著者
工藤 遥 田村 俊明
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.152, 2014 (Released:2014-07-04)

架空の存在でありながら世界中の神話に登場し、現代においてもファンタジーには欠かせない存在であり続けている竜・龍・ドラゴン。人間は彼らに対してなぜこれほどにまで興味を抱いてきたのか。そして、人間は彼らに何を投影しているのか。ここでは歴史を通して様々な姿に描かれてきた竜を追い、現代における竜のキャラクター性に目を向けることで、人間と竜との関わり、またその背後に潜む人間の自然に対する意識の変化を考察する。
著者
工藤 遥
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.61-84, 2022 (Released:2022-08-01)
参考文献数
7

本稿では,コロナ禍初期に北海道札幌市で「子ども宅食」活動を展開した子育て支援NPO が実施したアンケート調査のデータから,一斉休校や登園・外出自粛要請が子育て家庭に与えた影響について考察した。休校・自粛要請により,家庭内で母子だけで過ごす時間が長時間化する中,幼い子どもを持つ母親たちは,子どもの食事作りや家庭学習,生活習慣や健康面への配慮など,普段よりも多くのケアや教育,家事負担を抱え,就業面や経済的な面でも困難に直面していた。本調査では,母親回答者の9割以上が休校・自粛の影響で「困った」と回答し,特に就園・就学期の子どもがいる親でその割合が高かった。また,ストレス程度が高い回答者は普段よりも休校中ほど多く,特に普段からストレスが強い層ほど休校中のストレスや困り感も強いことが確認された。保育・子育て支援の利用が一般化した社会で,「子育ての社会化」機関がその機能を一斉に停止・縮小したことの影響は大きく,また,コロナ禍では家族ケアや女性の就労に関する平時からの問題もより深刻な形で顕在化した。こうした中で本調査では,食事提供型の支援が家事負担や食費の軽減にとどまらず,孤立感の緩和や精神的支援としても有用であることが示唆された。子育て問題の予防と解消のためには,緊急時も含めて「子育ての社会化」体制を機能させることとともに,公的支援の「切れ目」を埋める民間の活動に対する支援の拡充も重要である。
著者
工藤 遥
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.115-138, 2018-05-31 (Released:2019-06-20)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本稿では,「専業母」も利用できる保育・子育て支援として拡充が進められている「一時保育」に焦点を当て,都市部で乳幼児の親を対象に実施した質問紙調査から,母親規範意識との関連を中心に一時保育利用の規定要因を分析した. その結果,一時保育の利用経験群は,非利用群に比べて,親族に託児を頼れず,育児ストレスや夫の育児に対する不満が高く,高所得層が多いといった特徴に加えて,三歳児神話を支持しながらも,親の都合で子どもを預けることに肯定的な意識を持っているといった特徴が明らかになった. また,利用経験群の中でも,特に「リフレッシュ利用」で一時保育を利用している母親は,親都合の託児に抵抗感が少ない傾向がみられた.一方,非利用群の大多数は夫や親族による託児サポートや保育所等の利用を理由に一時保育の利用ニーズを持たないが,2 割未満ではあるものの制度利用に困難を抱えている層や,託児への強い抵抗感から利用していない層もみられた. 「子育ての社会化」として,三歳児神話の否定の上に「専業母」の一時保育利用が公に肯定され,制度の推進が図られている中で,三歳児神話は根強く支持されたまま,一方では親都合による託児を肯定する意識が広がっているという母親規範意識の複層性がみられた.「母親が子育て役割に専業すること」と「母親が自分の都合のために子どもを預けること」は,併存可能な論理として解釈されつつあることが示唆された.
著者
工藤 遥 田村 俊明
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

架空の存在でありながら世界中の神話に登場し、現代においてもファンタジーには欠かせない存在であり続けている竜・龍・ドラゴン。人間は彼らに対してなぜこれほどにまで興味を抱いてきたのか。そして、人間は彼らに何を投影しているのか。ここでは歴史を通して様々な姿に描かれてきた竜を追い、現代における竜のキャラクター性に目を向けることで、人間と竜との関わり、またその背後に潜む人間の自然に対する意識の変化を考察する。
著者
工藤 遥 田村 俊明
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.213, 2014 (Released:2014-07-04)

エオリアンハープとは、弦楽器の一種である。共鳴板とそこに張られた弦の間を風が通り抜けることによって音を発する仕組みになっている。様々な形態が見られるが、一般的には箱形の本体に弦が張られた琴のような形をしている。欧米では公園や公共施設に設置されていることが多いが、日本国内では目にできる場所は少なく、知名度も極めて低い。音に溢れた環境の中で時間に追われるようにして生活する現代に、エオリアンハープの音を通して風や自然を意識する暮らしを提案したいと考えた。そのため一般住宅の内に設置でき、風鈴のような気軽さで楽しめるプロダクトにすることを研究の目的として、最適な材質と構造を探った。
著者
工藤 遥
出版者
北海道大学大学院文学研究科
雑誌
北海道大学大学院文学研究科研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
no.13, pp.453-474, 2013

子育て家庭の孤立や育児不安の拡がりを背景に,日本では「子育てサロン」と呼ばれる地域子育て支援拠点づくりが全国的に進められている。地域に住む乳幼児の親子が集う場である子育てサロンは,育児に関する情報提供や相談等を行うフォーマルな子育て支援機関であるが,大都市では,母親同士が「ママ友」等の育児ネットワークを形成し,インフォーマルな育児援助を交換する場・機会としても機能している。本稿では,少子化と核家族化が顕著な大都市である札幌市で実施した質的調査をもとに,子育てサロンおよびその内部における母親同士の育児援助の機能を,「子育てサポートシステム」の視点から検討した。この分析枠組みでは,乳幼児の母親の子育てを支える育児援助は,制度的支援と関係的支援の2つのサポート構造と,3つのサポート機能(直接・間接・複合サポート)および2つのサポート側面(道具的・表出的サポート側面)でとらえられる。制度的支援としての子育てサロンは,運営形態により,センター型,児童館型,地域主体型,常設ひろば型に4分類できる。各類型の子育てサロンでは,保育や発達教育,リフレッシュ支援といったフォーマルなサポート機能が異なっている。また,施設内部で母親同士が相互に行うインフォーマルな関係的支援のサポート機能も,それぞれ異なる特徴や段階がみられる。また,子育てサロンにおける集まりの一部では,母親同士の互助の進展と並行して,育児ネットワークや小集団の形成がみられ,集まりの3つの段階(coming,keeping,working)を経て,「支えあい」の福祉コミュニティへと発展する可能性もうかがわれる。ただし,「子育ち」の視点に立てば,家庭内および子育てサロンの内部における第一・第二の母子孤立を解消し,子どもの発達に重要となる性別・世代混成的なコミュニティを目指した子育て環境づくりが望まれる。