著者
平尾 利行 竹井 仁 佐久間 孝志 妹尾 賢和 近藤 貴揚
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.297-302, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
24
被引用文献数
1

〔目的〕閉鎖筋の筋活動を賦活するのに適した運動負荷を検討すること.〔対象〕腰部および下肢に器質的疾患を持たない成人男性11名とした.〔方法〕高負荷の課題1(60°/sec)と無負荷の課題2(500°/sec)における等速性股関節外旋運動前後で,MRIのT2強調画像から内閉鎖筋,外閉鎖筋,大殿筋,中殿筋,縫工筋のMR信号強度率を抽出し比較した.〔結果〕抽出された課題1において内閉鎖筋,外閉鎖筋,中殿筋,縫工筋で,課題2において内閉鎖筋,外閉鎖筋,縫工筋で,運動前に比べ運動後にMR信号強度率が有意に上昇した.〔結語〕速筋線維を多く含む閉鎖筋に対しては,高負荷のみならず無負荷の運動も筋活動を得ることを可能にすると考える.
著者
平尾 利行 佐久間 孝志 妹尾 賢和 岡田 亨 竹井 仁
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
巻号頁・発行日
pp.74, 2011 (Released:2011-08-03)

【目的】 解剖学的観点から股関節深層筋のうち内外閉鎖筋は股関節の衝撃吸収作用という役割を担っていると考えられ、内外閉鎖筋機能を改善させることは股関節機能改善、維持という観点において重要な意味をなすと考える。しかし、どのような負荷のトレーニングをすることで内外閉鎖筋が促通されるかは明らかでない。運動によって活動した筋はMRI信号強度が上昇することが知られており、股関節深層筋機能評価においてMRIを用いることは有用と考えられる。本研究の目的は股関節深層筋である内外閉鎖筋を賦活するのに適した負荷量についてMRIを用いて明らかにすることである。 【方法】 股関節に既往のない成人男性11名(平均年齢23.5±1.5years、平均身長169.4±4.7cm、平均体重62.3±4.6kg)を対象とした。被検者に高負荷外旋運動と低負荷外旋運動を行い、それぞれの運動前後でMRI(1.5T)を施行し股関節周囲筋の信号強度を抽出した。高負荷外旋運動とは角速度60deg/secでの等速性外旋運動と定義し、低負荷外旋運動とは角速度500deg/secでの等速性外旋運動と定義した。運動機器にはBIODEX system3(BIODEX社製)を用い、股関節90°屈曲位(恥骨結合と上前腸骨棘を結ぶ線に大腿骨長軸が垂直になるよう設定した)の端座位にて0°から最大外旋位までの範囲で等速性外旋運動を行った。運動課題は30秒間の等速性外旋運動を5セットとした。セット間の休憩は10秒とした。MRIで抽出する筋は内閉鎖筋、外閉鎖筋、梨状筋、大殿筋、中殿筋、小殿筋、腸腰筋とした。高負荷外旋運動と低負荷外旋運動における各筋の運動前と運動後のMRI信号強度を比較した。統計処理にはSPSS ver.12.0を用い、Wilcoxonの符号付順位検定を行った。有意水準は5%とした。 【結果】 高負荷外旋運動において運動後にMRI信号強度の有意な上昇を認めた筋は内閉鎖筋、外閉鎖筋、中殿筋、腸腰筋であった。低負荷外旋運動において運動後にMRI信号強度の有意な上昇を認めた筋は内閉鎖筋、外閉鎖筋のみであった。 【考察】 低負荷外旋運動後にMRI信号強度の有意な上昇を認めた筋は内閉鎖筋、外閉鎖筋のみであり、高負荷外旋運動よりも選択的に内外閉鎖筋が働いていた。 内閉鎖筋を選択的に促通する際には、高負荷外旋運動よりも低負荷外旋運動の方が有用であると考える。 【倫理委員会の承認】 本研究は船橋整形外科病院倫理委員会の承認を得て行った。
著者
平尾 利行 山田 拓実 妹尾 賢和 白圡 英明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.289-298, 2022-08-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
50

