について両者を比較しながら検討を行った.胃潰瘍の再発率は36.7%,十二指腸潰瘍は35.6%で,両群ともほぼ同様の傾向である.再発の傾向は両群に多くの共通点がみられる.即ち両群とも男性,治癒遷延例,初回開放例,多発例,および治療中止例に再発率が高い,また累積再発率も同様の傾向を示し,治癒後1年以内の再発は胃潰瘍50.8%,十二指腸潰瘍44.5%,2年以内では胃潰瘍75.0%,十二指腸潰瘍75.5%となっている.また胃液分泌能については両群とも活動期→治癒期→瘢痕期と潰瘍が治癒に向うごとに低下がみられるが,時相別に比較しても再発例と非再発例との間に差は認められなかった.両群を比較して大きな違いをみせたのは年代別の再発率で,胃潰瘍のピークが50歳代であるのに対し十二指腸潰瘍では29歳以下となっており,逆に再発率の一番低かったのは胃潰瘍では29歳以下に対し,十二指腸潰瘍;は60歳以上と非常に対称的であった.
著者
宮本 拓人 知北 和久 阪田 義隆 落合 泰大 ホサイン エムディ モタレブ 大八木 英夫 工藤 勲
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.39-57, 2016-03-28 (Released:2016-04-05)
参考文献数
44

本研究では,北海道・十勝地方沿岸域にある生花苗川(おいかまないがわ)流域(面積 62.47 km2)を対象とし,淡水の電導度モニタリングに基づく解析を行っている。生花苗川流域の土地利用被覆率は,森林88.3%,農用地10.6%でほとんどが森林である。森林土壌は,30–40 cm深に1667年樽前山噴火によるテフラTa-b層,さらに深部には約40,000年前の支笏火山大噴火によるテフラSpfa-1層と角レキ層が基盤の上に分布している。これらの層は極めて透水性が高く,側方浸透流の流出経路の役割をもつ。また,レゴリス下の地質基盤は大部分が新第三紀中新世の海成層で透水性の高い砂岩・レキ岩を含み,これには日高造山運動によってできた断層も分布している。今回は,試水の化学分析から河川水の主要無機イオンMg2+, Ca2+, Na+, SO42-, HCO3-の濃度(mg/L)と25℃電気伝導度(EC25と表記)との間に相関の高い線形関係を見出した。他方,2013年の降雨期に生花苗川で水位・電気伝導度をモニタリングし,溶存イオン濃度とEC25との関係を用いて,上記五種のイオン濃度およびその負荷量の時系列を得た。本研究では,得られた流量と主要無機イオン負荷量の時系列にタンクモデルとベキ関数を適用し,河川への各種イオン物質の流出経路について解析を行った。流出解析の結果,2013年は表面流出と中間流出で流出全体の74.2%を占め,流域外への地下水漏出は16.8%を占めた。また,イオン物質負荷量に対するモデル解析から,全負荷量に対する表面流出,中間流出,地下水流出,河川流出による負荷量の寄与が求められた。結果として,五つのイオン種全てで中間流出による寄与が40.0~70.0%と最大であった。これは,中間流出に対応する基盤上の角レキ層と支笏テフラ層での側方浸透流による溶出が卓越していることを示唆している。
著者
小野 祐嗣 磯田 豊 工藤 勲 宮園 章 有田 駿
出版者
北海道大学大学院水産科学研究科
雑誌
北海道大学水産科学研究彙報 (ISSN:13461842)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.47-59, 2015-08

北海道オホーツク海側の沿岸に沿って南下する宗谷暖流は,宗谷海峡を挟む日本海とオホーツク海の水位差(圧力勾配力)によって駆動されている(青田,1975)。実際に,係留流速計・HFレーダ・海底設置型ADCP等を用いた長期流速記録と現場の水位差記録(稚内と網走の水位差)の間には高い相関があり,宗谷暖流はその水位差が極大となる夏季に流量増加,水位差がほとんどなくなる冬季にはほぼ消滅という明瞭な季節変化を示す(例えば,松山ほか,1999; Fukamachi et al.,2008; Ebuchi et al.,2009)。宗谷暖流は基本的に水位差駆動されているので順圧流が支配的であるが,成層が発達する夏季には傾圧流量の寄与が順圧流量の半分弱程度になるという見積もり報告もある(Matsuyama et al.,2006)。夏季の宗谷暖流の沖合境界表層に出現する冷水帯は,順圧流と傾圧流が相互作用した結果として理解されている。例えば,Ishizu et al. (2006)は順圧流の強い水平シアーから生じる海底エクマン収束が鉛直循環流を生成し,冷たい底層水が海面まで湧昇するという物理機構で冷水帯の形成を説明している。
著者
宮本 拓人 知北 和久 阪田 義隆 落合 泰大 ホサイン エムディ モタレブ 大八木 英夫 工藤 勲
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.39-57, 2016

