著者
小川 明子
出版者
名古屋大学大学院国際言語文化研究科
雑誌
メディアと社会 (ISSN:18800831)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-18, 2017-03-31

本論文は,番組審議会に焦点を当てる。番組審議会は,放送法ですべての放送事業者に義務づけられる制度である。局側が任命する学識経験者らが,局の諮問に応じて番組を視聴して意見を述べ,事業者側はそこで出された意見を尊重し,必要な措置をとることが定められているのだが,現状は,審議員の人選方法や,審議内容などに疑問も少なくなく,また放送局の側からも形骸化しているという愚痴や批判を聞く。しかし,番組審議会をめぐるまとまった研究はこれまでほとんどなく,審議会で何が語られているのかという研究は管見の限り見当たらない。そこで本稿では,内容分析,テキスト計量分析を併用しながら最も全国に影響力を持つ在京民放テレビ局6社の番組審議会概要を題材に,番組審議会での議論の現状を明らかにするとともに課題を抽出することを目的とする。本研究は,放送文化基金平成27年度研究助成「番組審議会の再検討 番組をめぐる質的評価のリ・デザインに向けて」による。
著者
小川 明子
出版者
日本メディア学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.67-85, 2018-01-31 (Released:2018-05-10)
参考文献数
41

The aim of this paper is to examine the Deliberative Organ (or Council)for broadcast programmes (Bangumi Shingikai), a statutory advisory bodyestablished by each TV and radio station in accordance with Japan’s broadcastact. Together with Programme Standards, the Deliberative Council is a significantpart of ‘Japan’s Regulation Model for Broadcasting’ that ensures the appropriatenessof the broadcast programmes. Designed to be self-regulatory, thecouncil enables broadcasters and audiences with high esteem to discuss thequality of the programmes and consider whether they are appropriate forbroadcasting. Despite its importance, little research attention has been given tothe practice of this system. In reflecting upon the history of the system and thegender and occupational ratio of committee members, this paper focuses onhow terrestrial commercial broadcasting stations have managed the council.Surveys were also conducted among these stations in 2016, and the results indicate that the system is not fully regarded as a system of self-regulation amongbroadcasters, although it is generally valued from the point of programmeimprovement.
著者
小川 明子
出版者
日本メディア学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.92-110, 2009-07-31 (Released:2017-10-06)
参考文献数
23

During the Russo-Japan War, newspaper companies located in the urban areas such as Osaka and Tokyo tried to broaden their distribution by investing large capital to install telecommunication facilities and visual technologies. Taking advantage of these new technologies, large newspaper attempted to attract people's attention by distributing the news promptly. This article examines how the local newspaper competed with these newspapers during the war. It shed light on "Shinchoho," a small local newspaper, in Toyohashi at that time. Investigating the strategies by the paper to survive, this paper discusses how the local newspaper interacted with the local readers.
著者
小田 眞由 木阪 吉保 小川 明子 横山 桂 砂金 光太郎 田鶴谷 奈友 田中 良憲
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.632-640, 2023-12-01 (Released:2023-12-11)
参考文献数
32
被引用文献数
1

症例は61歳男性.6年前から糖尿病性腎症による腎不全で血液透析を導入された.30代でC型慢性肝炎を指摘されインターフェロン療法を受けたがウイルスは消失しなかった.40代から肝細胞癌に対して穿刺局所療法や塞栓療法を繰り返し受けてきたが,多発再発が指摘された際に造影剤アレルギーが発症したため塞栓療法が施行困難となり,アテゾリズマブ(Atezo)+ベバシズマブ(Bev)併用療法を開始した.Atezo+Bev併用療法は透析患者に対する投与の報告例はなく有効性や安全性は不明である.我々の症例ではAtezo+Bev併用療法開始後に甲状腺機能低下症と脳出血を来した.しかし,レボチロキシンナトリウム水和物投与とBev投与中止することで長期間にわたり投与継続できており,有害事象の早期発見と対応を行うことで血液透析中の肝細胞癌患者にもAtezo+Bev併用療法を行うことができると考えられた.
著者
小川 明子
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.45-54, 2018-12-31 (Released:2019-05-12)

現在,インターネット社会において,周縁化されがちな弱者の意見は,フィルター・バブルがひしめく中でかき消され,時に激しいヘイトスピーチの下に晒されがちである。そこで,彼らが声を上げることは難しい。本稿では,米国のストーリーテリング実践,日本の生活記録運動や臨床領域で展開されるナラティヴ・アプローチなど,ストーリーテリングの手法を活用して,他者理解や連帯,社会参画を目的に展開されてきた実践の系譜を辿りながら,周縁化されがちな人びとにとって,物語を協働的,対話的に生成し,共有することがエンパワメントにつながるという道筋を示す。またその視点から,デジタル・ストーリーテリングを再検討し,デジタル時代における協働的なストーリーテリングの利点について再検討する。
著者
小川 明子
出版者
名古屋大学大学院国際言語文化研究科
雑誌
メディアと社会 (ISSN:18800831)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-18, 2017-03-31