【目的】二次性変形性股関節症患者(以下,股OA)に対し理学療法を実施した際に病期によって疼痛,日常生活動作(以下,ADL),身体機能の経時変化に差があるかを明らかにすること。【方法】二次性股OA患者をKellgren/Lawrence分類Grade 1(以下,KL1)群14名,Grade 2(以下,KL2)群20名,Grade 3(以下,KL3)群16名に分類し理学療法を行った。疼痛,ADL, 身体機能を測定し3ヵ月の経過を分析した。【結果】3ヵ月を通じKL3群は疼痛が強く,ADLと身体機能は低下していたが,KL分類に関わらず3ヵ月間で改善を認めた。年齢調整後の屈曲,外転,内旋ROMはKL3群が低値を示し,このうち内旋ROMは3ヵ月間で有意な変化を認めなかった。【結論】二次性股OAに対し理学療法を実施した際,3ヵ月間の疼痛,ADL, 身体機能の経時変化は病期に関わらず改善を示す。
著者
平尾 利行 山田 拓実 妹尾 賢和 白圡 英明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12197, (Released:2022-08-09)
参考文献数
50

【目的】二次性変形性股関節症患者(以下,股OA)に対し理学療法を実施した際に病期によって疼痛,日常生活動作(以下,ADL),身体機能の経時変化に差があるかを明らかにすること。【方法】二次性股OA患者をKellgren/Lawrence分類Grade 1(以下,KL1)群14名,Grade 2(以下,KL2)群20名,Grade 3(以下,KL3)群16名に分類し理学療法を行った。疼痛,ADL, 身体機能を測定し3ヵ月の経過を分析した。【結果】3ヵ月を通じKL3群は疼痛が強く,ADLと身体機能は低下していたが,KL分類に関わらず3ヵ月間で改善を認めた。年齢調整後の屈曲,外転,内旋ROMはKL3群が低値を示し,このうち内旋ROMは3ヵ月間で有意な変化を認めなかった。【結論】二次性股OAに対し理学療法を実施した際,3ヵ月間の疼痛,ADL, 身体機能の経時変化は病期に関わらず改善を示す。
著者
澤野 靖之 草木 雄二 脇元 幸一 平尾 利行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0076, 2004 (Released:2004-04-23)

【目的】新体操は『美の追求』をテーマとし、身体の高度な柔軟性が必要とされ、特有の傷害が認められる。当院のこれまでの調査により、腰部・足関節・足部の順で発生頻度が高い傾向がみられた。そこで今回は腰痛と腰椎の可動性について検討した。【対象】腰部に疼痛を有する国体出場レベルの高校女子新体操選手9人(年齢平均16.4±1.4歳、経験年数8.4±7.4年)をA群。運動習慣の無い腰部に疼痛を有する女性9人(年齢平均21.8±1.2歳)をB群とした。いずれの対象についてもレントゲン撮影の承諾を得た。【方法】自然立位(neutral以下N)、立位最大体前屈時(maximum flexion以下MF)、立位最大体後屈時(maximum extension以下ME)の3種のレントゲン撮影(撮影はレントゲン技師による)を行い、各々の腰椎前彎角度(第1腰椎の上終板と平行なラインと、第1仙骨の上終板と平行なラインにそれぞれ垂線を引き、2つの垂線が交わる角度)を計測した。体幹・下肢の柔軟性を計測するために下肢伸展挙上(straight-leg raising以下SLR)・踵殿間距離(heel-buttock distance以下HBD)・トーマステスト・指床間距離(finger-floor distance以下FFD)を用いた。A群・B群で、N・MF・MEの腰椎前彎角度・SLR・HBD・トーマステスト・FFDについて、比較検討した。統計処理はt検定を用い、危険率5%未満を有意差ありとした。【結果】A群・B群間において、N・MFの腰椎前彎角度、HBD、トーマステストでは有意差は認められなかったが、MEの腰椎前彎角度、FFD、SLRには有意差が認められた。【考察】A群・B群間において、N・MFの腰椎前彎角度には、有意差が認められず、FFD・SLRに有意差が認められた。よってA群のFFD値が大きいのは、腰椎の可動性の問題ではなく、ハムストリングスの柔軟性が大きく関与していると示唆される。また、MEの腰椎前彎角に有意差が認められ、HBD・トーマステストに有意差が認められなかった。よってA群の体幹伸展時には、腰椎の可動性が大きく関与しているという事が示唆される。A群は、新体操競技特性として全身的に高度な柔軟性が必要とされる。そのなかで、MF時は下肢の柔軟性により腰椎の可動性は過度には必要とされていないが、ME時は下肢の柔軟性にはA群・B群に有意差が認められず、腰椎の過度な可動性が必要とされる。よって腰椎前彎角の大きいA群は、体幹後屈時に疼痛を誘発する者が多いと考えられる。【まとめ】新体操選手のパフォーマンスには、体幹後屈可動域は必要不可欠である。今後新体操選手をケアする上で、大腿四頭筋・腸腰筋の大腿前方筋群の柔軟性向上を計ることが、腰部へのストレスを軽減し、体幹後屈時の疼痛軽減へとつながるのではないかと考える。
著者
佐久間 孝志 平尾 利行 妹尾 賢和 岡田 亨 白土 英明 老沼 和弘 阿戸 章吾
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第27回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.15, 2008 (Released:2008-08-01)