本研究では,北海道・十勝地方沿岸域にある生花苗川(おいかまないがわ)流域(面積 62.47 km2)を対象とし,淡水の電導度モニタリングに基づく解析を行っている。生花苗川流域の土地利用被覆率は,森林88.3%,農用地10.6%でほとんどが森林である。森林土壌は,30–40 cm深に1667年樽前山噴火によるテフラTa-b層,さらに深部には約40,000年前の支笏火山大噴火によるテフラSpfa-1層と角レキ層が基盤の上に分布している。これらの層は極めて透水性が高く,側方浸透流の流出経路の役割をもつ。また,レゴリス下の地質基盤は大部分が新第三紀中新世の海成層で透水性の高い砂岩・レキ岩を含み,これには日高造山運動によってできた断層も分布している。今回は,試水の化学分析から河川水の主要無機イオンMg2+, Ca2+, Na+, SO42-, HCO3-の濃度(mg/L)と25℃電気伝導度(EC25と表記)との間に相関の高い線形関係を見出した。他方,2013年の降雨期に生花苗川で水位・電気伝導度をモニタリングし,溶存イオン濃度とEC25との関係を用いて,上記五種のイオン濃度およびその負荷量の時系列を得た。本研究では,得られた流量と主要無機イオン負荷量の時系列にタンクモデルとベキ関数を適用し,河川への各種イオン物質の流出経路について解析を行った。流出解析の結果,2013年は表面流出と中間流出で流出全体の74.2%を占め,流域外への地下水漏出は16.8%を占めた。また,イオン物質負荷量に対するモデル解析から,全負荷量に対する表面流出,中間流出,地下水流出,河川流出による負荷量の寄与が求められた。結果として,五つのイオン種全てで中間流出による寄与が40.0~70.0%と最大であった。これは,中間流出に対応する基盤上の角レキ層と支笏テフラ層での側方浸透流による溶出が卓越していることを示唆している。
著者
永田 晴紀 渡辺 三樹生 伊藤 光範 前田 剛典 戸谷 剛 工藤 勲
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
スペース・エンジニアリング・コンファレンス講演論文集 : Space Engineering Conference (ISSN:09189238)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.13, pp.1-4, 2005-01-20

Small-scale reusable sounding rocket system is under development to provide means of stratosphere observation and three-minutes microgravity experiment. The propulsion system is a hybrid type that uses solid fuel (plastics) and liquid oxygen as propellants and free from explosives, resulting in the dramatically reduced launch cost. To enhance the burning rate of the solid fuel and to augment the thrust, the rocket has employed a new fuel grain design. This new design, named CAMUI as an abbreviation of "Cascaded Multistage Impinging-jet", allows mixing and combustion to occur around stagnation points on fuel surfaces. Successful launch experiments using a 50-kgf CAMUI engine have proved the feasibility of the basic idea of the system. Finally, possible configurations of the stratosphere observation vehicle and the microgravity test vehicle are presented.
著者
芳村 毅 工藤 勲
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.185-193, 2003-03-05
被引用文献数
2

河川から噴火湾への栄養塩負荷量を明らかにするために,噴火湾に流人する8河川および発電所排水路1か所において,流量および栄養塩濃度を一年にわたり観測した。その結果,河川流量は雪解け時の4月に特異的に高い明瞭な季節変化を示した。また,河川水中の栄養塩濃度は河川によって大きく異なったが,全河川の加重平均濃度は硝酸塩が24μM,アンモニウム塩が2.9μM,リン酸塩が0.30μM,ケイ酸塩が270μMであり. DIN:DIP比が非常に高いことが明らかとなった。河川から噴火湾への一年間の淡水負荷量は2.1×10^9m^3であり,溶存無機窒素,リン酸塩,ケイ酸塩負荷量はそれぞれ57×l0^6mol,0.6.3×10^6mol. 570x10^6molだった。これらの栄養塩負荷量が噴火湾の基礎生産に与える影響は総生産を考慮した場合は非常に小さなものだった。しかしながら,新生産を夏期のリン酸塩の減少量から見積もった結果,河川由来の栄養塩が噴火湾の夏期の新生産の最大10%を支えていることが明らかとなった。