本論文は,番組審議会に焦点を当てる。番組審議会は,放送法ですべての放送事業者に義務づけられる制度である。局側が任命する学識経験者らが,局の諮問に応じて番組を視聴して意見を述べ,事業者側はそこで出された意見を尊重し,必要な措置をとることが定められているのだが,現状は,審議員の人選方法や,審議内容などに疑問も少なくなく,また放送局の側からも形骸化しているという愚痴や批判を聞く。しかし,番組審議会をめぐるまとまった研究はこれまでほとんどなく,審議会で何が語られているのかという研究は管見の限り見当たらない。そこで本稿では,内容分析,テキスト計量分析を併用しながら最も全国に影響力を持つ在京民放テレビ局6社の番組審議会概要を題材に,番組審議会での議論の現状を明らかにするとともに課題を抽出することを目的とする。
著者
高林 龍 小川 明子 末宗 達之 カラペト ホベルト
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

研究初年度内の平成28年3月に「日本における追及権導入の可能性-欧州の見地から-」を、二年目においては、平成29年2月「日本における追及権制度導入への道のり―追及権法早稲田試案―」をテーマとしてそれぞれ国際シンポジウムを開催し、追及権試案を発表するに至った。三年目には、世界知的所有権機関(WIPO)主催の追及権シンポジウムにおいて研究協力者の小川明子が招聘され、追及権試案を発表するという機会を得た。平成30(2018)年12月に山口大学との共催で「美術家のための追及権」をテーマとしたセミナーを開催、同12月19日には、文化審議会著作権分科会国際小委員会において、小川明子が招聘され講演を行った。
著者
松浦 さと子 北郷 裕美 金山 智子 小川 明子 林 怡蓉 寺田 征也 志柿 浩一郎 川島 隆 松浦 哲郎 畑仲 哲雄 畑仲 哲雄 日比野 純一 橋爪 明日香 稲垣 暁
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1992年に制度化されたコミュニティ放送局は、2016年代に入り300局を超えた。それらは、地域の地理的環境や文化的・社会的・政治的・経済的背景に適応すべく多様な運営スタイルで放送が担われている。しかし共通しているのは災害対応への期待が高いことである。特に2011年以後は「基幹放送」としてその責任が重くのしかかる。国際的なコミュニティラジオが「コミュニティの所有、運営、非営利非商業」と定義されていることに対し、日本のコミュニティ放送は、資源動員、法人形態、ジャーナリズムや番組審議会等、独自の成立条件を形成してきた。本研究では長期のフィールドワークと日本初の悉皆調査によってそれらを明らかにした。
著者
小川 明子
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2010

制度:新 ; 報告番号:甲3084号 ; 学位の種類:博士(法学) ; 授与年月日:2010/3/1 ; 早大学位記番号:新5351
著者
松浦 さと子 石川 旺 川上 隆史 川島 隆 林 怡蓉 牧田 幸文 松浦 哲郎 小川 明子 櫻田 和也 津田 正夫 魚住 真司 山口 洋典 日比野 純一 小山 帥人 平塚 千尋 金 京煥 小山 善彦
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

非営利民間放送は現在、コミュニティにおけるコミュニケーションを活性化し、社会的排除の削減に取り組む独立したセクターとして国際的に認知されつつある。しかしながら、このセクターの持続的発展のための法的・財政的・人的な前提条件は、日本においていまだ存在しない。ゆえに我々は、非営利放送局を支えるための体制の可能なモデルを、さまざまな国と地域における成功事例を比較参照することによって明らかにするよう努めた。
著者
芝山 秀次郎 小川 明子
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.207-213, 2000-10-30

佐賀県北部の台地畑作で不斉一発生するナズナの種子の形態や土壌からの発生と環境要因について調査した。結実個体から採取したナズナの1果実内の種子粒数は, 種子の成熟あるいは採取時期により異なったが, 果実の着生位置間で差異は見られなかった。また1果実の左右の莢間についても, 種子粒数の差異は見られなかった。種子の大きさは, 異なる採取時期の種子ともに花茎の下部に形成された果実のものほど大であった。室内におけるナズナの発芽実験では, 採取直後の休眠状態の種子を戸外畑土中に1〜3ヵ月間貯蔵することで休眠が覚醒され, 低温湿潤土中に貯蔵した種子よりも高い発芽率が見られた。しかし種子の採取時期によって, 休眠覚醒の時期が異なった。温度条件については25℃(昼温)-10℃(夜温)が最も高い発芽率となった。屋外におけるナズナの発生実験では, 低温貯蔵した種子は種子採取時期間で出芽様相に差異は見られなかった。採取直後の種子は採取時期間で出芽様相が異なり, それらは降水量の多い時期に出芽率は高くなる傾向が見られたが, 気温の暑い時期あるいは寒い時期の発生は見られなかった。さらにナズナを播種後に人為的な土壌攪乱処理をすると, その後の出芽率はやや高くなった。