著者
志柿 浩一郎 クリスティン ウインスカウスキー
出版者
学校法人 北里研究所 北里大学一般教育部
雑誌
北里大学一般教育紀要 (ISSN:13450166)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.61-85, 2021

本論文の目的は、1920年代の第一波フェミニズム運動と1960年代の第二波フェミニズム運動の間に、女性の社会進出に対する人々の意識やジェンダー観を変えた、小さな社会変革があったことを示すことである。また、本稿では、第一波と第二波フェミニズム運動という見方あるいは歴史的括りが、より顕著な社会改善にもつながった重要な史実を覆い隠している可能性があることを3つのケースを取り上げて検証した。特に、アメリカン・コミックのワンダーウーマンの創作背景、FCCにおけるフリーダ・ヘノックの仕事、および1940年代から50年代にかけて起きた大衆文化や消費者文化を巻き込んだマッカーデルの服飾デザインの、3つのサンプルケースを用いて実証した。これらの事例を振り返ってみると、第一波や第二波の間に起きていた小さな変革がフェミニズム運動の一端を担っていた。ワンダーウーマンの歴史背景やフリーダ・ヘノックの市民活動、マッカーデルの事例などは、フェミニストやマイノリティの活動と直接結びつくことは難しいかもしれない。なぜなら、これらの事例は、大きな変化をもたらしたり、他の非政治的な手段で人権を獲得したりするような政治的な運動に直接関係するものではなかったからである。しかしながら、これらの事例とその歴史を俯瞰すると、これらの事例は、大衆文化や消費者文化に影響を与えた、ローカルあるいは専門的な領域で活動している個人による小さな社会運動であったことが明らかとなる。
著者
志柿 浩一郎
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
社会情報学会(SSI)学会大会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.43-48, 2013-09-13

This paper illustrates the siginificance of studying the history of the U.S. radio broadcasting from 1910 to 1940, and a reason why it is relevant to conduct a comparative study of the media history between Japan and the U.S. for a further analaysis on the role of media in the Internet age today. The result thus far suggests that an underlying problem of media industries today was formed in the era when the commercial radio broadcasting emerged in the U.S; therefore validating its history will build common analytical perspective on today's media in Japan and beyond.
著者
松浦 さと子 北郷 裕美 金山 智子 小川 明子 林 怡蓉 寺田 征也 志柿 浩一郎 川島 隆 松浦 哲郎 畑仲 哲雄 畑仲 哲雄 日比野 純一 橋爪 明日香 稲垣 暁
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1992年に制度化されたコミュニティ放送局は、2016年代に入り300局を超えた。それらは、地域の地理的環境や文化的・社会的・政治的・経済的背景に適応すべく多様な運営スタイルで放送が担われている。しかし共通しているのは災害対応への期待が高いことである。特に2011年以後は「基幹放送」としてその責任が重くのしかかる。国際的なコミュニティラジオが「コミュニティの所有、運営、非営利非商業」と定義されていることに対し、日本のコミュニティ放送は、資源動員、法人形態、ジャーナリズムや番組審議会等、独自の成立条件を形成してきた。本研究では長期のフィールドワークと日本初の悉皆調査によってそれらを明らかにした。