著者
辻内 琢也 扇原 淳 桂川 泰典 小島 隆矢 金 智慧 平田 修三 多賀 努 増田 和高 岩垣 穂大 日高 友郎 明戸 隆浩 根ケ山 光一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、「帰還か移住か避難継続か」の選択を迫られる原発事故被災者が、今後数年間で安心して生活できる新たな居住環境をどのように構築していくのか、現状と問題点を明らかにし、「居住福祉」に資する心理社会的ケアの戦略を人間科学的学融合研究にて提言していくことにある。「居住は基本的人権である」と言われるように、被災者が安心・安全に生活できる基盤を構築するためには、内科学・心身医学・公衆衛生学・臨床心理学・発達行動学・社会学・社会福祉学・平和学・建築学・環境科学といった学融合的な調査研究が欠かせない。応募者らは2011年発災当時から被災者支援を目指した研究を継続させており、本課題にてさらに発展を目指す。
著者
平田 修三 根ヶ山 光一
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.460-469, 2012

親以外の個体による世話行動は「アロケア」と呼ばれる。本稿では,貧困など様々な理由から生まれた家庭で育つことのできない子どもを社会が養育する仕組みである社会的養護を「制度化されたアロケア」と捉え,日本における社会的養護の主流である児童養護施設で暮らす子ども,および退所者の体験に焦点を当て,その特徴を論じた。そこから見えてきたのは,制度化されたアロケアの機能不全であった。しかし,そうした状況下にあっても,施設で暮らす子ども・退所者が当事者団体を立ち上げて互いを癒し,社会に働きかけていくケースがあることについても確認された。こうした当事者団体の活動は,機能不全状態にある社会的養護の現状および社会の認識を変えていく可能性をもっている。現代の日本社会には産むことと育てることの強力な結合の規範が存在するためその実現は容易ではないが,核家族の脆弱性が顕在化しつつあるなかで,成育家族以外にも多様な養育の形態がありうると認めることはひとつの時代的・社会的要請であると考えられた。