著者
勝部 眞人 坂根 嘉弘 中山 富廣 河西 英通 布川 弘 木村 健二 徳永 光俊 真栄平 房昭 弁納 才一 張 楓 張 翔 戴 鞍鋼 蘇 淳烈 朴 ソプ
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、19世紀末~20世紀初頭におけるグローバリゼーションのなかで、在地社会の持つ伝統的文化性(「在来」)が新しい社会変動(「外来」)に対してどのような影響を与え、どういう形で生き残っていくのか…を、東アジア社会という枠組みで検討しようとしたものである。期間中に日本・中国・朝鮮3国の比較に議論が集中し、瀬戸内という対象地域の特質解明にまでは至らなかったが、3国社会比較の視座について「在地社会の共同性」という観点からの手がかりを得ることができた。
著者
本庄 比佐子 内山 雅生 久保 亨 曽田 三郎 奥村 哲 弁納 才一 三谷 孝
出版者
(財)東洋文庫
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

第1次大戦時、ドイツの膠州湾租借地を攻略した日本は、青島守備軍を編成して占領地統治を行い、青島及び山東鉄道を中心に諸権益の拡張を図った。そのために青島守備軍などが行った山東地域の実態調査を通して日本の山東経営を検討すること、及びそれらの調査資料を利用しつつ山東地域を中心に当時の中国の政治・経済・社会について総合的な考察を行うことを目的とした。外務省外交史料館・防衛省防衛研究所図書館・山口大学東亜経済研究所を中心に10ヶ所の諸機関で資料調査を行い、青島守備軍民政部鉄道部の『調査資料』シリーズや『山東鉄道調査報告』シリーズなどを含め、約160点の資料を明らかにすることができた。その結果を「青島守備軍編刊書・報告書目録 附・解題」にまとめ、『研究成果報告書』に収録した。これらの資料は、従来あまり利用されていないが、山東地域を勢力範囲として中国大陸進出を狙った日本の企図を具体的に分析するうえで重要な資料であり、また中国の地方志や経済史の資料としても役立つものである。日本軍の占領体制、ドイツの青島経営、山東鉄道をめぐる諸問題、山東省農民の移民、山東の農産物・工鉱業など、個別のテーマを設けて研究を進めた。その成果をまとめて、第3年度に論文集『日本の青島占領と山東の社会経済 1914-22年』を刊行した。同時に山東社会科学院・青島市社会科学院との学術交流を進め、論文集には山東の研究者からの寄稿も収めることができた。第4年度には、上記の論文集を基礎に、山東の研究者と国内の日本史研究者を招いて国際シンポジウムを開催した。そこでは、実証的な研究の領域において日中の中国史研究者間、また山東地域に関する研究で日本経済史研究者と中国近代史研究者の交流を図ることができた。以上を通して、従来研究の手薄であった日本の青島占領の諸相と、それが1930年代の華北進出に意味をもった点を明らかにすることができた。
著者
持井 康孝 古畑 徹 志村 恵 東田 雅博 古市 大輔 弁納 才一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、日本全国の高等教育機関等に分散所蔵されている「青島旧蔵書籍」の全体像を調査・復元し、それを通して青島におけるドイツ租界の文化情況や中国人との接触情況、並びにドイツの対中国文化政策を明らかにすること、それらドイツ租界における情況を上海等におけるイギリス租界の情況と比較することにより、新旧帝国主義国家の対中国文化接触のあり方、並びにそれに対応する中国側のあり方の相違を明らかにすることの二点である。青島ドイツ租界に原蔵され、その後青島守備軍による接収を経て、日本の各高等教育機関に配分された「青島旧蔵書籍」に関しては、以下の作業を行なった。1)日本全国の高等教育機関等に現蔵される当該書籍や配分関連文書の逐件調査を行なった。2)その調査をふまえ、各冊ごとの書誌データ、青島における原蔵状況、守備軍による配分状況、現蔵機関における所蔵状況についての各種データを整理し、「青島旧蔵書籍」を各機関に配分したその計画リストの上に、その逐件調査によって得られた調査データを加えた新規データベースを作成した。青島ドイツ租界・上海租界におけるそれぞれの文化接触や文化政策についての比較検討を試みる「独・英の対中国文化接触」の研究に関しては、以下の作業を行なった。1)青島ドイツ租界・上海租界に関する記載を含むマイクロフィルム資料を収集・整理した。2)その資料の電子データ化を経て抽出した、租界内部やその周辺地域での文化・社会・経済政策に関連するデータ、並びに、青島及びその周辺地域の歴史やイギリスの対中国政策史に関わる中国側諸文献の分析を行なった。上記の調査・分析から得られたそれぞれの研究成果をまとめて、研究成果報告書として作成・公表した。