【はじめに】 股関節の安定化機構として、解剖学的・力学的知見から、股関節深層筋は力学的支持という役割だけでなく、関節運動の誘導を担っている可能性があることが推測される。その中で股関節深層筋のトレーニングはいくつか紹介されているが、いずれも実際に股関節深層筋の収縮を検証している報告は少ない。そこで今回は股関節深層筋である小殿筋に着目し、小殿筋が収縮しやすい股関節肢位および負荷量について検討した。 【対象】 対象は本研究に同意を得た股関節に既往のない健常男性10名とした。 平均年齢25.3歳、平均体重63.8kg、BMI21.8であった。 【方法】 被検者に側臥位をとらせ、膝関節伸展位、股関節内外転・内外旋中間位にて、屈曲30度、0度、伸展10度の3肢位にて等尺性股関節外転運動を行った。それぞれにおいて低負荷運動と高負荷運動を行わせ、各肢位での小殿筋の収縮を測定した。測定には超音波画像診断装置 GE横河メディカルシステム LOGIQ BOOK を用い、MRI画像より大転子と腸骨稜を結んだ線上の近位1/3、および上前腸骨棘と後上腸骨棘を結んだ前方1/3を小殿筋の測定箇所として固定した。また検者は同一としプローブを固定する者1名、抵抗を加える者1名として測定を行った。 得られた画像から安静時と収縮時における小殿筋の厚みを計測し、収縮時の厚みを安静時の厚みで除すことで収縮率を算出した。統計処理はTukeyの多重比較および対応のあるT検定を用い、有意水準5%未満とした。 【結果】 低負荷運動時においては伸展10度での収縮率が屈曲30度、屈曲0度のときよりも有意に高値を示した。高負荷運動時では、股関節屈曲角度の違いによる収縮率の変化はみられなかった。各股関節屈曲角度における低負荷運動と高負荷運動時における収縮率を比較すると、伸展10度のときのみ低負荷運動で有意に高値を示した。 【考察】 今回の結果から、股関節伸展位および低負荷運動にて有意に高い収縮率を認めた。これは小殿筋の走行から股関節伸展位では股関節軸より後方に位置するため、股関節屈曲位よりも股関節伸展位で外転筋として作用しやすくなり高い収縮率を認めたものと考える。また、股関節深層筋には遅筋線維の割合が高いことが報告されていることから、低負荷運動の方が有意に高い収縮率を認めたものと考える。今後、さらに本研究を踏まえ股関節深層筋トレーニングの有効性を検討していきたい。