著者
平野 俊英 西山 成信 秋重 幸邦
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:0287251X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.21-29, 2001-12

平成10年に教育職員免許法が改正され,教員養成の方針転換が行われた。この背景には,平成9年の教育職員養成審議会第1次答申に示されたとおり,教員に対する社会的要請と教職課程の教育内容との乖離,免許制度の画一性・硬直性,不十分な教育内容・方法の3点が指摘される。変化の時代を生きる社会人に必要な資質能力や得意分野を持った個性豊かな教員を育成すること,大学教育の過密化回避と自主的カリキュラム編成などを背景として選択履修方式を導入すること,中学校における教科指導・生徒指導等に関わる教職科目の比重を高めることが,その具体的な改善策として提言された。 表1は改正された免許法に示された中学校教諭1種免許状取得に関わる単位数改正状況である。教科専門科目の必要単位数が半減した一方で,教職専門科目の必要単位数の増加と,教科・教職専門科目の選択履修方式の導入が行われたことがわかる。この改正を受けて,国立の教員養成系大学・学部のカリキュラム構造は大幅な変更が加えられた。全国的に見ると,各科目区分における必要単位数の変化は,教科に関する科目が平均15.6単位の減少(最大で34単位減少),教職に関する科目が平均11.4単位の増加(最大で31単位増加),教科又は教職に関する科目が新規に平均4.4単位設定(最大で20単位設定)となっている(1)。 本学教育学部では平成11年度以降の入学生から新カリキュラムによる教員養成を行っている。中学校教諭1種免許状取得をめざす理科教育専攻学生に対して,表2に示す単位数を卒業要件として必修又は選択必修として設けている。教科専門科目は実験を半減させることで,24単位から20単位へ必修単位が削減された。一方で,理科教育法科目は以前の4単位(中等理科教育法概説,中等理科教育法実験Ⅰ・Ⅱ)に加えて新たに6単位(中等理科教育臨床や中等理科教育法特講Ⅰ・Ⅱ等)を課すことで,10単位へ拡大された。その他に選択必修に6単位が設定されており,トータルでは30単位から36単位へと理科教育関連科目の単位数は拡大している。しかしながら,これら卒業要件上で必修・選択必修とされた単位数とは別に,免許法を根拠にして教科専門科目を40単位以上修得することを指導していた旧カリキュラムと比べると,新カリキュラムでは教科専門科目の大幅な削減,理科教育法科目の若干の充実という構図が明確に浮かび上がっている。 上述の教育職員免許法の改正内容や教員養成カリキュラムの改訂内容が,実際に履修学生の実態や教育現場・地域社会の要請に見合った妥当なものとなっているのかを,教員養成系大学・学部は継続的に評価するとともに,内容修正が必要かどうか適宜検討する必要がある。このような見地に立ち,本学が立地する島根県内の現職教員を対象に,免許法改正や教員養成カリキュラム改訂の認知度や,自身が履修したカリキュラムとの比較評価に関する調査を実施して彼らの認識を明らかにすることは,今後,教育現場に向けて本学がカリキュラム改訂の意義や成果をアピールする上で,さらには改訂に伴う実践的指導力の育成への効果を測る上で有効な情報を提供するものと考える。 よって,本研究はこの点を鑑み,実証的アプローチを用いて得られた中学校理科教員の認識の実態に基づいて,教員養成系学部における中学校理科教員養成プログラムの現状と課題について明らかにしようとするものである。
著者
遠西 昭壽 川上 昭吾 大高 泉 吉田 淳 平野 俊英 楠山 研 森本 弘一 磯崎 哲夫 橋本 健夫 劉 卿美 遠西 昭壽
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アジアの中で発展が急な韓国、中国、台湾、シンガポール4ヶ国、中国については教育特区の北京、上海、香港の理科教育の実態を調査した。アジア各国は例外なく理科教育の充実に努めている。特に、韓国では英才教育院、科学英才教育院において英才教育が進められていること、シンガポールでは2007年に「シンガポール大学附属理数高校」(National University of Singapore High School of Math and Science)、理数教育に特化した高校が開校していることが特記すべきことである。コンピュータ教育の充実も盛んに行われている。特に、シンガポールでは国が力を入れ、コンピュータはインターネット、電子黒板等多面的に利用されている。いじめがあるのは日本で、韓国では問題になりつつある。その他の国ではこの問題はない。3年間の本研究で、韓国、中国(北京、上海、香港)、台湾、シンガポールの研究者との交流を深めることができ、国際シンポジウムを開催することもできて、今後の研究交流の基盤が整備されたことは、大きな成果であった。