著者
廣瀬 雄一 和賀 正樹 末永 幸平
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2023-GI-49, no.13, pp.1-8, 2023-03-10

将棋 AI は近年目覚ましい成果を上げており,プロ棋士による将棋の研究にも用いられるようになってきている.一方で,将棋 AI の選ぶ指し手については解釈可能性が低いという問題点がある.解釈可能性を向上させることにより,将棋研究における将棋 AI の有用性が向上すると期待される.本研究では,将棋 AI である dlshogi の評価関数の feature attribution に基づく解釈可能性向上手法を提案する.dlshogi は入力特徴量として,各マスにどの駒があるか,どのような利きがあるかなどの,解釈が容易な盤面情報を用いている.本研究では,与えられた指し手にとっての各特徴量の貢献度を数値化する手法を提案する.提案手法は SARFA と呼ばれる各特徴量の関連度と特異度から貢献度を算出する手法の拡張となっている.本手法をいくつかの棋譜に適用した.本論文ではその有用性と改善点について議論する.
著者
廣瀬 雄一
出版者
日本ブリーフサイコセラピー学会
雑誌
ブリーフサイコセラピー研究 (ISSN:18805132)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.53-64, 2021-03-31 (Released:2021-06-10)
参考文献数
8

本研究では「カサンドラ症候群」について,ある女性クライエントに対する面接過程を題材として論じた。近年,わが国で注目されるようになった「カサンドラ症候群」概念であるが,その心理支援についてはこれまで十分な検討がなされてこなかった。それに対し,今回セラピストはナラティヴ・セラピーを用いた臨床実践を試みた。女性クライエントは共感性に乏しく,些細なことに激怒する夫との難しい関係に悩んでいた。セラピストはそこで,「外在化する会話法」を活かしながら,彼女が「ユニークな結果」を通じた新たな物語を見出せるよう支援した。その結果,夫の「頼れる存在」としての価値に焦点が当たり,家族の物語は変化し,その関係は改善へと向かった。
著者
廣瀬 雄一
出版者
Kinki Brain Tumor Pathology Conference
雑誌
Neuro-Oncologyの進歩 (ISSN:18800742)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.13-21, 2016-09-16 (Released:2016-09-16)
参考文献数
32

Gliomas have been diagnosed according to the histological classification published by the World Health Organization (WHO). However, recent advance in tumor genetics validated clinical value of genetic analysis in glioma management, and genetic classification is considered to have advantage to histological classification in predicting the patients’ outcome. In 2016, WHO revised classification of tumors of the central nervous system, and remarkable revision was made in various tumors. Of them, classification of diffuse glioma of lower grade was advanced in practical manner. Those tumors are classified by key genetic aberrations including mutation of isocitrate dehydrogenase 1/2 gene (IDH1/2) and codeletion of chromosomal arms 1p and 19q. Mutation in TP53, ATRX and promoter of TERT are helpful in subgrouping the tumors.In this review, biological aspects of genetic aberrations applied to 2016 WHO classification are discussed to help understanding of oncology in relation with management for grade II-III diffuse gliomas.
著者
廣瀬 雄一
出版者
日本ブリーフサイコセラピー学会
雑誌
ブリーフサイコセラピー研究 = Japanese journal of brief psychotherapy (ISSN:18805132)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.72-80, 2014

「書き換え療法」としても知られるナラティヴ・セラピーはオーストラリアのM.ホワイトとニュージーランドのD.エプストンらによって発展した。ナラティヴ・セラピーは心理療法の領域にとどまらない幅広い領域で用いられているが,日本においては西洋との文化的差異もあってか,うまく機能しない場合もあるように思われる。それに対して日本生まれの森田療法が,これを補うことができるのではないかと筆者は考えている。筆者は復職デイケアクリニックであるリワークで勤務している。私はここでナラティヴ・セラピーと森田療法の併用を試みている。本研究の目的は,実際のケースを提示しながら,この2つの療法の組み合わせがどのように機能するのかについて検討することである。
著者
西出 和彦 大月 敏雄 大方 潤一郎 小泉 秀樹 羽藤 英二 岡本 和彦 廣瀬 雄一 佐藤 由美
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

『超高齢社会に対応した地域建築機能再配置型都市再編システムの社会実験を通した構築』では、さまざまな居住環境を有し日本における多様な都市環境の縮図ともいえる千葉県柏市を主たる研究対象として、各種別の建物が果たす社会的性能を緻密な実態調査を通して抽出し、地域建築機能再配置型都市再編システムを具体化し、社会実験を通して超高齢社会対応型の新たな都市再編システムの構築を目指した。本研究の結果、公共空間には、近隣居住者同志が自然と地域を支えるコミュニティや居場所づくりの重要性が明らかになった。今後の高齢社会の問題を解決するためには、社会学・医学・リハビリ学など分野横断的な取り組みが必要となる。